閉経前の「生理の変化」は、更年期のホルモンの乱高下のしわざ!

生理の経血量が急激に増えたり、減ったり、日数が短くなったり、長引いたり。こんな変化は、なぜ起こるのか、その仕組みを産婦人科医の善方裕美先生が解説。

産婦人科医 善方裕美先生
産婦人科医 善方裕美先生
よしかた産婦人科院長。医学博士。横浜市立大学産婦人科客員准教授。更年期障害をはじめ、女性のヘルスケア全般についてのわかりやすい解説で人気。

女性ホルモンの分泌量のバランスの乱れが原因

日本人女性の平均閉経年齢は、50.54歳で、閉経の前後5年間が更年期。この時期に生理が乱れる理由とは?

「更年期になると、卵巣機能が低下して女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急激に減っていきます。ただし右肩下がりに減るわけではなく、増えたり減ったりと乱高下しながら減っていきます。なぜ乱高下するかというと、卵巣機能が低下すると、脳が卵巣に“エストロゲンを分泌して”という指令を出しても、きちんと分泌できないため、脳は何度も“ちゃんと出して!”という指令を出します。このとき、がんばって多く分泌できるときもあれば、あまり分泌できないときもあるからです。また卵巣機能が低下すると、もうひとつの女性ホルモン、プロゲステロンの分泌量も減ります。そもそも生理は、エストロゲンが子宮内膜を厚くし、さらにプロゲステロンが子宮内膜が厚くなりすぎないように安定化させ、このとき妊娠が成立しないとこれが経血として排出されて起こります。更年期にはこの2つの分泌量が不安定になって子宮内膜の厚さも変わるので、経血量が増えたり減ったり、生理の期間が長くなったり短くなったりするのです。ただ、出血があまりにも多い場合、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気の可能性もあるので婦人科で診察を受けて」

つまり生理の変化は更年期に誰にでも起こるので、過度に不安にならなくてOK。もう閉経したの? というのが気になる人は、婦人科で検査も可能。

「血液検査でFSH(卵胞刺激ホルモン)とE2(エストラジオール)の値を調べて、FSHが40‌㎖U/㎖以上、E2が10‌pg/㎖未満なら閉経と考えられます。ただ、ホルモンの値は変動するので2回以上検査が必要です」

また、更年期症状が出た場合にも、治療法は用意されている。

「女性ホルモンを補うHRTで症状は改善できますし、漢方薬などでも治療ができます。婦人科もうまく活用してこの時期を前向きにのりきりましょう」

グラフ:女性ホルモン(エストロゲン)分泌量

更年期にはエストロゲンが急激に減少するが、このとき、増えたり減ったりと乱高下しながら減っていくので生理の状態にバラつきが。

閉経した? と思ったら、こんな検査でチェック!

《FSH検査》

閉経期はE2は日によって変動し、異常高値を示すこともある。またFSHが低値であっても更年期の月経不順が始まっていることもあり、更年期のホルモン値は参考程度ととらえる。

成熟期
(基準値)
更年期
(閉経前)
閉経

女性ホルモン
エストラジオール(E2)

10~1000
pg/㎖

30
pg/㎖以下

10
pg/㎖以下

「エストロゲンを出せ」信号
卵胞刺激ホルモン(FSH)

3~20
㎖U/㎖

35
㎖U/㎖以上

40
㎖U/㎖以上

《基礎体温》

閉経すると基礎体温にも変化が。正常な生理があるときは高温期と低温期の二相に分かれるが、閉経後は低温期だけになる。

グラフ:閉経後の基礎体温の変化
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取材・原文/和田美穂 ※エクラ2022年6月号掲載

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