アラフィー世代ともなれば他人事(ひとごと)ではなくなるのが「介護」。そんなとき頼りになるのが「介護保険」だけど、「実はよくわかっていない」という人も多いのでは? 介護保険を上手に、賢く利用するための基礎知識を、介護のプロが徹底レクチャー!
介護保険の今さら聞けない基本のキ
給与から保険料が天引きされているため存在自体は知っているけれど、仕組みや利用法はよくわかっていない。そんな声が多く寄せられた介護保険、いざというときに慌てないよう、今こそ基本をしっかりおさらい!
上手な活用に必須なのは情報収集&自ら動く
アラフィー世代の親世代までは、介護は家族が担うのが一般的だった。そんな状況が大きく変わるきっかけになったのが、2000年に制定された「介護保険制度」。満65歳以上は第1号被保険者、満40~64歳は第2号被保険者となり、毎月保険料を納めることで、必要に応じて介護保険サービスを安価に利用できるという制度だ。
「これを機に、公的機関だけでなく民間企業やNPO法人など多様な事業者が参入し、競争が起こった結果、介護の質が向上。選択肢も増え、介護を家族以外の人の手に安心して任せられるようになりました。介護保険制度のおかげで、子供が親の介護のために仕事をやめなくていい、親と同居しなくてもいい時代になったと思います」というのは、10年以上にわたって介護事業に携わり、親を介護した経験ももつ河北美紀さん。
もっとも、介護保険制度導入から二十余年、コロナ禍で利用控えが起こったことなどが原因でデイサービス施設が閉鎖したり、スタッフの確保がむずかしく黒字倒産する事業者が出てきたりと、介護を取り巻く状況は安泰とはいえない。また、介護を必要とする高齢者が増加している半面、それを支える現役世代は減少しているため、介護保険料は今後さらなる上昇が見込まれている。施設の入居費や食費、日用雑貨代など、介護保険制度ではカバーされない費用もあり、金銭面での不安はつきない。
「費用の負担軽減策として高額介護サービス費や介護保険負担限度額認定などもありますが、申請が必要だからか、意外と活用されていません。そもそも介護保険制度は、サービスの利用をはじめ自己申告が基本。情報をしっかり把握し、自ら動かないと、損してしまうことがあるのです」
しかも、介護保険制度は3年ごとに見直され、利用できるサービスや料金、自己負担額の割合などが変わることがある。知識のアップデートが不可欠だが、高齢の親が最新情報を収集するのはハードルが高い。
「そんなときこそ子供の出番! 市区町村の窓口を訪ねたり、ネットで検索したりして最新の情報を収集し、親に提供してあげてください。親が住んでいるエリアの地域包括支援センターに相談するのもいいと思います。長年介護の現場に携わって実感するのは、介護はお金の問題さえ解決できれば、なんとかなるということ。読者の皆さんには、現役世代の今のうちに老後のお金をシミュレーションしておくと同時に、介護が必要になる年齢を少しでも先延ばしできるよう、運動や食事など日々の生活に気をくばってほしいですね」
介護保険サービス利用者の推移
※各年度とも年度平均値。2020年度は2021年3月サービス分の数値。厚生労働省 介護保険事業状況報告より
介護保険料の推移(ひとり当たり、月額)
※第2号保険料(40~64歳)のひとり当たりの月額(事業主負担分、公費分を含む)
厚生労働省老健局「介護保険制度をめぐる最近の動向」より
利用者増加に伴い、保険料は20年間で3倍以上に。高齢者が増える一方で現役世代が減少している日本、この傾向は今後さらに顕著に⁉
これだけは覚えておきたい「介護保険のQ&A」
保険料の額から納入する期間、利用できる年齢やサービスまで、介護保険制度にまつわる基本知識を、Q&A形式でわかりやすく解説。
Q.毎月いくら払っている?
A.第2号保険料は全国平均で月6829円
介護保険料は、収入や居住地域の自治体が定めた保険料率によって変わるが、’22年度の第1号保険料の月額平均は6014円、第2号保険料は6829円(見込額)。会社員の場合、保険料は労使折半なので、給与天引きされているのは、実際に納めている保険料の半額。そのため、全額自己負担となる第1号被保険者になると保険料が高くなるケースもある。「少子高齢化がすすむ日本では、介護保険料は今後ますますの上昇が懸念されています。’40年には第2号保険料が9000円前後になるという試算もあるほどです」(河北さん、以下同)。
Q.いつまで払うの?
A.亡くなるまで。介護保険サービス受給者となっても払います
満40歳になると介護保険制度の被保険者となり、40歳になった月から保険料の徴収がスタート。40~64歳の第2号被保険者は健康保険の保険料と一括で徴収され、65歳以上の第1号被保険者は、原則年金から徴収される(年金を受け取っていない場合や年金額が年額18万円以下の場合などは、自治体から送られる納付書で自ら納める)。
「海外居住者や生活保護受給者といった特別なケースを除き、満40歳から亡くなるまで介護保険料を納める義務があります。介護保険サービスを受けるようになったとしても、保険料納入が免除されるわけではありません」
Q.利用できる基準は?
A.65歳以上は、介護状態になった要因を問わず、誰でも利用可能
介護保険サービスを利用できる年齢は原則65歳以上。要介護認定を申請し、介護が必要な状況にあると認定されれば、要介護度に応じたサービスや費用の補助が受けられる。「ただし、介護保険料の未納があると、利用できない期間があることも。納付書を使って自分で納める場合、うっかり忘れることも少なくないので、事前に親に確認しておきましょう」。
Q.65歳未満は利用不可?
A.特定疾病で介護が必要と認められれば、40~64歳でも利用できます
「40~64歳の第2号保険者は、基本的には介護保険サービスの利用はできません。ただし、特定16疾患に罹患し、介護が必要だと認定されれば、利用が可能になります」。特定16疾病に当たるのは、がん(末期)や関節リウマチ、骨折を伴う骨粗しょう症、初老期における認知症、早老症、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患など。
Q.どんなサービスを受けられる?
A.訪問介護のほか施設での介護+医療サービス、福祉用具の貸与などさまざまです
介護保険サービスは、入浴や食事、排せつの介助といった利用者の身体に直接触れる身体的介護や、掃除や洗濯、買い物など身体に触れずに行う生活援助といった「介護」だけにとどまらず、介護とともに医療行為やリハビリ、療養指導などを一体的に提供する「介護+医療」や、要介護にならないように健康管理や運動指導などを行う「介護予防」など多岐にわたる。これらサービスは自宅で受けるだけでなく、デイサービスに出向いたり、施設に入所して利用するパターンもある。「車椅子や介護用ベッド、杖といった福祉用具の貸与や購入も介護保険サービスで利用できます。また、自宅で介護するためにバリアフリー化する場合は、工事費20万円を上限に7~9割のリフォーム費用の補助もしてもらえます」。
介護保険サービスはどうやって利用するの?
介護が必要になったからといって、自動的にサービスが受けられるわけではない。利用するには、要介護と認定してもらうための申請を自ら行うことが必須。認定がスムーズにされるよう、申請の流れや認定基準などをチェック。
どの区分に認定されるかで利用できるサービスが変わる
介護保険サービスを利用するには、市区町村の窓口に要介護認定を申請し、認められる必要がある。
「認定区分は要支援1から要介護5までの7つに分かれ、サービス利用時の支給限度額が異なります。特別養護老人ホームの入居は要介護3以上などの規定もあるので、適切に認定されることが大切」と、河北さん。
認定は、訪問調査員による利用希望者の心身状況に関する調査と主治医の意見書をもとにコンピューターが一次判定したのち、保健・医療・福祉の学識経験者で構成される介護認定審査会が二次判定をし、約1カ月で結果が出る。訪問調査は、利用希望者の身体機能・起居動作、生活機能、認知機能、精神・行動障害、社会生活への適応といった5項目をチェック。家族が介護にどのくらいの時間を要しているかも判断材料に。
「『非該当』という認定になっても、地域包括支援センターなどが行う一般介護予防事業(65歳以上が対象)を利用することは可能です。また、介護認定の申請をしなくても、国が示す『基本チェックリスト』で介護予防が必要と判断されれば、訪問看護や通所リハビリなどが利用できるので、担当窓口に相談してみましょう」
参考/河北美紀『身近な人の介護で「損したくない!」と思ったら読む本』(実務教育出版)
要介護度・要支援度別の状態区分と支給限度額
| 区分 | 要介護度の目安 | 支給限度額(月額) |
| 要介護5 | 排せつや食事など、身のまわりのことに全面的な介護が必要。ほぼ寝たきりの状態 | 362,170円 |
| 要介護4 | 日常生活全般の介助が必要。 移動や立位がひとりでできない | 309,380円 |
| 要介護3 | 日常生活、移動や立位の保持に一部介助が必要 | 270,480円 |
| 要介護2 | 日常生活、移動になんらかの介助を必要とする | 197,050円 |
| 要介護1 | 日常生活はほぼ自立しているが、なんらかの介助や見守りを必要とする | 167,650円 |
| 要支援2 | 身のまわりの一部介助や見守りを必要とし、改善の見込みあり | 105,310円 |
| 要支援1 | 日常生活はほぼ自立。なんらかの介助や見守りを必要とし、改善の見込みが高い | 50,320円 |
| 非該当(自立) | 現在、日常生活において介護や支援の必要がない状態 | 0円 |
※上記は目安であり、状態が完全に一致するものではない。
参考/河北美紀『身近な人の介護で「損したくない!」と思ったら読む本』(実務教育出版)
正しく介護認定を受けるための「7つのポイント」
審査にも携わるプロが、適切な要介護認定を受けるために押さえておきたいポイントを伝授!
1.主治医に会うときは親と同席し、ふだんの様子を正しく伝えて
要介護度の重要な判断材料になるのが、対象者の心身に関する情報。調査員が訪問して直接聞き取るほか、主治医からの意見書も参考にされる。「要介護認定は、介護を受ける本人と介護者双方からふだんの様子を聞き取るのが理想。親本人が伝え忘れたり、見栄を張って取り繕ったりする場合もあるので、子供も同席し、正しい情報を伝えて」(河北さん)。
2.本人の前で医師や調査員に伝えづらいことは「メモ」で渡すのが有効
「医師や訪問調査員に伝えたいけれど、親の前では口にしづらい内容もあるだろうと思います。そんなときはメモの活用を。『最近迷子になった』とか、『ひとりでトイレはできるけれど、床や便器を汚すようになり、あとで私が掃除している』など、サポートが必要な具体的事例や頻度を書いたメモを渡せば、意見書を書く際の参考にしてもらえます」
3.車椅子でアピールもOK!視覚で訴えよう
介護認定に必要な主治医意見書は、かかりつけ医に書いてもらうのが原則。かかりつけ医がいない場合は、市区町村が指定する医療機関を受診することになる。「診察時間はせいぜい10分前後。その短い時間の間に、初めて会う医師に介護の必要性を認めてもらうには、視覚に訴えるのがおすすめ。百聞は一見にしかず、ですから」。親の歩行が安定していないなら、病院の受付で車椅子を借りて利用したり、杖を使ったりするなど、医師が目で確認できるものを活用するのがベター。「自宅や入院先の病院に来た訪問調査員に対しても、同様の方法が有効になります」
4.必要だと思う介護度をズバリ医師にいう
主治医意見書を作成する医師は、介護の専門家ではないので、対象者が、どの程度の介護を要するかは想像がつきにくい。なので、家族が必要な介護度を率直に伝えるのも手。
「『平日はデイサービスに行ってもらえると、私も仕事をやめずにすむ』とか『要介護3以上でないと介護施設に入所できない』など、具体的に要望を伝えてみましょう。そのとおりになるとはかぎりませんが、所見に『要介護3程度』といった見立てを書いてくれる医師もいます。介護認定審査会はそれを参考にするので、一助になるかもしれません」
5.理学療法士や作業療法士と良好な関係を保つ
脳梗塞などで入院し、リハビリを受けることになれば、担当の理学療法士や作業療法士がつく。彼らは、介護認定を受ける際の頼れる存在。良好な関係を築き、自宅の間取りや部屋の状況も含め、退院後の生活について把握してもらうのが得策。「医師は主治医意見書を書く際に理学療法士や作業療法士の記録を参考にしますし、訪問調査員が病院に訪問する際、理学療法士や作業療法士が立ち会う場合もあります。そのとき、介護対象者や家族が何に困っているかを専門家としてコメントしてもらえれば、調査員に正確な情報が伝わり、認定がスムーズに進みやすくなります」
6.認知症は手間がかかったエピソードを具体的に伝える
認知症が原因で介護認定を申請する場合は、医師や調査員に、具体的なエピソードを頻度とともに伝えることが重要。「『物が見つからないといって、週に1〜2回電話がかかってくる』『買い物にいって迷子になるケースが、先月は3回あった』など、認知症が疑われる症状が出た日時や頻度、そのときの様子などを記録しておくといいでしょう。医師から認知症と診断されていなくても、認知症状があれば、介護認定の際に考慮してもらえます。暴れるなどの問題行動は、可能ならば写真や動画に撮って提示すると伝わりやすいです」
7.薬の飲み残しなど小さなことまで、面談中に伝えきる!
医師との面談や調査員の聞き取り訪問の際、介護を受ける本人に関する情報は、些細なことであっても報告を。「『高齢者なら誰にでも起こることだから』などと躊躇せず、医師や調査員に伝えてください。薬をしょっちゅう飲み忘れるといったことでも、十分介護認定の参考になります。短い時間内では伝えられないようなら、事前にメモにまとめておき、渡すというのもいいと思います」。
介護度別の「サービスとお金」のリアル
介護で最も気がかりなのはお金のこと。要介護度や要支援度によって、どんなサービスが必要で、どれくらいの費用がかかるのか。典型的なケース&読者の体験談を参考に、今のうちに心づもり&準備を。
自己負担額は原則1割。現役並み収入なら2~3割
介護保険サービスを利用した際、本人の自己負担額は、かかった費用の原則1割(年金とその他収入の合計所得が現役並みなら2~3割)。
「自己負担額が高額になった場合、高額介護サービス費という払戻制度が利用できます」(河北さん)
自己負担額は所得に応じて上限の設定があり、課税所得が380万円(年収770万円)未満なら4万4400円(食費や居住費などは対象外)、非課税世帯だと1万5000円~2万4600円。上限を超えると市区町村から支給申請書が送付され、申請すれば超過分が戻ってくる。
要支援2
例えば…過去の骨折で少し足が不自由。ひとり暮らしの場合
| 介護サービス | 内容 | 月額(1割負担額) |
| デイサービス | 週1回(水曜)、入浴あり(1回 ¥700) | ¥2,800 |
| 訪問介護 | 週1回(金曜)、生活援助を20分以上40分未満(1回 ¥230) | ¥920 |
| 福祉用具リリース | 歩行補助杖(¥100 /月) | ¥100 |
| 月額合計 | ¥3,820 |
自立した生活はできていても、足腰に負担をかける作業は家族の援助が必要な場合、要支援1や2が認められる可能性は大。訪問介護で風呂掃除や重たいものの買い物といった生活援助をしてもらい、デイサービスは介護予防のために利用したい
要介護3
例えば…ひとりでは生活できず、家族と同居の場合
| 介護サービス | 内容 | 月額(1割負担額) |
| デイサービス | 週4回(月・火・木・金曜)、 入浴あり(1回 ¥700) | ¥11,200 |
| 訪問介護 | 週2回(水・土曜)、身体介護を30分以上1時間未満(1回 ¥400) | ¥3,200 |
| 福祉用具リリース | ベッド(¥1,000 /月)、車椅子(¥600 /月)、トイレの手すり(¥500 /月) | ¥2,100 |
| 月額合計 | ¥16,500 |
認知症がすすんでいる、自分で立ち上がりや起き上がりができないなど身体的衰えが大きいものの、施設に入居はせず、家族と同居しているケース。平日4日は日中デイサービスで過ごし、週2回はヘルパーに訪問してもらい、食事や排せつ、入浴など身体的介護を受けることで、家族の負担を軽減
要介護4
例えば…特別養護老人ホームに入所の場合
⚫1日のスケジュール
| 時間 | 介護サービスの内容など |
| 6:00~7:00 | 起床 |
| 8:00~9:00 | 朝食、口腔ケア |
| 9:00~12:00 | バイタルチェック、体操、レクリエーション活動、入浴、行事など |
| 12:00~13:00 | 昼食、口腔ケア |
| 13:00~18:00 | 自由時間(15時おやつ)、テレビ、ラジオ体操、職員と調理など |
| 18:00~19:00 | 夕食、口腔ケア |
| 19:00~20:30 | 就寝準備 |
| 21:00 | 就寝 |
●費用の合計
・介護サービス料¥27,000
・居住費¥60,000
・食費¥45,000
⇒月額合計(1割負担額)¥132,000
ほぼ寝たきりや重度の認知症などの理由で、介助なしで暮らすのはむずかしく、家族で介護も困難な場合は、施設に入所するケースが多い。施設では上記のようなサービスが介護保険で受けられるが、居住費や食費、雑費は別途負担。居住費は入所する施設によって大きく異なる
読者体験談!私はこんな利用の仕方をしています!
安否確認を含め、週3回利用しています
実母は10年前にくも膜下出血を患い、要介護2に認定されましたが、驚異的に回復し、現在は要支援1。自活できてはいますが、ひとり暮らしなので安否確認も含め、毎週火・木曜は主に買い物や掃除のためにヘルパーさんに来てもらい、金曜は一日中デイサービスを利用中。費用は、1割負担で、毎月ヘルパー約2500円とデイサービス約5000円。(52歳・主婦)
社会との接点維持を目的に週1回デイサービスへ
91歳の父は要介護1、84歳の母は要支援1。父は筋力の維持と強化目的の訪問リハビリを週1回(2割負担で月6700円)、訪問看護を月1回(同2000円)利用していたが、今夏体調をくずし、現在入院中。歩行や自立排せつが困難になったため今後リハビリ病院に転入予定だが、転院先などをケアマネジャーに相談できるのは心強い。母は、日常生活に困っていないので現在はサービスを利用していないが、父の入院中はひとり暮らしになるので、社会との接点を維持するために、週1回、運動目的の半日デイサービスを利用予定。(55歳・ライター)
老々介護の母にとってヘルパーはよき相談相手
20年前に脳出血で右半身マヒになった実父(81歳)は、要介護3認定を受けていて、デイサービス(昼食あり)と訪問介護(主に入浴介助)を週3回ずつと、月2回の訪問診療を利用。介護ベッドと車椅子のレンタル代を含め、1割負担で月約3万500円、ほかにイレギュラーでショートステイ(2〜3泊)を頼むこともあります。介護を担っている母にとって、ヘルパーやケアマネジャーはよい相談相手になっていますし、多くの人に見守ってもらっているようで、離れて暮らす私も安心できます。(53歳・講師)
介護保険制度「こんなとき、どうする?」
読者アンケートで目立った悩みや疑問をピックアップ。それに対する専門家のアドバイスはいかに!?
Q.見た目が元気な親は、どんなタイミングで認定の申請をすればいい?
A.まずは冷蔵庫をチェックしてみて
離れて暮らしているうえに、身体的には問題がなさそうな親の場合、介護が必要かどうかの判断がむずかしい。「帰省の際、ぜひ確認してほしいのが冷蔵庫。同じ食品が大量にあったり、冷凍品が冷蔵スペースに入っていたりするようなら、認知症が始まっているかもしれません。今まで片づいていた部屋が散らかっている、動線上に物が置かれていて危険な状況にある、薬を正しく服用していない、エアコンが適切に使えていないなども、危険信号です。また、日中家に閉じこもっていたり、友人知人や地域との交流が途絶えている場合も要注意なので、何げない会話から探ってみましょう」(河北さん)。
Q.親が遠くに住んでいる場合の手続きはどうしたらいい?
A.要介護認定の代行や相談は無料です
申請は、本人または家族が、本人が住んでいる市区町村の担当窓口で行うのが基本。ただし、両者ともになんらかの事情で手続きできない場合、本人の居住地の地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などに申請の代行を依頼できる。「介護サービス利用を希望する際は、介護サービス事業所の紹介もしてくれます。なお、要介護認定の代行や相談は無料です」。
Q.親が介護認定を受けたがらない場合、どう説得したらいい?
A.実際に親にとって困り事があったときに提案を
「頑(かたく)なに介護認定を拒否していた親が申請しようという気になるのは、体調不良で動けなくなり、子供も遠距離や仕事ですぐに助けてもらえないと痛感したときが多いですね。そのタイミングで、『介護事業所と契約しておけば、緊急時に駆けつけてもらえる』とすすめてはいかがでしょう。『衰えたからではなく、今後も安心して自立した在宅生活を続けるために介護認定の申請をするんだ』と認識できれば、親もプライドを傷つけられず、受け入れやすいだろうと思います」
Q.親が介護サービスをいやがる場合、こんなときはどうする?うまく利用させる方法は?
A.親本人が「助かる」と実感できるサービスから始めて
そもそも介護サービスは、困り事を解決するために利用するもの。なので、親が何に困っているかを観察し、その解決策になるサービスから始めて。重いものの買い物がつらいようなら、それをヘルパーに代行してもらい、親に「これは助かる」と実感してもらうといった具合。「デイサービスの利用を促したいなら、少し先に家族旅行など楽しい予定を設けては? 『子供や孫と出かけるためなら、デイサービスでの運動もがんばれる』という利用者は少なくありません。『いつまでも元気でいてほしいから、体力づくりに行ってほしい』と、ストレートにお願いするのもおすすめです」。
Q.全額自己負担になる費用もあるらしいので心配です……
A.介護保険負担限度額認定の検討を
介護施設の居住費や食事などは全額自己負担だが、親の入居先が特別養護老人ホームのような介護保険施設で、住民税非課税世帯ならば、介護保険負担限度額認定を活用して。自ら申請しなくてはならず、預貯金の額など細かい条件をクリアする必要があるが、認定されれば施設の居住費と食費が軽減される。「要介護4~5や重度の認知症なら、特別障害者手当の申請も検討を。承認されると、年間約33万円受給できます。また、独自の介護費用補助を行っている自治体もあるので、一度調べてみるとよいでしょう」。民間の介護保険に加入し、備えるのも一案。商品によって条件などが異なるので、しっかりリサーチし、自分たちに適したものを選んで。
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