あなたが描いている“家族”は思い込みかも!?【50歳から考える家族のかたち】

親の介護や看取り、子どもの独立、夫の定年など、家族の節目や転換期に直面する機会が多い50代。だからこそ感じてしまう、「家族って何?」という疑問。少子高齢化や未婚率の上昇など、社会が大きく変化する「今」だからこそ考えたい“家族のかたち”とは?

家族との関係に息苦しさや疑問を抱く人が増えている

エクラでは、介護や相続、お墓といった問題から、卒母や卒婚のような親子や夫婦の関係まで、この世代が直面しがちなテーマを扱ってきた。そこで、必ず寄せられるのが、家族との付き合い方に悩み、苦しむ読者の声。

「ひとり娘なので、両親に何かあれば、私が面倒を見なければと思っている。でも、実母とは折り合いが悪いので、正直憂うつ」(47歳・会社員)

「もう何年も前から、夫との間に愛情はない。子どもが巣立った今、なぜ夫婦を続けているのか、自分でも不思議に思うことがある」(51歳・パート)

「息子は2年前に会社をやめて以来、ニート状態。この先ずっと親に頼って生きるつもりなのかと思うと、目の前が真っ暗に」(53歳・専業主婦)

もしかしたら、家族という存在に息苦しさや違和感を抱く人が増えているのでは? そんな疑問から生まれたのが、今回の企画だ。

 世間で注目されている“家族もの”にも、昔ながらの大家族を扱った作品もあれば、血縁によらない新しい家族を描く作品もある。今、家族のかたちは、大きく変化しつつあるのかもしれない。この機会に、自分にとって家族とは何か、今後どう向き合っていくか、一緒に考えてみませんか?

今、家族の話題がアツい!

家族もの ドラマ
家族 本
万引き家族 映画

’15年に発売のエッセイ『家族という病』がベストセラーとなり、新しい家族のかたちを描き続ける是枝裕和監督の最新作『万引き家族』が、第71回カンヌ国際映画祭の最高賞・パルムドールを受賞。

今年放送の連ドラでは『あなたには帰る家がある』や『義母と娘のブルース』(ともにTBS)が話題になるなど、ここ数年、家族をテーマにした作品に注目が集まっている。

実社会でも、同性カップルを後押しする「パートナーシップ制度」を導入する自治体が急増。9月に逝去した樹木希林さんの40年以上におよぶ別居婚に、"新しい夫婦のあり方" と、エールを送るエクラ読者も多数いた。

「日本は家族の転換期を迎えています」

あなたが描いている“家族”は思い込みかもの画像_1

読者100名へのアンケートで、家族をどうとらえているかたずねたところ
「家族は唯一無二の存在。支えあい、助けあっていきたい」と、「血縁に縛られず、苦になるならかかわらなくてもよいと思う」に、意見が大きく二分された。

とはいえ、後者の中には、苦しみながらも、親やきょうだいと深くかかわっている人も目立つ。その裏には、「家族の絆は切っても切れない」という“すり込み”があるよう。そこで浮かぶのは、「そもそも家族って何?」という疑問。家族社会学が専門の岩間暁子さんは、「家族の内実は、時代や社会、階層、地域などで異なります」と。

「エクラ世代の多くは、夫婦と未婚の子どもから成る、いわゆる“核家族”で育ち、自分たちも核家族を形成していることでしょう。けれど、このかたちが一般的になったのは、高度経済成長期の1950年代半ば以降。それ以前は祖父母や親戚のほか、使用人といった血縁のない人々も同居するケースも多く見られました。つまり、現在私たちが“家族”だとイメージしているかたちは、ここ60年ほどの歴史しかないのです」

高度経済成長期は、性別役割分業が進んだ時代でもある。夫はモーレツ社員として外で働き、家のことは妻が一手に引き受ける。そのほうが、経済効率がよかったからだ。エクラ世代が生を受けたのは、そのスタイルが定着したころ。私たちが、「家事や育児、介護は、女性である自分がすべき」ととらえがちなのは、そのせいかもしれない。

家族構成は単独世帯が最多に

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「けれど、グローバル化による企業間競争の激化や経済の停滞などで、夫が勤める企業が、その家族を支えるという機能は低下しました。そうした経済的な理由に加え、女性の意識変化もあり、結婚後も働く女性が増え、1997年には、共働き世帯数が専業主婦世帯を上回りました。ところが、それまで主に妻が担ってきた家事や育児、介護を代替しうるサービスの整備は進まず、男性の分担を促そうにも、それを阻む長時間労働はなかなか是正されません。それは、日本の社会保障制度が、夫が主な働き手であることを前提につくられてきたのも一因でしょう」

また、バブル経済崩壊後、非正規雇用が急増。非正規雇用者は、正規雇用者に比べて収入が低く、経済的に不安定なため、結婚にも二の足を踏んでしまいがち。結果、生涯未婚率が増え、少子化や人口減少も加速している。一方で、自治体のパートナーシップ制度導入が広がり、証明書を交付された同性のカップルも増えつつある。それを考えると、私たちの子ども世代は、「結婚し、子どもをもつ」のがあたりまえではなくなっていても不思議はない。だとしたら……、今私たちにすり込まれている「親は子どもを育て、成人した子どもは老齢になった親の世話をする」という“家族の役割”は、おのずと消滅しそう。

「家族のあり方は、社会と密接に関係していて、普遍的なものではありません。同じ国や時代であっても、属している階級や地域、民族などによって違いがあるのも当然ですし……。 家族の機能にしても、『こうあるべき』という決まりはなく、自分たちの家族で考えるしかないのだと思います」

読者アンケートに寄せられた「家族問題SOS!」

私も夫もひとりっ子。両家それぞれにお墓があるのだけれど、どちらも引き継ぐのは大変だし、それをまた子どもに継いでもらうのも心苦しい。(47歳・フラワーデザイナー)

夫の親類は高学歴な人ばかり。子どもの人生は子どものもの。わかってはいるのに、親類への見栄やプライドから、プレッシャーをかけてしまう自分がいます。(48歳・公務員)

義父母の存在がいや。いろいろあった末、十数年前から絶縁状態だけど、介護や相続の話が出たら、かかわることが出てきそうで、憂うつ。(47歳・自由業)

義母からも実母からもなにかと頼られ、正直疲れます。遠方に住んでいるのに、「今週末来て」などと勝手なことをいうし。年をとって、ますますワガママになったみたい。(51歳・会社役員)

子どものころから気が合わなかった実姉。なんでも仕切りたがり、自分の思うようにしないと気がすまない人なので、相続のときも勝手なことをいいそうで怖い。ひとり暮らしの母が、そんな姉を頼っているのも心配。(50歳・専業主婦)

今は、両親が別居しているけれど、万が一母が先立って、父がひとり残されたら……。子どものころからそりが合わなかったので、父とのやりとりを想像するだけでも不安。(45歳・自営業)

義父母は遠方に住んでいるものの、夫は長男なので、いずれは面倒を見なくてはいけないと思っています。ただ、故郷を離れたくないといっているので、どうすればいいのか悩みます。(53歳・専業主婦)

夫と仲が悪いわけではないけれど、離婚も視野に入れつつ、お互いに今後も成長できる自立した関係を模索中。(51歳・カウンセラー)

教えてくれたのは……

立教大学社会学部教授 岩間暁子さん
専門は家族社会学、社会階層論、マイノリティ論。著書に、『女性の就業と家族のゆくえ』(東京大学出版会)、『問いからはじめる家族社会学』(共著/有斐閣)などがある。

50歳から考える「家族」のかたち 記事一覧

【親の介護】子の役割は、“担い手”ではなく“司令塔”!【5大家族問題・解決のヒント】
【卒母】子育ての卒業で得られるのは喜び?寂しさ?【5大家族問題・解決のヒント】
【夫婦関係】人生の後半戦に入り、夫婦関係も岐路に……【5大家族問題・解決のヒント】
取材・文/村上早苗 イラスト/コバヤシヨシノリ 写真提供/講談社(P.186)

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