あなたが描いている“家族”は思い込みかも!?【50歳から考える家族のかたち】

親の介護や看取り、子どもの独立、夫の定年など、家族の節目や転換期に直面する機会が多い50代。だからこそ感じてしまう、「家族って何?」という疑問。少子高齢化や未婚率の上昇など、社会が大きく変化する「今」だからこそ考えたい“家族のかたち”とは?

家族構成は単独世帯が最多に

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「けれど、グローバル化による企業間競争の激化や経済の停滞などで、夫が勤める企業が、その家族を支えるという機能は低下しました。そうした経済的な理由に加え、女性の意識変化もあり、結婚後も働く女性が増え、1997年には、共働き世帯数が専業主婦世帯を上回りました。ところが、それまで主に妻が担ってきた家事や育児、介護を代替しうるサービスの整備は進まず、男性の分担を促そうにも、それを阻む長時間労働はなかなか是正されません。それは、日本の社会保障制度が、夫が主な働き手であることを前提につくられてきたのも一因でしょう」

また、バブル経済崩壊後、非正規雇用が急増。非正規雇用者は、正規雇用者に比べて収入が低く、経済的に不安定なため、結婚にも二の足を踏んでしまいがち。結果、生涯未婚率が増え、少子化や人口減少も加速している。一方で、自治体のパートナーシップ制度導入が広がり、証明書を交付された同性のカップルも増えつつある。それを考えると、私たちの子ども世代は、「結婚し、子どもをもつ」のがあたりまえではなくなっていても不思議はない。だとしたら……、今私たちにすり込まれている「親は子どもを育て、成人した子どもは老齢になった親の世話をする」という“家族の役割”は、おのずと消滅しそう。

「家族のあり方は、社会と密接に関係していて、普遍的なものではありません。同じ国や時代であっても、属している階級や地域、民族などによって違いがあるのも当然ですし……。 家族の機能にしても、『こうあるべき』という決まりはなく、自分たちの家族で考えるしかないのだと思います」

読者アンケートに寄せられた「家族問題SOS!」

私も夫もひとりっ子。両家それぞれにお墓があるのだけれど、どちらも引き継ぐのは大変だし、それをまた子どもに継いでもらうのも心苦しい。(47歳・フラワーデザイナー)
夫の親類は高学歴な人ばかり。子どもの人生は子どものもの。わかってはいるのに、親類への見栄やプライドから、プレッシャーをかけてしまう自分がいます。(48歳・公務員)
義父母の存在がいや。いろいろあった末、十数年前から絶縁状態だけど、介護や相続の話が出たら、かかわることが出てきそうで、憂うつ。(47歳・自由業)
義母からも実母からもなにかと頼られ、正直疲れます。遠方に住んでいるのに、「今週末来て」などと勝手なことをいうし。年をとって、ますますワガママになったみたい。(51歳・会社役員)
子どものころから気が合わなかった実姉。なんでも仕切りたがり、自分の思うようにしないと気がすまない人なので、相続のときも勝手なことをいいそうで怖い。ひとり暮らしの母が、そんな姉を頼っているのも心配。(50歳・専業主婦)
今は、両親が別居しているけれど、万が一母が先立って、父がひとり残されたら……。子どものころからそりが合わなかったので、父とのやりとりを想像するだけでも不安。(45歳・自営業)
義父母は遠方に住んでいるものの、夫は長男なので、いずれは面倒を見なくてはいけないと思っています。ただ、故郷を離れたくないといっているので、どうすればいいのか悩みます。(53歳・専業主婦)
夫と仲が悪いわけではないけれど、離婚も視野に入れつつ、お互いに今後も成長できる自立した関係を模索中。(51歳・カウンセラー)
教えてくれたのは……
立教大学社会学部教授 岩間暁子さん
専門は家族社会学、社会階層論、マイノリティ論。著書に、『女性の就業と家族のゆくえ』(東京大学出版会)、『問いからはじめる家族社会学』(共著/有斐閣)などがある。

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