内容は同じなのに、受け入れやすいアドバイスもあれば、否定や自慢のように聞こえ、人の心を遠ざけてしまうことも……。損する言い方をしてしまう人のくせを通じて、好感度を下げずに、よりよい人間関係を築ける言い方を、話し方講師がレクチャー!
①会話する際の心構え
会話は自分主体ではなく相手ファーストで!
「言い方には、その人の知性や相手への思いやりの有無が如実に出ます」
そう話すのは、好感度が大切な、アナウンサーであり、話し方講師としても活動する渡辺由佳さん。
「人生の経験値が増えると、それをもとに語りがちですが、そうしたものの言い方は、上から目線に感じられます。言葉をどう受け止めるかは、相手によって十人十色。独善的に意見せず、あくまで提案として、『~ほうがいいと思う』などの言い回しを使うと、共感されやすくなります」
コロナ禍で増えたのがメールやLINEでのコミュニケーション。文字しか情報がなく誤解を生みやすい。
「心理学のメラビアンの法則によれば、人の印象は55%が視覚、38%が聴覚で決まり、言語の割合は7%にすぎません。テキストメッセージやマスクをつけた会話では表情が読みにくく、悪気のない言葉でも相手を傷つけたり、思いがけない意味にとられたり、会話の双方がいい気分になれず“損する”可能性が高いといえます。特に、感情がからむシーンでは、言葉をつくしたいですね」
②損している人の5大ぐせ
相手を身構えさせる
損「老婆心ながら、あなたのこれからが心配で…」
得「あなたのこれからのことが心配だから、何かあったらいつでも連絡してね」
むしろいわないほうが好感をもたれる
「老婆心ながら」というフレーズは、上から目線のニュアンスが出て、気を遣ったつもりが逆効果。「むしろ使わないほうが、『ダメ出しされる』と相手を警戒させずにすみます。また、相手のことを思うからこその提案だと伝わるように、前向きな表現を心がけましょう」。トラブル後の相談をしたいときの「ちょっと困ったことに……」も、相手を身構えさせるフレーズ。「『お知恵をお借りしたくて』と言い換えたほうが、相手への信頼や尊敬が感じられ、聞く耳をもってくれるはずです」。
価値を一方的に決めつける
損「その服、地味すぎない?」
得「もうちょっと明るい服のほうが似合うと思うよ」
自分の価値判断で否定せず、提案型の言い方を
自分の意見をいうときは、受け取った人の気持ちに想像をめぐらせないと、何げないひと言でも、相手は不愉快な気持ちになり、場合によっては、けんかを売られていると感じることもある。「否定的な言葉をストレートにいうのではなく、こうしたほうがもっとよくなるという提案型の言い方のほうが、相手にとっては、素直に受け入れやすく、有意義なアドバイスになります。提案する際も、『~べき』と自分の価値判断で決めつけて、自分の意見を相手に押しつけないように注意しましょう」。
ちょっとした会話で反論する
(「今日は寒いね」と言われて)
損「そう? これくらいはどうってことないよ」
得「お鍋がおいしくなる季節だよね」
「でも」「逆に」などすぐ否定する言葉もNG
意見をいうことは、成熟した会話に不可欠。しかし、軽い会話でいちいち反論すれば、「面倒な人」というマイナスな印象にしかならない。「正面から反論された相手は、次の言葉をいいにくくなります。会話はキャッチボール。『今日は寒いね』に対して『お鍋がおいしくなるよね』と返せば、『一緒に食べにいこう』など、話はどんどん進んでいきます」。「でも」「逆に」という接続詞も要注意。「いわれた側は話を遮られたように感じるので、口ぐせになっている人は、すぐに直しましょう」。
言葉そのものがネガティブ
損「そういうのダメなんだよね」
得「好きな人にはたまらないよね」
発した会話も人も、悪い印象で塗りつぶしてしまう
「ダメ」「無理」「嫌い」「悪い」といった“ネガティブワード”は、使った瞬間、会話そのものが一気にマイナスイメージを帯びてしまう。「これらの言葉は、他人の価値観を許容しない、ひとりよがりな人という印象を与え、話し手はまさに“損”することに。また、言葉には発する人の気分がのっかり、その人の印象を決める力があります。例えば『これは無理』というとき、人は眉間にシワがよったり、いい表情になりません。自分自身の印象を悪く塗り固めないためにも、ネガティブワードはポジティブに転換するくせづけを」
言葉足らずで“真意”が伝わってない
損「髪、切ったの?」
得「髪、切ったの? すごく似合うね!」
中途半端な言葉は人を疑心暗鬼にさせる
「髪、切った?」などと聞かれ、質問の意図を測りかねてとまどった経験はないだろうか。「そう聞く人の多くは、『新しい髪型が似合う』とほめたいはず。しかし、聞かれた側は『似合っていないのかも』と疑心暗鬼になります。『やせた?』も『やせてカッコよくなった』までいわないと、『やつれた』と受け取られる危険が」。真意が伝わりにくい言葉には、「大丈夫です」もある。「妥協しているのか、太鼓判を押しているのか、どう大丈夫なのか言葉で補うことが、相手への気遣いであり、安心させることができるのです」。
③会話で気をつけたいポイント
2. アイコンタクトもセットでうなずく。
3. ネガティブな話のときは語気を強めない。
4. 相手が考える“間”をつくる。
マスク生活で油断して、つい無表情で会話をしがち。「目が見えていれば、表情は伝わります。口角や頰もしっかり上げないと、目もとで笑えませんよ。そして、相手と目を合わせると好印象です」。声のトーンや間のとり方も大切。「感情が出やすいネガティブな会話ほど、淡々と冷静に。意識的に間をとり、相手が内容を整理する時間をつくりましょう」。
④メールで気をつけたいポイント
2. 冒頭に“ありがとう”の言葉を意識的に入れる。
3. 「(笑)」や「!」を多用しない。
4. 気持ちを通わせる言葉を入れる。
送信前に2回読み直すくせづけを。「1回目は誤字脱字、2回目で相手を不愉快にさせる表現がないか確認します。冒頭に、『連絡ありがとう』『最近、お忙しいですか?』など、短くても感謝や親しみを感じられる言葉があると、気持ちが通い合いやすくなります。「(笑)」や「!」の使用には注意を。相手によっては、笑いや驚きを強要される感じを受けます」。
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