おひとりさまを極めし“達人”には、達人ならではのノウハウがある。ひとり登山といえば、鈴木みきさん! ひとり登山をエンジョイするためのコツを伝授してもらった。
山登りでは、必ずしも山頂まで行かなくてもいい
24歳のときに、カナダ旅行をきっかけに山の魅力にハマり、スキー場や山小屋バイトの休み時間にひとりで山登りをしていたという、イラストレーターの鈴木みきさん。
「もともとひとりっ子なのでひとり行動に抵抗はなく、人と約束をして一緒に行くほうがハードルが高いかも……。実は私、運動ができないタイプで歩くのも遅いので、誰かに迷惑をかけてしまうのでは?と気にするところもありました。ひとり登山最大のメリットは、行きたいときに行けるということ。あと、山をひとりじめできる感じもいい。自分がいいと思った景色の場所でいつでも、好きなだけ立ち止まることもできます」
『ひとり登山へ、ようこそ!』を発表したとき、読者に「ひとりで山登りしちゃいけないんだと思ってました」といわれ、驚いたという。
「でも、ひとりだからこそ自分しだい。なんなら山頂まで登らなくてもいいんです。山頂に行きたい人や体力がある人は行けばいいし、そうでなければ麓の森を散策するだけでも立派な山登りなんですよ!」
かつて、山登りをする女性が少なかったころは、じろじろ見られ、「なんでひとりで来るんだ?」と怒られ、おせっかいなおじさんに話しかけられたりといろいろあったという。今では、女性ひとり登山の許容度が上がり、ひとりで山小屋やテントに泊まる女性も増えてきたという。
「でも、誰かに頼りたいときは、いろいろ教えてくれるおじさんをうまく利用してもいいと思うんです(笑)。大人だからこそ身についた、ある種の図々しさとでもいいますか……」
大人なんだから、いい道具に頼ってもいい!
ひとり登山に挑戦するにあたって、気になるのは装備だ。
「登山靴やトレッキングシューズはあったほうがいいです。スニーカーより滑りにくく、なにより靴が整うと疲れにくくなります。あと、レインウエアとヘッドライトがあると安心。ワークマンなどで手ごろな値段のものが売っていますし、大人なんだから、いい道具に頼ってもいい! いいものを買うとテンションも上がります。登山道具は実は防災用品としても役に立つので、持っていて困るものではありません」
ひとり登山のもうひとつの楽しみは、「アフター登山」! 温泉につかったり、地元のおいしい料理を食べたり、というのもひとりなら心ゆくまで堪能できるのが魅力だ。
「まさに自分にごほうび。なんともいえない優越感や解放感に浸れます」仕事以外ではほとんどひとりで登山に行くという鈴木さん。
「自分と向き合い、考えることができる大切な時間で、なにより自分を強くしてくれるんです」
ひとり登山中、心の中では楽しんでるんだけど、あえて不機嫌な顔をして、“話しかけるなオーラ”を発します。おせっかいが苦手なら、それを主張して拒絶してもいい!
ひとり旅のコツ
《1》アクセスのいい山を選ぼう!
山登りの大変なことのひとつは、登山口に行くまでが遠いところ。初心者ならなおさら、高尾山や六甲山のようにアクセスのいい山から始めたほうがいい。
《2》コースタイムはかなり余裕を見る
所要時間が「3時間」とあれば、1〜2時間は余裕を見ておこう。一度誰かと登ったことがある山であっても、ひとりで登ると予想以上に時間がかかるもの。
《3》人目につきやすい山から登ろう
ひとり登山だと、ケガや滑落などに遭遇しても発見されないリスクがある。慎重さが一番だけど、あえて週末に人気の山を選ぶなど、人目につきやすさを意識して。
《4》誰かに登山のことを伝えておく
山に登るのはひとりでも、身近な人にメールで「○○山に行ってくる」と連絡しておこう。パソコンやスマートフォンから警察に登山届を提出することもできる。
《5》ネット情報よりガイドブックを
なんでもインターネットで調べられる時代ですが、表示された情報が正しいとはかぎらない。山のプロの目がいくつも入ったガイドブックで情報収集したほうが安心。
『ひとり登山へ、ようこそ! 女子のための登山入門』
“山ガール”ブーム火付け役の著者が、ひとりで山を楽しむコツや喜びを、笑いあり涙ありのマンガで紹介。¥1,320 平凡社