文芸評論家・ 斎藤美奈子さんが解説する、変わる世界と「本」の現在地。“新しい日本語”の使い手が登場! 近現代史をもとに独自の言葉遣いが光る2冊に注目。
新人文学賞には、衝撃作が続々 “新しい日本語”の使い手が登場!
『みどりいせき』
大田ステファニー歓人
集英社 ¥1,870
『月(ちち)ぬ走(は)いや、馬(うんま)ぬ走(は)い』
豊永浩平
講談社 ¥1,650
『みどりいせき』は今どきの砕けた口調で闇バイトに巻き込まれるティーンを書いた小説。『月ぬ走いや、馬ぬ走い』には沖縄の近現代史が地元の言葉などを駆使して書かれている。2作とも若手男性作家のデビュー作だ。
「文章に破壊感があるのが『みどりいせき』。“こんなのもアリなんだ!”という驚きがあります。『月ぬ走いや、馬ぬ走い』には沖縄の歴史とハイパーな日本語がドッキングしたおもしろさが。好みが分かれるかもしれませんが、読み手をハッとさせる彼らの言葉遣いがどうなっていくのか、これからの活躍が楽しみです」
文芸評論家・斎藤美奈子さんが解説!変わる世界と、「本」の現在地
災害や物価の高騰など、不安要素が多かったこの一年。世の中を見渡せば「普及当初は誰でも意見を発信できると期待されたSNSですが、最近は選挙や事件の際にデマが拡散されるなどマイナス面も。“民主主義って何?”と考えさせられましたね」と斎藤さんは語る。
「芸能界だけでなく社会的にも大きな問題になったのが性暴力。ここ数年続けざまに表面化していますが、それを防ぐための本が出てきています。また最近はオンラインカジノの話をよく耳にしますが、ギャンブル関連の本には長く売れているものもあるんです」
一方、本の売り上げに目を向けると、’24年のベストセラーには今までになかった現象が。「ランキング上位の本は前年のベストセラーの続編がほとんど。子供向けの本も多く、“世の大人たちが読んでいた本”という感じがあまりしない。とはいえ、小説の世界では新感覚の日本語を使う作家が登場したり、韓国の女性作家、ハン・ガンがノーベル文学賞を受賞したりと明るい話題も。ネットでは得られない本独自の魅力に今後も注目していきたいですね」