毎年開催している文芸エクラ大賞。3回目となる今年は、新型コロナ感染症の影響ですべての人が自粛生活を経験。「久しぶりに家でじっくり本を読んだ」「読書で自分を見つめ直した」という声が多く聞かれた。本読みのプロ・書店員たちはどのような本を読んでいたのだろうか。
第3回文芸エクラ大賞「書店員賞」発表!
文芸エクラ大賞とは?
私たちはさまざまなことを本から学んだ世代。読書離れが叫ばれて久しいとはいえ、本への信頼度が高いという実感がある。エクラではそんな皆さんにふさわしい本を選んで、改めて読書の喜びと力を感じていただきたいという思いから、この賞を創設。’19年6月~’20年5月の1年間に刊行された文芸作品から、エクラ書評班が厳選する「大賞」、ほかにも注目したい「特別賞」、そして本の現場にいる女性書店員がイチ押しする「書店員賞」の3賞を選定。選考基準は、エクラ読者に切実に響き、ぜひ今読んでほしいと本音でおすすめできる本。きっと、あなたの明日のヒントになる本が見つかるはず!
書店員賞
この世はとかく生きづらい。そう感じたらこの本を読んでみて
━━ 紀伊國屋書店梅田本店 小泉真規子さん
『どうしても生きてる』
朝井リョウ 幻冬舎 ¥1,600
「何もかも投げ出したくなる日もあるけれど、そんな日はこの本を読めば、とりあえず生きてみようと思える」(小泉さん)。鮮烈なデビューから10年の作者が、普通の人々の鬱屈した思いを切り取り、その内側に迫った短編6編を収録。
小泉さんの「これもおすすめ!」
・『わたしの美しい庭』凪良ゆう ポプラ社
・『希望のゆくえ』寺地はるな 新潮社
「本屋大賞とは違う作品を」と思いながら、はずすことができませんでした
━━ ジュンク堂書店池袋本店 西山有紀さん
『流浪の月』
凪良ゆう 東京創元社 ¥1,500
女児誘拐事件の被害者と犯人。でも更紗と文にはかけがえのない絆があった。本屋大賞受賞作。「自分の目で確かめたものしか信じない、信じてはいけないと自戒させられた。価値観を根底から覆されるほど、衝撃を感じた小説」(西山さん)。
西山さんの「これもおすすめ!」
・『ライオンのおやつ』小川 糸 ポプラ社
・『おちび』エドワード・ケアリー 古屋美登里/訳 東京創元社
“普通”は誰が決めるものでもないと思えました
━━ ブックファースト阪急西宮ガーデンズ店 佐藤みどりさん
『結婚の奴』
能町みね子 平凡社 ¥1,500
「さまざまな生き方が認められる世の中になってきたとはいえ、“ひとり暮らしに飽きたから”恋愛抜きの結婚をする作者には心底驚かされた」(佐藤さん)。人気エッセイストとゲイの男性がつくっていく、恋愛でも結婚でもない暮らしとは。
佐藤さんの「これもおすすめ!」
・『慟哭は聴こえない デフ・ヴォイス』丸山正樹 東京創元社
・『流人道中記』上・下 浅田次郎 中央公論新社
まるさんの感情を表現する言葉が抜群によいです
━━ 有隣堂アトレ恵比寿店 高橋由美さん
『さいはての家』
彩瀬まる 集英社 ¥1,500
駆け落ちした人、雲隠れした人……彼らがたどりついた「家」について気鋭の作家が描く。「その家にはなぜだか何かから逃げてきた人たちが集まるけれど、この生活は続かないだろうなという予感がする。感情表現抜群の連作短編集」(高橋さん)。
高橋さんの「これもおすすめ!」
・『ファースト クラッシュ』山田詠美 文藝春秋
・『逆ソクラテス』伊坂幸太郎 集英社
物語もすばらしいのですが、詠美さんの変わらぬ鮮烈さはスゴイ!
━━ 代官山 蔦屋書店 間室道子さん
『ファースト クラッシュ』
山田詠美 文藝春秋 ¥1,500
三姉妹がいる家庭に父親の愛人の子である少年が引き取られる。やがて彼女たちもその母親も彼のとりこになり、それぞれのやり方で愛するように。「避けようのない愛の反応。いつのまにかの立場の逆転。甘美さと残酷さに圧倒された」(間室さん)。
間室さんの「これもおすすめ!」
・『たおやかに輪をえがいて』窪 美澄 中央公論新社
・『去年の雪』江國香織 KADOKAWA