エクラの美容記事でもおなじみのライター・山崎敦子がお届けする韓流ドラマナビ。18回目の今回は、韓国エンタメの“お家芸”ともいえるノワール作品『マイネーム:偽りと復讐』をご紹介!
『マイネーム:偽りと復讐』で主演のジウ役を演じる、ハン・ソヒ
ちょっぴりハードな「切ない」に浸れる、韓国ノワール作品
切ない物語はお好きですか? 実らない初恋、片思い、好きな人との別れ……などなど、ラブロマンスによくある胸がキュンと締め付けられるようなほんのり甘く味付けされた「切ない」も、私的にはかなりな好物ではありますが、時にはもっとずっと深く重く、ギリギリと胸をえぐらていくようなハードな「切ない」が欲しくなる時もあります。そんな気分の時こそ、韓国ノワール作品の出番。
ご存知の通り、韓国はノワール作品の宝庫。最近で言えばアカデミー賞受賞作の映画「パラサイト」とか、古くは「シュリ」(1999年=私のリアルタイムに観た人生お初の韓国映画がこれ)や、名作「新しき世界」(2013年)、私の大好きな「コインロッカーの女」(2015年)などなど、特に映画ジャンルにおいて傑作、名作が目白押しと言われています。
『マイネーム:偽りと復讐』で麻薬組織の会長チェ・ムジン役を演じる、パク・ヒスン
「ノワール」とはフランス語の“黒”を意味する言葉ですが、その文字が示すとおり、暗黒をテーマに描き出される小説や映画、ドラマなど、広義的には社会の裏事情や人間の奥に潜む闇を映し出した作品全てがノワールジャンルに相当するのですが、そんななかでもマニア的なファンが多いのが、麻薬組織や暴力団などのいわゆる裏社会を舞台に描かれる作品。
殺人も暴力も生ぬるさゼロの容赦のない描写(特にナイフでグサグサやる韓国ドラマのリアルさには思わずヒ〜っと叫ばずにはいられません、マジで)は、前回ご紹介した「イカゲーム」ではありませんが、なかなか手が出せないという方も多いとは思います。でも、そこをあえて推薦したい。非道がベーシックな犯罪組織という極限の世界だからこそ、ほかのジャンルでは絶対に描き出せないであろう匂い立つような、むせ返るような究極のロマンも成立するわけでして。
初っ端から容赦ない展開!父を奪われた少女の壮絶な復讐劇
ということで、この作品です。もちろんノワールもの。父を殺された少女が、復讐のために自ら犯罪組織に入り、父殺しの犯人がいるであろうと目される警察組織に警察官として潜入、緊張感あふれる復讐劇が展開するという内容。マニアからしてみれば、多分“ノワールあるある”のストーリーだてではありますが、胸えぐられるような「切なさ」を味わえる、エクラ世代のノワール初心者にこそぜひおすすめしたい作品。
韓国最大の麻薬組織の幹部構成員である父を持つユン・ジウ(ハン・ソヒ)が、このノワール物語のヒロインです。父の逮捕に躍起となる刑事は、ジウが通う高校にも自宅にもピタリと張り付き、そのせいでジウは高校で激しいイジメに遭う毎日。そんな父でも、ジウにとっては一人きりの肉親。友人もなく世間からも阻害される孤独なジウを無条件に愛してくれる唯一の心の拠りどころなわけでして。ところが、ジウの誕生日。その愛する父は、扉ひとつ隔てたジウの目の前で何者かに殺害されてしまうのです。
さすがノワール作品、初っ端から容赦のない展開です。そうして、一人きりの最愛の人を失うという絶望のなかで、ジウの心に残されていたのは父を殺した犯人に復讐するという選択のみ。
その犯人を探すために、ジウは迷うことなく父が所属していた組織に入るのですが、ここがまたスゴイ。殺伐とした訓練施設で、組織のなかでのし上がることしか頭にない粗野な荒くれ男たちにまみれながら、その世界で生き残るために日々肉体と精神をいじめ抜くという。もちろん、ジウの心は1mmも揺れることなく、全身傷だらけになりながら自分を鍛え上げていくのですが、そのスリムな肉体の攻撃力は、紅一点でありながら、ついに荒くれたちの頂点に立つまでに。マジか。
この“紅一点”を演じた女優ハン・ソヒの魅力とは? そして、物語の行方はどうなる……? (後半へ続く)