宝塚の男役として大人の男の色気を漂わせていた望海風斗が、最高にチャーミングでちょっぴり強気な女性の役に挑戦する。彩りを増し、さらにその先へ。軽やかに変わりゆく望海風斗の今をお見逃しなく。
本当に私でいいの?と確認したくらいうれしかった
艶(あで)やかに響きわたる歌声、にじみ出る大人の男の色気、そして時に役が乗り移ったかのような鬼気迫る演技で見る者を魅了してきた元宝塚歌劇団の雪組トップスター、望海風斗さん。’21年4月に宝塚を卒業後もコンサートやミュージカルに立て続けに出演し、この1年半、息つく間もなかったのでは。
「それがそうでもないんです。宝塚時代はお稽古場にずっといがちでしたが、今は基本的に稽古時間が決まっていますからね。稽古以外の時間をどう使ったらいいか、余白の時間の扱い方に困っています」と苦笑いする。
ひとりの舞台人として、役や作品への向き合い方も少しずつ変わりつつある。
「宝塚時代は大人数なので、みんなで稽古してそれをまとめ上げることがまずは大事でした。でも今は、このご時世もあって稽古終わりで出演者同士ごはんには行けないし、ディスカッションできる時間も限られています。そのぶん稽古の中で、役としていかにお互い刺激し合えるか、影響し合えるかが問われていて、これがとても楽しいんです。自分でまず役を掘り下げて稽古場に持ち寄り、そこで感じたものを消化して、また翌日持ち寄るというプロセスも新鮮で。そうか、宝塚をやめたんだなあという感じがしましたね」
望海さんは6月開幕のミュージカル『ガイズ&ドールズ』に、ナイトクラブのダンサー、ミス・アデレイド役で出演。
「大好きなんです、この作品。出られるだけでうれしいのに、アデレイドをできるなんて。“本当にいいんですか?ギャンブラーその1とかその2じゃなくて?”と確認しましたもん(笑)」
「“かわいい女の子”を研究して、とんでもないアデレイドをお見せしようかな」
初めてこの作品を見たのは、宝塚音楽学校の予科時代の月組公演だった。
「ギャンブルまみれな男たちのどうしようもない感じがまたかっこよくて好きなんです。それにそのときアデレイドを演じていたのが霧矢大夢さんで、娘役とはまた違う色気があって素敵でした。今回この役をお受けするとき、そのことも私の背中を押してくれました」
アデレイドとネイサンは婚約してもう14年。ギャンブルに明け暮れる彼にずっとやきもきさせられている。
「アデレイドってなんだかんだいってネイサンのことが大好きなんですよね。でもひとりでも生きていけそうな強さももっていそう。’30年代のコスチュームに合った女の子っぽい身のこなしも必要になってくるんだろうなあ。私自身まだまだ女性を演じ慣れていないのでどうなるのかわからないんです。とんでもないアデレイドになるかもしれません」とちょっぴり不敵に微笑む。
そういえば、かつて役作りのために繁華街で“ナンパ師”を観察したというエピソードも。
「今回は女の子をいっぱい観察して、どういうところにかわいらしさを感じるものなのか研究してみようかな」
そのネイサン役の浦井健治さんとは初めての共演だ。
「もう出てくるだけでワクワクさせて、何かしてくれるぞと思わせる俳優さんですよね。見た目はかっこいいのにダメな男という抜け感がハマりそう、と勝手に盛り上がっています(笑)。それにネイサンだけでなくこの作品の登場人物みんな、なんだかゆとりがありますよね。誰もが真剣に人生を遊んでいる感じがするんです。今の私たちにはうらやましいくらい。そんなところも現代の私たちに響きそうです」
Information
『ガイズ&ドールズ』
ギャンブラーのスカイとネイサンは堅物のサラをめぐって賭けの真っ最中。一方ミス・アデレイドは恋人のネイサンにやきもき。サラとアデレイドの恋の行方は? 6/9~7/9、東京・帝国劇場 問☎03・3201・7777(東宝テレザーブ) 博多公演あり。