エクラ2023年1月号の付録カレンダーや最近の句会で評判を集めた山猫こと山本容子さんの俳句から、宗匠 小林恭二さんが選抜&講評! 今回はカレンダー『山猫ごよみ』掲載の5句を紹介。
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花衣手首の細き千手観音
『山猫ごよみ』2月より
講評
天平時代の優美な観音像を思い浮かべました。「手首の細き」は手首の細さ以外に、その手が示している仕草も暗示します。山猫さんはこれに「花衣」を配しました。花衣から出た女性の細い手首は二千年近い時を超えて古代の繊細な仏像につながっています。そこに花吹雪が散っていると見るのは深読みにすぎるでしょうか。
礼状は春の五色やピカソの書
『山猫ごよみ』4月より
講評
これはピカソが歯医者さんにあてた礼状を詠んでいます。礼状は小さな画帳なのですが、画帳もさることながらこれを容れた封筒がすばらしい。五色のパステルを使って住所を書いているのですが、楽しげで見ているだけで心が浮きたってきます。ピカソの画ではなく書にスポットをあてたところが技ありでした。
黐(もち)の花カステラ色の柵を越え
『山猫ごよみ』8月より
講評
黐の花は山地に自生する白っぽい地味な花です。その地味な黐の花がカステラ色の柵を越えて自宅の庭に咲き込んでいるのでしょう。あんな地味で取柄(とりえ)もない黐の花がカステラ色の柵と組み合わされたとたん、なんともおしゃれで温かいものに見えてきました。そもそもカステラ色というのが、画家でないと使えない色の見たてです。
天高く影がキスする交差点
『山猫ごよみ』10月より
講評
秋は空気が澄んでものの輪郭がはっきりします。そんな秋晴の日、交差点ですれ違った人の影がキスをしているように見えた。素直な写生句ですが、疾走する馬の絵とのコラボが素敵です。句意とは重なるところがないのですが、共通する秋の幸福感が圧倒的な相乗効果を生んでいます。
冬うらら歌聖全部と正座する
『山猫ごよみ』12月より
講評
歌聖というのは、古今の和歌の達人たちのことです。柿本人麻呂、山部赤人から始まって、和泉式部や定家、最近では斎藤茂吉や与謝野晶子もこれに入るかもしれません。その人たちと正座しているのだという。歌会でも催しているのでしょうか。この手の豪華な舞台設定は山猫さんの独壇場です。
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