ファインダイニングから大衆酒場、バーや角打ちまで、日本全国を食べ歩く、ライター佐々木ケイがリアルに食べた、飲んだおいしい店をご紹介。11月は、3回に渡って出雲出張時のハミダシおいしいもの探訪記をお届け。3回目の今回は、明石焼きがウリの「粉家こん吉堂」。
全国津々浦々、豊かな経験による独自の切り口で取材、執筆。その守備範囲は食、酒、旅をテーマに、飲食店、生産者、酒類、ホテル等と幅広い。JSA認定ワインエキスパートで、特にイタリアワインに詳しい。シェフやワイン関係者からの信頼も厚い。『éclat』をはじめ、『BRUTUS』など連載多数。小誌11月号の出雲特集の取材・執筆も担当。
Instagram:@sasaki__kei
酒もつまみもウルトラハイブリッド!
「粉家こん吉堂」島根県出雲市/レストラン
出張先でおいしい店を探すとき、真っ先に連絡をするのがナチュラルワインの輸入や卸しを手掛ける友人たちで、今回、多くの友人から名が挙がったのがこちら。
ウリは中華点心と明石焼きという不思議な店だ。開店と同時、一番乗りのカウンターで白ワインを頼むと、訪問したことがあるピエモンテのワイナリーの白が出てきた。日本の、地方都市のちょっと風変わりな酒場で、中華や明石焼きのおともになっていることを知ったら、あの造り手はどんな顔をするかと考える。
中華点心から「パオピン」を、明石焼きはシンプルな「卵焼き」を選び、続く酒は、山陰の酒2種を、もちろん熱燗でお願いする。軽やかな生地に吸わせただしを味わう卵焼きが、燗酒の旨味と溶け合う。聞けばご主人は鹿児島出身、出雲は奥様の故郷だそうで、黒板には鹿児島の本格焼酎も。酒もつまみもハイブリッドどころじゃない、いい意味で万人受けの対極にある店が20年以上も愛されているとは、出雲の食文化の奥深さを感じた。
ピエモンテ州産、モスカート種の辛口をグラスで。
パオピン。甜面醤が旨い、辛子をアクセントに。
「卵焼き」。ふわふわの柔らかさ、濃厚なだしとよく合う。
漫画『夏子の酒』の作者、尾瀬あきらさんのサイン入り暖簾が目印。
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