いつもより、少しだけ優雅に、ゆったりお茶を楽しみたい。アフタヌーンティーは、そんなときの選択肢のひとつ。さまざまな場所で楽しめるようになった今だからこそ、大人の私たちの味覚と心を満足させる選りすぐりを。目利きスタイリスト曲田有子さんが厳選。
パレスホテル東京(東京・丸の内)
ラウンジバー プリヴェ
フレンチファインダイニングのエッセンスを味わいに
「こちらでは、隣接するミシュラン一ツ星のフランス料理『エステールbyアラン・デュカス』のエッセンスを味わえるのが魅力。とびきりのフレンチを体験する気分で出かけます」。アフタヌーンティーといえばスイーツの印象が強いけれど、セイボリーと呼ばれる軽食の味わいと華やかさにも、ぜひ注目を。
「通常、セイボリーはティースタンドの三段目に配されがちですが、『ラウンジバー プリヴェ』では一段目が“ピッツァ スライダー”。それだけでも、どれほど自信をもっていらっしゃるかがわかります」。
ドリンクはドイツの高級紅茶ブランド「ロンネフェルト」社認定のティーマスターがセレクトした、約30種類のティーリストから選べる。(下の写真ほか、取材時は冬メニュー。春からは旬の素材を取り入れた、新たなメニュー構成に)
野菜はセイボリーを手がける小島景シェフが、地元・鎌倉で毎朝仕入れてくる新鮮なもの
旬の果物を使ったデザートも趣向を凝らして
店内からは緑深い皇居外苑を一望。アフタヌーンティーは一日限定10食¥9,000、グラスシャンパーニュつき¥12,000(別途サービス料15%)
DATA
東京都千代田区丸の内1の1の1
アフタヌーンティーは前日17:00までの事前予約制
14:30のみの提供
☎03・3211・5350(アフタヌーンティー予約専用ダイヤル)
月・火曜以外の提供(祝日は提供)
テーブルの美しさや景色も。トータルの心地よさを大切に
フード関係のスタイリングも多く、日々、洗練されたおいしいものに触れている曲田さん。アフタヌーンティーに惹かれるのは、ご本人いわく、食いしん坊ゆえのこと。
「旬のフルーツを存分に味わいたい。そう考えたときに、格別の味わいと見せ方で提供してくれるのが、アフタヌーンティーだと気づいたんです。特にホテルラウンジで味わえるものは、レストランで提供される料理のエッセンスを凝縮したものが多くて。有名シェフの手がける品々の“とっておきのところ”を、気軽につまめる感覚。おいしいものを少しずつ、を求めるエクラ世代にはぴったりではないでしょうか」
実際に曲田さんが訪れるのも、ホテルが多いそう。
「おいしさは必須として、大人のアフタヌーンティーではトータルでの心地よさがいつもとは違う時間を過ごすためのポイント。景色、サービスのこまやかさ、テーブルコーディネートの美しさ……そう考えると、ホテルがおすすめです。格式がありつつ華やいだ雰囲気は、『せっかくだから、新しい靴を履こうかな』なんておしゃれを楽しむきっかけにも。最近はシャンパンやカクテルをオーダーできるところも増えたので、午後から優雅に一杯もうれしいです」
アフタヌーンティーの魅力にハマって3年
ホテル虎ノ門ヒルズ(東京・虎ノ門)
ル・プリスティン東京
テラス席で開放的に、イタリアン・アフタヌーンティー
「風の気持ちいい季節なら、こちらではぜひカフェのテラス席を選んで」。アフタヌーンティーのベースになっているのは、"ニューイタリアン" と銘打つオリジナルスタイル。「ティースタンドでなく、プレートで供されるのも新鮮。『ル・プリスティン』を手がけているのは、オランダ出身のシェフ、セルジオ・ハーマン氏。器も彼がデザインしていてとても素敵。メインスイーツのクロスタータ(下の写真)もシーズンごとの楽しみです」。
シーズナルカクテル「桜ポリタン」(¥2,200)もぜひ味わいたい
イタリアンらしく、セイボリーではズワイ蟹のピッツェッテも味わえる。¥6,000(別途サービス料15%)
DATA
東京都港区虎ノ門2の6の4虎ノ門ヒルズ ステーションタワー1F
提供は平日14:00~17:00LO、土・日曜、祝日12:00~14:00、14:30~16:30 ☎03・6830・1077
lepristinetokyo.com
予約は電話またはHPから
ホテル椿山荘東京(東京・江戸川橋)
ロビーラウンジ ル・ジャルダン
クラシカルな空間で味わう、伝統の英国式
窓一面に広がるのは都内有数の名庭園。こちらは、’92 年に都内ホテルで初めて本格的英国式アフタヌーンティーを提供したことで知られる。繊細に作り込まれたスイーツやセイボリーは正統派でありながら季節ならではの工夫が凝らされ、長く通うファンが多いのも納得。「ヨーロピアンエレガンスのインテリアが素敵。食器は日本が誇る磁器メーカー『ノリタケ』でそろえているのも、このクラシカルな雰囲気にふさわしいセレクト」。
桜とイチゴの華やかなスイーツ
今春から温かいスープも登場。紅茶は20種より選択。電話予約¥8,500、web予約¥7,500(別途サービス料15%)
DATA
東京都文京区関口2の10の8
アフタヌーンティーは予約制
提供は12:00~17:30
☎︎03・3943・5489(レストラン・イベント予約センター)
hotel-chinzanso-tokyo.jp/restaurant/jardin/
予約は電話またはHPから
フォーシーズンズホテル丸の内 東京(東京・丸の内)
MAISON MARUNOUCHI(メゾン マルノウチ)
ミシュラン三ツ星の格別の美味と華やぎを楽しむ
友人たちとおしゃべりを楽しみながら、華やかさを満喫したい。そんなときに曲田さんが選ぶのがこちら。桜香るウェルカムドリンク「Sakura Whisper」からはじまる、心華やぐ趣向もうれしい。
「毎回、歓声を上げたくなる愛らしさ。もちろん、その味わいも感動的です。春なら、上品な白あんを使った桜ロールケーキや抹茶ムースなど、和の食材を取り入れたスイーツが絶品。セイボリーはホテル内のミシュラン三ツ星フレンチ『SÉZANNE(セザン)』の総料理長が監修。これを味わうだけでも訪れる価値があると思います」。
眼下には、丸の内の街並みや趣(おもむき)ある東京駅丸の内駅舎。その眺望を楽しみながら、優雅なひと時を過ごしたい。
曲田さんの楽しみのひとつはアフタヌーンティーには欠かせないサンドイッチ。「あしらいにまでしっかり手をかけるこまやかさに感動」
ソファやラウンジチェアでゆったりくつろぎながら。平日¥7,900、土・日曜、祝日¥9,100(サービス料込み)
DATA
東京都千代田区丸の内1の11の1
パシフィックセンチュリープレイス丸の内
提供は10:30~18:00LO
☎︎03・5222・5880
予約は電話またはtablecheckから
今、話題のペアリング&デセールコース
アフタヌーンティー好きのスタイリスト・曲田有子さんは、アシェット・デセールと呼ばれる皿盛りデザートにも注目。シェフの美意識と端正な技を臨場感たっぷりに。
VERT(ヴェール/東京・神楽坂)
五感すべてを研ぎすまし、つくり込まれた世界観に耽溺
日本茶に魅了された田中俊大シェフによる「茶湊流水(ちゃそうりゅうすい)」と名づけられたコースは、独創的なデセールと日本茶のペアリング、または抹茶のアイスクリームなど茶葉そのものを素材としたデセール、計11品で構成。「ひと品ごとに息をのむ美しさ。口に入れると、さらにその深みある香りと味わいに感動」。多くのデセールに発酵の工程が施されているのも、味わいが斬新でありつつ柔らかさを感じる理由。
製茶辻喜の抹茶を使ったアイスクリームにはヨーグルトベースのソースを
わたのほろ苦さまで味わう八朔の羊羹。ペアリングには大山製茶園の「つゆひかり」にピスタチオ、ティムールペッパーなどの香りを重ねた一杯
イチゴはこだわりの品種「桃薫」を使用。茶湊流水¥24,800
DATA
東京都新宿区神楽坂3の1かくれんぼ横丁会館201
Instagram:@vert_jpn
13:00/18:30の2部制 完全予約制のコースのみ
予約はtablecheckから 不定休
PAYSAGE 代官山本店(ペイサージュ/東京・代官山)
シェフとともに楽しむ、素材との一期一会
1Fは生菓子や焼菓子を扱うブティックとサロン・ド・テ。2Fはまるでシェフの自邸に招かれたような空間が広がる。メニューに記されているのは、その日に使う食材の名だけ。「お客さまと素材、その一期一会を大切にしたいので、あえてメニューを決め込まず自由に」と江藤英樹シェフ。「バニラに似た香りのトンカ豆のアイスと、ベリーのコンポートのバランスが絶妙(下の写真)。余白まで計算された盛りつけも芸術的」(曲田さん)。
旬のイチゴにトンカ豆のアイス、シューフォンダンを合わせたアシェット・デセール
コースの締めくくりはショコラと柑橘のタルト。アシェット・デセール6皿+ドリンク¥16,500
DATA
東京都渋谷区代官山町20の23フォレストゲート代官山
11:00~19:00 デセールコースは金曜12:00、土曜12:00/15:00の完全予約制 予約はHPから
㊡月曜(祝日の場合は翌火曜)
paysage-he.com
relevé dessert 東麻布( ルルべ デセール/東京・麻布十番)
旬が香りたつデセールを、ペアリングで引き立てて
パリのクラシックフレンチの老舗「ラペルーズ」で研鑽を積んだ、宇野澤惟(ゆい)シェフによるアシェット・デセール。こちらの特徴は、それぞれのデセールに合うアルコールとのペアリングの提案。和のハーブを積極的に取り入れて香りを重ねたひと皿は、ワインのみならず日本酒とも好相性。
「桜のアイスにイチゴの味わい、さらに三つ葉のジュレの青々とした風味が味わい深い一品(下の写真)に、クリーミーな大吟醸を。イチゴとお酒、それぞれのほのかな酸味を引き立て合う素敵なペアリングでした」。
柑橘好きの曲田さんは湘南ゴールドにホワイトチョコのアイスと蓬(よもぎ)のリオレを合わせた一品も堪能。
白ワインと合わせて。デセール各¥2,300、ペアリングは+¥1,200
撮影/砂原 文 宮濱祐美子 大森忠明 取材・文/福山雅美 ※エクラ2026年4月号掲載