料理研究家・有元葉子さんが素敵と話す「高知県立牧野植物園」は、四季折々の草花はもちろん、園の中の牧野富太郎記念館も素晴らしい、魅力溢れる植物園。3000種類以上の植物と、“日本の植物分類学の父”と称される牧野富太郎の生涯や本人が描いた植物図も拝見できる贅沢な空間は、時間を忘れて一日中過ごしてしまいそうなほど。有元さんの次女・くるみさんに案内してもらいました。
高知県立牧野植物園
草花を隣人に感じられる場所
魅せられる展示と草花と。植物と対話する知の世界へ。
牧野富太郎という植物学者のことは「名前を聞いたことがあるかな」という程度の認識でした。緑豊かな山の中にある牧野植物園を訪れるまでは。
この植物園は素敵です。四季折々の草花がすばらしいことはもちろん、私がひときわ惹かれるのは、園の中にある牧野富太郎記念館です。まず、建築家の内藤廣さんによる建物がすばらしい。高知県産の杉や檜をたくさん使って、ゆるやかにカーブした建物は、植物の有機的な力の流れを表現しているそう。建物の内側を開放して、外の自然と一体になった造りで、そこに立つだけで、なんともすがすがしい気持ちになります。
中に展示されているのは、“日本の植物分類学の父”と呼ばれる牧野富太郎博士の生涯や、画才もあった博士の手による見事な植物図など、美しくて思わず引き込まれるものばかり。一日中いられそうな感じです。
記念館には牧野博士が収集した膨大な植物標本の一部なども収められていて、植物の特徴や産地や年代によって、過去から将来へとつながる自然世界のさまざまな研究がなされているとか。150年以上前に高知に生まれた牧野博士の偉業が、未来へとつながっている場所なのです。そのことに感動させられます。
もちろん、広大な植物園も魅力的。森や林の中を散策している間に、さまざまな植物が目にとまるような、自然な雰囲気です。もっとも、私は「これは食べられそうね」「これもおいしそう」なんて、つい口にしてしまって、いつもみんなに笑われるのですが。
牧野富太郎は幼少時から高知の山野の草花に魅せられ、独学で植物の知識を身につけた。94年の生涯で収集した標本は約40万枚。新種や新品種など1500種類以上の植物を命名。標本や美しい植物図は記念館で見ることができる。「植物園は特に5月が最高。熱帯植物の生い茂る大きな温室も見どころです」とくるみさん。
山の起伏を生かした約8haの園地には、植物を愛し、自らを“草木の精”と称した牧野富太郎ゆかりの野生植物など3000種類以上が。有元さんが榧のまな板の存在を知ったミュージアムショップも充実の品ぞろえ。
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「この2皿さえあれば。」
私が食べたい季節の味
有元葉子