年々層が厚くなり、楽しみが増すばかりの京都の和食。名店や人気店で培った経験に加え、「ここだけの料理」を大事とする、京都の今を体感できる一軒『凌霄』を紹介。
伝統と進取の仕事に注目が集まる気鋭の日本料理
凌霄(りょうしょう)
天空を凌(しの)ぐほどに志を極めていくという思いから、『凌霄』と命名された日本料理店。花街の風情を色濃く残すロケーション、数寄屋の空間、素材が感じられる料理、厳選された器……そのいずれにも京都に息づく美意識が宿る。そんな王道のもてなしの中に、ときどき見え隠れするのがこれまでになかった味の試み。その自由度の高さは、着々とこの店の個性になりつつある。
カウンターで陣頭指揮をとるのは京料理の名店『祇園丸山』に13年勤め、独立を経て、高台寺の料亭『十牛庵』の料理長を務めた藤原誠さん。
「以前は基本に忠実な料理が多かったのですが、今は自分がおいしいと思うものを思いのままに作っています」と語り、王道の造りと煮物椀、進取の焼き物をコースの軸に、高みを目ざしている。
とりわけ牛肉を積極的に使い、11月からはジビエも登場。十牛庵時代にフレンチの厨房に入った経験を生かし、火入れやソースにこだわった炭火焼きに挑戦している。進化しつづける京料理を、祇園の風情とともに存分に楽しませてくれる。
かつてお茶屋さんだった建物や坪庭を生かした空間。フランス料理店に引けをとらないワインをそろえる
数寄屋建築の第一人者「中村外二工務店」の監修のもと改装された店内
「牛ヒレ肉の衣焼き」。赤身と脂身のバランスのよい国産牛をパン粉焼きにし、照り焼き風のソースと。あしらいは大黒しめじ、だしでペースト状にしたじゃがいも
先付の「松茸の飯蒸し」。器の志野袴腰向付は瀧川恵美子作
華やかな鍋島の紅葉皿に盛った「紅葉鯛とうに」の向付
蟹真丈の煮物椀。魚のすり身と卵白を蟹身のつなぎ程度に使っているので、食すと蟹そのもの
若い料理人やフレンチ出身のスタッフと情報を共有しながら日々研鑽を深める藤原さん。店内にかかる「凌霄」の書は井上有一筆
店内の一角にはオールドバカラが並ぶ
2階の個室は2名から利用可
祇園甲部歌舞練場からほど近く、舞妓さんや芸妓さんが行き来する様に遭遇することも
京都市東山区祇園南側570の166
☎075・541・3557
11:30~13:00、17:30~20:00(ともに入店) 不定休
カウンター8席、個室1コース¥25,000~(サービス料別)要予約