仕事でもプライべートでも。会う人、行く場所に“特別”が増えるエクラ世代に、絶対必要なシンプルな黒ジャケット。デザインは主張しないけれど、誰から見ても素敵に見える最上級の上質さがある──。この先10年は託す価値のある8ブランドを厳選。自分に合う一着を見つけて。
SAINT LAURENT
メゾンの哲学が息づく正統派の気高き逸品
男性の正装を女性の選択肢へと昇華させたサンローランの名作タキシードジャケット。そのDNAを受け継ぐ一着は、ラペルからシルエットまで過度な誇張がなく、袖を通すだけで正統派のたたずまいへと導いてくれる。スタンダードなシングルブレストは、かしこまった場面にもなじみ、着る人を静かに引き立てる。一方デニムと合わせても様になり、年を重ねても着られる一生ものの名にふさわしい名品。
ジャケット¥543,400/サンローラン クライアントサービス(サンローラン バイ アンソニー・ヴァカレロ)
CELINE
マチュアな大人にふさわしい余裕ある華やぎを味方にして
フォーマルな場の装いとして、各国の王室や各界で活躍する女性たちが時代を超えて信頼を置くツイードのノーカラージャケット。襟や肩で威圧する男性的なパワージャケットとは一線を画す、優美さと華やかさが愛される理由だ。セリーヌはその美しきシグニチャーを、よりコンパクトで端正なシルエットへと更新。体につかず離れず寄り添うジャストサイズが、成熟した大人ならではの余裕を醸し出し、フォーマルな場にふさわしい洗練を約束する。
ジャケット¥522,500・スカート¥451,000・バッグ¥572,000・靴¥143,000(すべて予定価格)/セリーヌ ジャパン(セリーヌ) イヤリング¥440,000・リング¥352,000/ポメラート クライアントサービス(ポメラート)
GUCCI
全方位絵になるたたずまいで折り目正しい印象に
まろやかな体の曲線に寄り添い、優美なシルエットを描き出すドレッシーなダブルブレストのジャケット。肩にきっちりと収まるショルダーラインや腕を細長く見せる袖のあしらいなど、細部はキレよく仕立てられ、全方位すきなく美しい。タイトなシルエットとクラシカルな風格が漂い、おごそかな席から華やかなシーンまで臆せず臨める。ボタンを閉めてスカートを合わせるとドレッシーに、開けてパンツとなら格好よく、表情豊かな応用力もうれしい。
ジャケット¥495,000・シャツ¥286,000・スカート¥319,000・ピアス¥107,800・バッグ¥594,000/グッチ クライアントサービス(グッチ)
THE ROW
黒の美しさがきわだつこのうえなく静謐(せいひつ)な一着
すっと細くのびるラペルと、余裕を感じさせる自然体のシルエット。軽やかな着心地でありながら、特別な場面にもラグジュアリーに映えるのは、ブランドの真骨頂である素材使いの賜たま物もの。バージンウールを贅沢に用い、うるんだような繊細なツヤをたたえた黒が、その美しさをいっそうきわだたせる。カシミヤニットとしなやかなパンツを重ねるだけで、意図せずとも品格が立ちのぼる。
ジャケット¥407,000・ニット¥327,800・パンツ¥209,000・バッグ¥338,800・靴¥198,000/ザ・ロウ・ジャパン(ザ・ロウ) イヤリング¥617,100・ネックレス¥1,122,000/TASAKI(TASAKI)
HARUNOBU MURATA
モダンな気品に包まれる比類なき構築の美しさ
きゅっと小ぶりなラペルと長めの着丈バランスで、意志あるたたずまいへと導くブラックジャケット。高い位置からゆるやかに広がるシルエットで、体型を問わずすっきりと着こなせる。さらにアイコニックなゴールドメタルのボタンがモダンで華やかなアクセントになり、どんなボトムも軽やかなバランスに仕上げる。大胆なフリンジ使いの意匠性の高いスカートと合わせれば、上級のドレスアップスタイルが完成。
ジャケット¥126,500・スカート¥173,800/ザ・ウォール ショールーム(ハルノブムラタ)イヤカフ¥455,400/レポシ日本橋三越本店(レポシ) 靴¥145,200/ジミー チュウ(ジミー チュウ)
JOSEPH
個性を静かに引き立てるネオクラシックなたたずまい
ビジネスシーンで頼れる存在として、エグゼクティブからも支持されるジョゼフ。ダブルブレストのジャケットは、クラシカルな大きめのピークドラペルで、きりっとマニッシュな表情を描き出す。やや短めに設定された着丈が全身バランスを整え、軽やかに風格をまとえるのも魅力。着る人の個性を押し出しすぎることなく、それでいて埋もれない。その絶妙なさじかげんが、シャツとパンツのミニマルな装いの日にも、確かな自信を授けてくれる。
ジャケット¥117,700・ブラウス¥78,100・パンツ¥91,300/ジョゼフジャパン(ジョゼフ) ピアス¥937,200・リング¥949,300/フォッぺ ジャパン(フォッぺ)
日本の美しい黒ジャケット、絶対の2ブランド
最上級の礼節をまとう揺るがない信頼の一着
おごそかなセレモニーや重要なビジネス、家族の大切な節目など、求められる責任や立場が高まるのがエクラ世代。礼節と品位が問われる場面が増えるにつれ、等身大の延長にある黒ではどこかそぐわず、もの足りなさを感じるかたも多いのではないだろうか。成熟した今、必要なのは、装う人のたたずまいにふさわしい気品と品格を醸す、“その日のための特別な一着”だ。
注目したのは、日本人の体型を研究し、エグゼクティブやセレブリティの装いを知りつくした2つのブランド、「ミカコ ナカムラ」と「ジュンアシダ」。前者は最高品質の素材を原点に引き算の美学を貫き、セミオーダー
を基本として、生涯に寄り添う服づくりを行う。着る人のために作られた一着は、品格を内側からきわだたせ、柔らかく上品に華を添える。後者は“エレガント&プラクティカル”を軸に、半世紀以上もの間、培われたテクニックを駆使し、厳選された素材をもとに、プレタポルテで実用性の高い「マルチブラック」シリーズを展開する。深みある黒と極上の仕立てのジャケットは、まとうだけで気高さが生まれ、オフィシャルな立場において自信と余裕を与えてくれる。
場にふさわしい確かな黒をまとうことは、気くばりと敬意をかたちにすること。絶対を物語る一着は、自らの品格を成熟させる一助になってくれるに違いない。
MIKAKO NAKAMURA
セミオーダーでかなえる気配まで洗練される逸品
セミオーダーメイドで、ていねいに時間をかけて仕立てられるノーカラージャケット。ミニマルなたたずまいをきわだたせるのは、最高品質の絹生糸と選びぬかれた梳そ毛もうウールを用いた二重織の逸品素材。ふっくらとした張りと美しい光沢を備え、構築的なフォルムをいっそう端正に描く。重厚な中にも漂う優美な雰囲気を深く刻む。
ジャケット¥308,000/ミカコ ナカムラ 南青山サロン(MIKAKO NAKAMURA)
JUN ASHIDA
改まった場所に映える実用にも長(た)けた信頼の一着
極上のシルクを思わせる、ハイエンドな質感のポリエステルクレープ。そのしなやかな落ち感が描くたたずまいは、このうえなく美しい。動きやすく、軽やかでしわになりにくいという実用性に加え、ほどよくシェイプされたシルエットが体をきれいに見せ、いつでもすきのない美しさを演出する。長時間のセレモニーや出張など、あらゆる場面でこれほど心強い一着はない。前身頃と袖、背中部分は上部のみ裏地をつけた背抜き仕立てで、オールシーズン着られるよさも。
ジャケット¥159,500/ジュンアシダ(ジュンアシダ)
撮影/長山一樹(S-14/人物) 渡辺修身(物) ヘア/KOTARO メイク/YUMI ENDO(eight peace) スタイリスト/古田千晶 モデル/大塚まゆか 取材・原文/松井陽子 ※エクラ2026年4月号掲載