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<実践編>波風立てず、親にアプローチするには?【「実家」の片づけ問題】
物をたくさん所有している=豊かさの象徴ととらえている親世代に、「物が少なく、すっきりしているほうが快適」というアラフィーの価値観を押しつけるのは厳禁! 親の価値観を尊重した上で進めるべき、アプローチのテクニックを専門家がお教え。
離れて暮らす親との付き合い方「実家のデジタル化」リモートでコミュニケーションをとる方法
小菅秀樹さん
①リモートでの親とのつきあい方
親の気持ちを尊重しつつなるべく早くデジタル化を
「現代のデジタル化の波は、世代にかかわらず避けようがないもの。高齢の親世代の暮らしにITを取り入れることはもはや必須です」というのは、介護事情や親世代・子世代のかかわりに詳しい「LIFULL介護」編集長の小菅秀樹さん。
「新型コロナウイルスの影響で、直接顔を合わせることがむずかしくなった今、親に介護が必要になる前からビデオ電話に慣れておくなど、親子間のコミュニケーションの質を高めておく必要があります」
下のグラフにあるようにインターネット利用率は70〜80代も高い。しかし、スマホ保有率となると70代34%、80代は11%と低く、高齢者がネットの必要性を感じながらも、デジタルツールの導入に消極的なことがわかる。
エクラの読者アンケートでも、親に「ガラケーをスマホに替えたら?」「Wi-Fiの開通工事をする?」などと誘って拒否されたという人が多く見受けられた。「今の70〜80代は物を大切に使う人が多いですよね。昔から使っているものに愛着をもつ一方、新しいものへの拒否反応が強い傾向があるのは確かです。大切なのは、その気持ちを否定しないこと。親の心情に理解を示しつつ、デジタル化は親にとっても便利でメリットが豊富だということを伝えて、上手に説得してみてください」
親の心理的なハードルを理解しながら、子世代が適切にリードすれば、デジタル化でお互いの安心が確保できるはず。次の記事からは具体的な手順や内容について考えてみたい。
アナログな親の心を動かすキーワード
【低コスト】
携帯代も日常生活品も安くなる!
「スマホは高い」と敬遠している親世代も多い。だが格安SIMの利用や中古の端末の購入で、今やお得にスマホなどのデバイスを得られる時代。さらに通販やニュース配信を活用すれば、消費の節約にもなると教えてあげよう。
【便利さ】
孫の顔も見られるし買い物もラク!
デジタル化の最大の利点は、ビデオ通話などを使って密なコミュニケーションがとれること。さらに「重い荷物を持たずに食材を注文できる」など具体的な利点を伝え、まずは実際に子世代のスマホで便利さを知ってもらおう。
【寄り添い】
いつも気にしているよという心遣い
便利なIoT見守りサービスなどを利用することで、子世代が安心できるという気持ちを素直に伝えてみて。「いつも気にかけているんだよ」「私も安心できるから」と子供の寄り添う気持ちがわかれば、親も気分は悪くないはず。
②ビデオ通話でコミュニケーション
「怒らない・あきらめない」で慣れるまで優しく伴走を
何度も同じことを聞かれるとうんざりするものだが、「それ前にも教えたよね!」などと怒って親の自尊心を損ねるのはNG。優しくするのに疲れたら、「自分が“サポートセンター”になろうとせず、実家近くのスマホ教室やプロバイダー窓口をつないで、いつでもプロに質問できるように促してみては」と小菅さん。周囲の手も借りて、上手にデジタル化に挑もう。
ビデオ通話にあると便利な「ディスプレイつき スマートスピーカー」
カメラが内蔵されたディスプレイつきのスマートスピーカーは、画面を見ながら簡単に音声でも操作ができると、高齢者に人気。ビデオ通話はもちろん、時間や天気の確認、動画視聴、写真の閲覧などが楽しめる。細かな指先でのスマホ操作が苦手な人にはうれしいツールだ。
CLOVA Desk
LINEアカウントとの連携で、既存の連絡先への電話やビデオ通話がスムーズ。¥28,050(税込)/ LINE
Echo Show 8
③スマート機器導入の4ステップ
Wi-Fiルーターを購入するのも手
1.実家のネット環境を確認
デジタル化でまず必要なのがネット環境の整備。通信速度が遅いネットサービスを使っていたり、ネット環境が実家にない場合、一から固定の光回線工事を行うのは費用や手間がかかる。ネットを長時間利用しないなら、まずはモバイルのWi-Fiルーターや、格安SIMフリーのホームルーターをレンタル利用するのもひとつだ。
ガラケー&タブレットで慣らすのがコツ
2.親に適したデバイスを探す
固定電話やガラケーに慣れている親は、突然スマホを持つことに抵抗がある場合も多い。そのときはまずタブレット端末を渡して、デジタルツールに慣れさせるのも手。画面がスマホより大きく、文字が読みやすいし操作も楽なので、便利さが伝わりやすい。ガラケー仕様だがネット通信が可能な「ガラケー型端末」も要チェック。
LINEは必須、ほかにも便利なアプリが
3.アプリを入れてあげる
スマホやタブレットの初期設定やパスワード入力などは、慣れていないと非常に煩雑。必ず一緒に行ってあげよう。そのうえで、親が楽しく使えるアプリを入れておくこと。LINEを筆頭に、料理動画、ニュース、ネット通販など、親の趣味や生活に便利なものを入れておけば、楽しみながら、おのずと端末操作に慣れることができるはず。
ATMのタッチパネルとは違うから!
4.操作に慣れてもらう
親世代にとって一番の難点は、タッチパネルの扱い方。現代のデジタル機器の多くは指先から軽いタッチで静電気に反応する。だが、ATMや駅の券売機でしかタッチパネルを利用していない世代は、つい力強く画面を押してしまって“タップ”が“長押し”状態になることも。“フリック” “スワイプ”など、最低限の操作はしっかり練習を。
④離れて暮らす親の「見守り方」
見守りに24時間監視はNG。親の尊厳は大切に守って
かといって、あまりしつこく注意を促したり、実家に24時間監視カメラを設置したりと、露骨すぎる行動をとるのは、親のプライドを傷つける可能性もあるので注意が必要という。
「以前は、見守り用の家電というと室内カメラを設置して、常時、子供がデバイスで動画を確認するスタイルが主流でした。確かに子供からすると安心ですが、実際は、親世代に『監視されている』という拒否反応が強く出て、使用を控える家庭も多かったんです」
「常に監視されている緊張感から、親がリビングに行かなくなったという事例もあります。また子世代にとっても24時間動画をチェックするのは、正直負担ですよね。便利なものでも『誰のために、なんのために使うのか』を冷静に考えてから導入したほうがいいかもしれません」
⑤役立つ見守りアイテム5選
簡単・便利!5つの役立ちアイテム
《1》スマートセンサー(ドア・窓)
ドアや窓の開閉をスマホに連絡
《2》ワイヤレスモニター付きテレビドアホン
住宅用火災警報器とも連動
《3》FUKU助
薬の在庫や服薬履歴もお知らせ
《4》ハローライト
今ある電球を交換するだけ!
《5》MaBeee みまもり電池
リモコン操作で安否がわかる
⑥実家のデジタル化体験談
成功談
スマホやタブレットでコミュニケーションを円滑に!
●父が亡くなり、遠方で高齢の母がひとり暮らしになったのでタブレットを渡し、LINEでやりとりをしています。最初は使い方がわからずとまどっていましたが、少しずつ慣れてきて今は孫たちと写真を送りあって楽しんでくれています。既読になって返信がないときは、電話で安否確認できるのでこちらも安心です。(画家・54歳)
●母の入院時に、家族の写真を送って病院で見てもらおうとタブレットを渡しました。これをきっかけに、私たち夫婦、弟夫婦、父、全員でつながり、母の入院・病状などの共有がスムーズにできたことがよかったです。(会社員・45歳)
便利な見守りアイテムを導入
●ひとり暮らしの母のために、玄関のインターフォンをカメラつきに。知らない人が来たら玄関を開けないようにしている様子で、安心しています。スマホも使いはじめ、自分でGoogle検索で調べものをしているようで、若々しくなった気がします。(フラワー講師・51歳)
失敗談
スマホや便利アイテムを使いこなせない
●使わなくなったスマートスピーカーを実家に譲りましたが、同居の姉夫婦がデジタル家電に疎く、いまだに取りつけてくれません。姉とは10歳差で微妙に感覚が違うのかも……。乗り気にさせる方法を探っています。(主婦・49歳)
●母は、Wi-Fiのパスワードを要求されると焦るようで、「つながらなくなった」と放置してしまう。(主婦・45歳)
●かんたんスマホを持たせたものの、私と機種が違うので教えるのが大変でした。(主婦・50歳)
安全確認ができるアイテムを取り入れたけど…
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