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首のコリは危険のサイン!?不調につながる前に「首コリ解消法」
竹谷内康修(たけやちやすのぶ)先生
①首の状態をセルフチェック
コリは痛みの一種。危険なサインと考えて
首がガチガチに凝る、痛くて首が回らない。こうした首の不調を抱えながら、だましだまし長い年月を過ごしていないだろうか。「首のコリを単なる不調と考え、我慢を重ねるのは危険です」と語るのは、首コリ解消のための独自の“首トレ”を提唱する整形外科医の竹谷内康修先生。
「人の頭は4~6kgの重さがあり、それを支えるのが7つの骨で形成された頸椎(けいつい)(下図)です。そして、なんらかの理由で、首や肩の筋肉の収縮がクセになっている状態が“コリ”。コリにより頸椎が圧迫されると、頸椎の中を走る神経に異常が起き、痛みやしびれにつながるのです。この一連の過程を“頸椎症”と呼び、首コリはその第1ステージ(上図表)に当たります。原因のはっきりしない頭痛の原因が頸椎症だったり、手足の痛みやしびれといった重症にいたるケースもあるので注意が必要です」
頸椎症の悪化に大きく影響するのが、現代人の悪い生活習慣だ。
「前かがみでスマホを長時間見続けていると、通常の約3倍の負荷が頸椎にかかります。また、椅子に座るときの姿勢が正しくなかったり、合わない枕を使うことも頸椎トラブルの原因に。さらに、筋肉は交感神経の活動に強く影響されます。ストレスがかかって交感神経優位の状態が続くと、筋肉が収縮して首や肩に痛みが出やすくなるので、ストレスを上手に逃がすことも大切です」
姿勢などの見直しと、“首トレ”を実践して、今のうちから首コリの解消を!
ひとりでできる首の状態チェック
「首の突き出しチェック」
《1》何げないデスクワーク中やスマホを見ているときに、その姿勢をキープしたまま、片方の人さし指をあご先に当てる。
《2》そこから正しい姿勢になるまであご先を押し戻す。そのときのモーションが大きいと感じたら、ストレートネックに要注意。
「頸椎症の度合いチェック」
《1》自分の頭と同じくらいの丸を紙に描き、自分の顔と同じ高さになるよう壁にはる。壁を背にして、50cm程度離れた位置に立つ。
《2》上体が回らないよう固定して首だけを回し、後ろの丸がどの程度見えるかを確かめる。左右とも行って、左右差も確認する。
頸椎症のスペクトラム
上の「頸椎症の度合いチェック」の結果と、自覚症状から以下のように分類される。
健康 | 左右とも丸が一部でも見える |
ステージ 0 |
頸椎症予備軍 | 左右どちらか一方でも丸が見えない、あるいは真横を向けない |
ステージ 1 |
首や肩のコリ | 首や肩のコリを実感している |
ステージ 2 |
首や肩の痛み | 首を回すと痛みが出る |
ステージ 3 |
腕の痛みやしびれ | 首を回すと腕や手に痛みやしびれが出る |
ステージ 4 |
脊髄症 | 両腕とも、足にも痛みやしびれがある |
首コリにつながる筋肉と頸椎症の悪化状態
【前側】
【後ろ側】
首コリは局所的に発生するのではなく、姿勢の悪さに起因することが多いため、胸や背中側の筋肉のコリも深く関係している。
【頸椎の構造図】
頸椎は頭の重さを支えるだけでなく、中枢神経である脊髄が通るトンネルの役目を果たしている。頸椎の異常から枝分かれする神経が圧迫されると、腕や指先などにしびれが出ることに。
頸椎に異常が出ると…
この図は、頸椎に異常が起きるステージ2以降の状態。首や肩の筋肉の緊張が解けず、頸椎に上下からの力が加わり続けると、椎間板や椎間関節が変形して、首の痛みやしびれにつながる。
②首コリを改善する「4つの見直しポイント」
《1》5ステップで正しく座る
骨盤を起こした状態で座る
自分の体に合った椅子の座面深くに腰かけ、骨盤が立つのを意識する。
背中を伸ばす
肩甲骨の一番下あたりに力を入れるつもりで、背すじを伸ばす。
両肩を引く
腕が自然に降りるよう、肩を軽く後ろに引く。
頭を引く
あごを軽く引き、首をまっすぐにする。この段階で正しい姿勢が完成。
背もたれに寄りかかる
正しい姿勢を長時間キープできるよう、背もたれにもたれて力を抜く。
《2》自分に合った理想的な椅子を選ぶ
《3》PCやスマホの操作時の姿勢を見直す
【デスクトップPCの場合】
【ノートPCの場合】
【スマホの操作】
《4》枕選びは日中の首の状態に合わせて
頸椎症の症状が出にくい姿勢を保てる枕
起きているときに楽な頭と首の位置を保持できるのが目安。
低すぎる枕
横向きになったときに枕が低いと首が下がって頸椎に負担がかかる。あおむけ用と、横向き用のやや高めと、2種類用意するのも手。
首が反ってしまう枕
首の部分が高くなっている枕は、首が反って頸椎に負担がかかるためNG。
③一日5分の「首トレ」メニュー
1.基本の「首の前側」ストレッチ
うつむき姿勢でたまったコリと疲れをとる
《1》リラックスして椅子に座り、左手で座面の前側を持つ。右手は左肩から鎖骨の部分に当てて軽く押さえる。親指が鎖骨にかかるように。
《2》左肩が上がらないように押さえつつ、首を後ろにゆっくり反らす。上体が一緒に倒れないように注意。
《3》顔を右側に倒して、左前側の首すじを伸ばす。よく伸びたところで10秒間キープ。これを3回、逆側も同様に行う。
2.基本の「首の後ろ側」ストレッチ
肩コリ&首のこわばりを同時にほぐす
《1》リラックスして椅子に座る。左手で座面のへりを持ち、右手は太ももの上に置く。
《2》「首の前側」ストレッチと同じく2段階の要領で、首をいったん前に倒し、次に右に傾ける。
《3》右手を左耳の後ろに当て、首をゆっくり右斜め前方向に倒し、首の後ろ側を伸ばして10秒間キープ。これを3回、逆側も同様に行う。
後ろ側から見ると…
手を耳の後ろに置き、頭を斜め前方向に押さえるように。耳の後ろから首にかけてをよく伸ばす。
3.ガチガチ背中のストレッチ
背中&肩甲骨の緊張をゆるめ、柔軟性アップ!
《1》足を肩幅に開いて立つ。左腕をまっすぐ前に出し、右手で左の前腕をつかむ。
《2》右手で左腕を右側に引くようにして、上体を右側に向ける。このとき、左側の背中と肩甲骨周辺が伸びるのを意識して10秒間キープ。これを3回、逆側も同様に行う。
後ろ側から見ると…
4.脱・ねこ背の胸ストレッチ
ねこ背をリセットして、姿勢を正しく保つ
《1》壁に沿って平行に立ち、 足を肩幅に開く。左腕を上げ、前腕を壁にしっかり当てる(壁の端や柱などに腕をかけるようにすると、より楽に伸ばすことができる)。
《2》壁に腕をつけたまま体全体を右に向け、ゆっくりひねりながら左の胸を伸ばす。伸びを意識しながら10秒間キープ。これを3回、逆側も同様に行う。
【POINT】
肘を高くすると伸びる位置も上がる。自分がよく伸びていると感じる位置を探ろう。
5.寝姿勢で優しく首伸ばし
頭の重さから自由な状態で、ゆったりストレッチ
《1》枕を床に置いて横向きに寝る。膝を前に出し、股関節とも90度に曲げる。下側の手のひらを後頭部に当てる。
《2》上側の手も後頭部に当て、両手を組む。
《3》腕の力で頭を押して胸に引き寄せ、首の後ろ側を伸ばす。そのまま1分間キープ。
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