昼間は仕事や家事をアクティブにこなしているのに、夕方になると途端にガックリ落ちるエクラ世代の女性が増えている。これって単なる更年期? 今ひとつ原因がはっきりしない「夕方のツラさ」を徹底検証、解決策を探る!
①アラフィー世代の「夕方ツライ」症状とは?
症状1:夕方になると眠気がひどい
<アンケートの声>
「眠さのあまり、横になって1時間くらい寝る日がある」
「18時には睡魔におそわれる」
「仕事帰りの電車の中で寝てしまうことも」
症状2:どうにもやる気が出ない
<アンケートの声>
「段取りを組んでも、いざ夕方になるとやる気が出ない」
「夕飯の買い物に出ても、いつまでも決められない」
症状3:悲しくなる、気持ちがふさぐ
<アンケートの声>
「孤独を感じ、うつっぽくなる」
「暗くなると、涙が出そうになるほど悲しい気持ちになる」
「会社から家に帰ってやることを思うと、気持ちが沈む」
症状4:エネルギー切れを感じる
<アンケートの声>
「夕方の犬の散歩がツラくなってきた」
「階段を上がると息切れがしてしまう」
「エナジードリンクが手放せません」
症状5:集中力が続かなくなった
<アンケートの声>
「器を割ってしまうことが多くなった」
「同時に2つのことをこなすとミスが起きがち」
「考え事をしたくても、頭が空白になるような感じで集中できない」
症状6:とにかく疲れ果ててしまう
<アンケートの声>
「仕事から家に帰ると倒れ込みたくなる」
「ソファに座ったら、1時間は立ち上がれない」
「どんより体が重くなるほど疲れてしまう」
②がんばりすぎは禁物!自分の体と向き合う
今のアラウンド50の日常はかつてなくハード!
コロナ禍で誰もがストレスを感じている中で、責任世代のエクラ世代は周囲の人からのストレスまで引き受けがち。自分のことを後回しにしてしまうがんばり屋さんほど、「夕方ツライ症候群」に要注意! 自分の体も労って。
気力・体力の過信が、「夕方ツライ」を招いている
アンケートには、夕方からのツラさをせつせつと訴える記述がいっぱい。「コロナ禍で気を使うことが多い中、なんとか夕方までがんばっている感じですね」と木村先生。先生によると人にはもって生まれたエネルギー“先天の気”があり、その総量は加齢とともに小さくなっていくという。
「夕方ツライ症候群に悩むのは、もともとエネルギーボールが大きく、今までなら多少の無理がきいた人たちでしょう。アラ50になって体は老いに向かっていることに気づかず、つい今までどおりにがんばって、夕方ガス欠状態になってしまうのです」
女性ホルモンが減少する更年期には、体の調整のために余分にエネルギーが使われ、若いころなら無意識にできていたことがしんどくなる。ホルモンのアンバランスで自律神経も乱され、それまでなかった不定愁訴も現れやすい。
加えて、職場での責任、子供の進路や親の介護など、外的重圧も増大。昨年からはコロナ禍も加わり、エネルギーの消耗に追い討ちをかける。
「夕方には活動を促す交感神経が下がり、リラックスを促す副交感神経が優位になるので、夕方にテンションが下がるのは自然なことです。ただ、家事や育児を担っている女性は、夕方もうひと踏ん張りするために、交感神経をもう少し上げる必要がある。そのための余力を残しておくには、睡眠と食事でしっかりエネルギーチャージをしながら、優先順位をつけてがんばりすぎないことです」
加齢によって小さくなるその人のエネルギーボール。30代・40代に比べて、アラ50が小さいのは当然。過去の自分、あるいは周囲の人と比べて悲観するのではなく、今の自分のエネルギー量を見極めて、ふだんの生活や仕事を見直したい。
自律神経の機能低下でエネルギーが枯渇する
根来先生は、夕方のツラさの背景に慢性的な睡眠不足があると指摘。
「加齢や夜型の生活で、交感神経優位の時間が夜まで侵食すると、夜中に副交感神経が上がらず、睡眠の質が低下します。すると、睡眠中に毛細血管を介して届けられる栄養、酸素、ホルモンが全身の細胞に行き渡らず、老廃物の排出も滞る。そのため睡眠中に細胞が修復されないので、十分なエネルギーを生み出せず、朝になっても疲れが抜けません。そのような生活サイクルが何日も続くと、日中の交感神経まで落ちて、自律神経のトータルパワーも低下。すると、夕方には極端にだるい感じになり、やる気も起きなくなるのです」
自律神経の機能低下は、ホルモンや免疫にも悪影響を及ぼす。
「体には、体内環境を一定に保つ“ホメオスタシス”という仕組みが備わっていて、神経系、内分泌系、免疫系の3つでそのバランスを保っています。睡眠の質の低下やストレスなどで自律神経が乱れれば、内分泌系のホルモン分泌も乱れる。免疫系も弱るので、新型コロナウイルスの感染リスクも高まります。不調の連鎖を食い止めて夕方ツライ症候群から脱却するには、睡眠を見直して、自律神経と連動している体内時計を整えることです」
どうやら夕方ツライ症候群克服のカギは、睡眠と食事を中心にした生活習慣の見直しにあるようだ。
③「夕方イキイキ」になる習慣6
体内リズムの修正は、睡眠の見直しがキモ
根来先生によると、睡眠の質を高めるのに重要なのは、睡眠ホルモンのメラトニンだという。
「自律神経を乱すような生活を続けていると、メラトニンの分泌も乱れ、夕方など変な時間に眠気を催します。また、メラトニンには高い抗酸化作用もあるので、分泌が減れば、活性酸素が増えて疲れやすくなります。まずは早起き早寝を心がけて」
メラトニンの分泌は体内時計と連動している。朝の光が目から脳に届くと、メラトニンが抑制され生体リズムのズレがリセット。同時に、自律神経を通じて全細胞が覚醒。夜にはメラトニンの分泌が再開され、自然と眠気が増してくる。
メラトニンと同時に働かせたいのが、傷んだ細胞を睡眠中に修復し、体を癒す成長ホルモン。
「成長ホルモン分泌のピークは寝入り端(ばな)の3時間。その後、目覚めるまでの間に全身の細胞に運ばれます。その効果をフルに発揮させるには7時間睡眠が必要。ただし寝だめは、体内時計が乱れ、自律神経のバランスがくずれやすくなるので逆効果です」
体内リズムが乱れると、1時間の時差を修正するのに約一日を要し、年をとるほど修正に時間がかかる。早めに手を打つのが、「夕方ツライ」脱却への早道だ。「食事や運動、呼吸など体内時計を意識して生活習慣を見直せば、夕方の疲れも心地よいものになり眠りの質もよくなります」
読者アンケートより
「夕方ツライ」人のうち約43%は睡眠の質がよくなかった!
症状のない人は「まあまあ眠れる」がトップなので、相反する結果に。根来先生によると、自覚のない場合も、睡眠の質が低いケースもあるので要注意。
疲れを癒す成長ホルモンを逃さない生活リズムに!
朝6~7時に起きてその日のうちに眠ると、深い眠りと成長ホルモン分泌のピークが重なるので最も睡眠の効率がいい。疲れもしっかりとれるはず!
「夕方イキイキ」になる習慣1 起きたらすぐ、朝日を浴びる
「目から入った日の光が脳にある体内時計の中枢に届くとリセットされて、夜間、睡眠を促していたメラトニンに再びタイマーがかかり、15〜16時間後に分泌が始まるようにセットされます。睡眠中の成長ホルモンによる疲労回復効果が上がるよう、毎朝6〜7時には起きてすぐ朝日を浴びる習慣を。曇りや多少の雨の日でも十分効果あり」。
交感神経が高まるので、朝に熱めのシャワーを5分ほど浴びるのもおすすめ。
「夕方イキイキ」になる習慣2 朝食は必ずとる。3食は規則正しく
長い空腹状態のあとにとる朝食は細胞内の体内時計を目覚めさせるスイッチなので、少しでもおなかに入れたい。「朝日を浴びてから1時間以内にとると、一日の体内リズムが整いやすくなります。空腹時間が長いのは、体内時計がズレるもと。昼食は12時、遅くとも午後1時までに。夕食は7時を目標とし、寝る3時間前には食べ終えて」。
「夕方イキイキ」になる習慣3 日中の適度な運動で、自律神経のパワーアップを
運動不足は自律神経のトータルパワーを弱め、想像以上に心身へのダメージが大きい。「コロナうつの多くも運動不足が原因です。運動といってもハードである必要はないので、一日合計8000歩、歩くことを目ざして。ウォーキングの前に1〜2分でよいので筋トレを行うと、成長ホルモンがたっぷり分泌されます」。
根来先生によると、歩くこと、家事などでちょっと動くことも「運動」として重要。スポーツやワークアウトなどをしていない人も、一日の歩数が多ければ十分健康的。
ウォーキングなどで集中的に歩く前に筋トレを行うと、毛細血管が増え、脂肪も燃焼しやすくなる。
【さらにこちらも!】仕事の合間に自律神経を整えるなら4・4・8呼吸法
前屈みの姿勢を長時間続けると、肩甲骨まわりがかたまり、横隔膜の動きが阻害され、呼吸が浅くなりがちに。「浅い呼吸は自律神経の機能低下につながります。この呼吸法を行うと、横隔膜にある自律神経のセンサーを刺激し、副交感神経がスムーズにUP。幸せホルモンのセロトニンも分泌されリラックスします。肩甲骨周辺のストレッチ後に行うとより効果的」
❶ラクな姿勢で椅子に座り、鼻から息を吐ききる。
❷4秒かけて鼻から息を吸う。
❸4秒息を止める。
❹8秒かけて鼻から細く長く息を吐く。おなかを絞るようなイメージで。
❷〜❹を4回繰り返す。1時間〜1時間半おきに行うと、自律神経が安定し、体内リズムも整いやすい。
*事前のストレッチ*
左右の肩先に指をのせ、肩甲骨を寄せて胸を張る。両肘で大きく円を描くように、前から後ろへ5回回す。反対も5回
「夕方イキイキ」になる習慣4 仮眠は昼は30分以内、夕方なら15分以内に。
「昼寝は15時までに30分以内なら体内時計に支障ありません。夕方、猛烈に眠いときの仮眠は10〜15分までに抑えて」。それ以上眠ると体内時計に影響し、夜寝にくくなる。長時間睡眠にならないよう、タイマーを利用するか、人に起こしてもらおう。
「夕方イキイキ」になる習慣5 寝る1時間前に、ぬるめのお風呂を
眠気は深部体温が下がるとやってくる。38〜40度のぬるめのお風呂に入ると、副交感神経が優位になって毛細血管がゆるみ、体の中心から末端へ血液が流れ、深部体温が下がりやすい。「寝る1時間前に10分でもいいので湯ぶねにつかると、ベッドに入るころには深部体温が下がって寝つきがよくなります。反対に夜のシャワーは目が冴えるので避けましょう」。
高めの湯温は交感神経を高めてしまうのでNG。ぬるめの湯温での半身浴を心がけたい。
「夕方イキイキ」になる習慣6 就寝前には強い光をシャットアウト
夜は暗めの照明で、眠りへの導入をスムーズに。特にスマホやパソコンのブルーライトは、視神経を刺激してメラトニンの分泌を抑制する。寝る3時間前には使用を控えたい。「夜中に目が覚めたとき、スマホで時間を確認する人がいますが、一瞬で目が冴えるのでこれはNG」。
深夜トイレに起きたときなども、強い明かりを避け、スマートフォンの操作を控えよう。
【さらにこちらも!】よりよく眠るための、ベッドでリンパ呼吸法
寝る前の仕上げは、横隔膜の近くにある、リンパが貯留する“乳び槽”の老廃物を一掃する呼吸法。 深い呼吸で副交感神経が優位になり、入眠がスムーズになるだけではない。「この呼吸法を10回も行えば、老廃物でこぶし大に膨らんだ乳び槽がもとの小指大に戻ります。リンパの流れが改善されると疲労回復も促進されます」。
あおむけに寝て膝を立て胸とおなかに手を置く。鼻から息を軽く吐ききったら、ゆっくりと鼻から息を吸う。入ってくる息にまかせ、おなかの膨らみで手が押されるのを感じて。
おなかがへこむのを手で感じながら、鼻からゆっくりと細く長く息を吐く。好きなだけ行い、そのまま寝ついてもOK。
④「夕方イキイキ」になるためには“五臓のバランス”が大事
読者アンケートより
意外にも、朝食抜き、朝昼の糖質偏重が多かった!
症状ありの人の食事は、夕食はしっかりおかずがあるが、朝・昼は糖質偏重の「単品食べ」が目立つ。また、「朝は食べない」(水やコーヒーなど、栄養価の低い飲み物のみ含む)も26人におよんだ。
【まずは知っておきたい!東洋医学の「五臓」と「五味」の考え方】
「五臓」は、漢方の考え方で心身の生理機能をつかさどるとされる五大柱。西洋医学でいう臓器とは必ずしも一致しない。それぞれを養うのに適した食味として「五味」が対応する。甘いものへの欲求を抑えるには酸っぱいもの、というバランスを覚えておこう。
肝…「血」を貯蔵する。自律神経や情緒をコントロール
心…「血」を循環させる。睡眠のリズムを調節
脾… 日々生み出される「気」を蓄える。消化吸収機能に関係
肺… 呼吸機能や水分代謝に関係。肌の状態にも影響
腎… 親からもらった「気」を蓄える。成長・発育・生殖・老化に関係
「肝」「心」「脾」「肺」「腎」の五臓は、それぞれ「すっぱい」「苦い」「甘い」「辛い」「塩辛い」の五味と関係し、互いに作用し合ってバランスをとろうとしている。
体のエネルギーをつかさどるのは「腎」と「脾」
体を動かすためのエネルギー、気には2つある。“先天の気”といわれ、生まれもった体の強さや体力に当たるのが「腎気」。「脾気」は、“後天の気”で、日々の食事から養うエネルギー。この「腎」と「脾」に加えて、エネルギーを体にめぐらせる働きのある「肝」も養いたい。
五臓のバランスを考えながら効率よくエネルギー補給を
「更年期からは生まれながらに備わっている“先天の気”を減らさない食を心がけたいですね」と木村先生。
漢方では心身の機能を5つに分けて「五臓」といい、それぞれに対応する「五味」がある。先天の気を蓄えるのは老化に関係する「腎」。「腎を養うのは塩辛い味です。塩分のとりすぎに注意しながら、海産物などで取り入れましょう」
先天の気の減少は、消化吸収を担う「脾」のエネルギー「脾気」でカバー可能。脾は日々の食事で生み出される“後天の気”を蓄えている。しかし、加齢とともに胃腸は弱ってくるので、食事内容にも注意したい。アンケートでは、手っ取り早くエネルギーが得られる糖質に偏る傾向が見られたけれど……。
「脾を養う味は甘味なので、糖質が該当します。ただしとりすぎると、腎の働きを低下させ、エネルギーのむだ使いになり逆効果。また、主食に偏った食事で栄養失調に陥っている人も多いです。少量でいいから肉や魚を加え、動物性タンパク質を補って。私は間食にゆで卵をよく食べます。葉野菜や海藻など血糖値を上げにくい低GI値のおかずから食べ、少量の主食で締めれば、血糖値の急上昇による疲労も防げます」
夏には冷たいものが欲しくなるが、脾に負担をかけるので控えめに。「体を温める食材をとったり、火を通すなど調理法も工夫してみて」
無性に甘いものが欲しくなるときは、自律神経を担う「肝」が弱っている証拠。肝を養う酸味が効く。
「ハッと我に返りますよ(笑)。肝気のめぐりもよくなって、腎や脾のエネルギーもスムーズに流れます。過食に走ったときは、心身に負荷がかかっているため、まず自分を労って。私自身、毎日の食事は完璧ではないので、患者さんには一週間単位で栄養の帳尻を合わせることをおすすめしています。アラ50では胃腸の変化に合わせ、きちんと空腹を感じてからの食事を心がけて。一日三食にとらわれすぎず、自分なりの生活習慣を整えていくのが、エクラ世代の食養生のコツです」
⑤取り入れたい腎・脾・肝を養う食材&リラックス法
腎(鹹味)
海のもの(海藻類、イワシ、貝、エビなど)
黒い食材(黒豆、黒ごま、黒きくらげなど)
ネバネバ食材(納豆、山いも、なめこなど)
塩気のある調味料(塩、しょうゆ、味噌)
脾(甘味)
穀物、いも類、ハチミツなどの糖類
[体を温める食べ物]鯛、鰊(にしん)、しょうが、まいたけ、かぼちゃ、 にんにく、にんにくの芽、しそなど
肝(酸味)
梅干し、酢、レモン、かぼすなどのかんきつ類、 ライチ、りんご、さくらんぼなど
忙しいときも最低限の工夫を!Dr.木村のアドバイス
アラフィー世代は、良品をちょこちょこ食べるのが理想。主菜は、時には贅沢して食卓に楽しみを。
エナジードリンクに頼るときは、カフェインレスを選んで。食事でとりにくい栄養素は、サプリで補うのも可。
単品食べは避けて、一品でもおかずになるものを。「おかず」→「主食」の食べ順も守りましょう。
「夕方ツライ」の予防線にはこんな“手”もあり!
「香り」や「体温コントロール」で夕方に備える
ツラい時間に先立って、好きな香りをまとうと少しはラクになるはず。木村先生も覚醒系と鎮静系の香りを常備しているそう。また、仕事から帰宅したときなど、水パッティングすると交感神経が適度に上がる。
[覚醒]ペパーミント、レモン、ローズマリーなど。
[沈静]ラベンダー、カモミールなど。そのときの気分に合った香りを
夕方に交感神経をもうひとふんばりさせる水パッティングを試して。帰宅してすぐメイクを落とすことも気分の切り替えに。
「ツボ押し」で3つの臓にさらなる活力を!
五臓の中でも気に関係する「腎」「脾」「肝」を活性化するツボ。いずれも背骨沿いに位置する。背中側に届くツボ押しの道具がなければ、ゴルフボールをいくつか洗濯ネットに入れて、その上に寝てグリグリして。
肝兪…第9胸椎の出っぱりの下。
脾兪…胃の裏側あたり。腎兪…へその真後ろ。
いずれも、背骨の中心から左右に指2本分(人さし指・中指)の外側が目安
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