足がつって、「熟睡できない」「スポーツや旅行を楽しめない」アラフィーが増えている。足がつる=こむら返りはなぜ起こるの?50代になってつりやすくなる原因は?大人のこむら返りの予防法とは?「大人のこむら返り」の乗り越え方をお届けします。
50代になると足がつりやすくなる原因は?
夜中、夫のただならぬうめき声で目を覚ますと、となりのベッドで足がつって悶絶している夫の姿が。毎晩ではないもののたびたび起こり、夫もつらいが、私も寝不足に……。また、私の場合、最近始めたテニスで長時間プレーすると、足がつりそうに。そもそもこむら返りはどうして起こるの? 年齢とともに起こりやすくなるものなのでしょうか。
足がつる原因は、冷えや大量の発汗、お酒の飲みすぎによる電解質不足
小田:夫や友人が、就寝中のこむら返りに悩んでいるのですが、なぜ寝ているあいだに足がつるのですか?
小池先生:足がつる時間は、だいたい同じ時間ではないですか? 就寝からしばらくすると、足の筋肉は完全にゆるみます。起きているあいだはただ立ったり座ったりしているだけでもふくらはぎの筋肉は緊張、つまり使われている状態。完全にゆるむのは寝ているあいだだけなのです。筋肉は使っていないので冷えやすい状態に。足先から心臓に血液が戻る静脈の流れが悪くなるとふくらはぎの筋肉が過剰収縮を起こし、ひきつりやすくなるのです。
小田:確かに夫の場合、こむら返りが起こるのは、決まって就寝から2時間ほどたった夜中の1時頃です。
小池先生:足がつる日は、お酒をたくさん飲んだり、急に運動をたっぷりした日なのでは? お酒を飲むと、利尿作用で脱水症状に陥りがち。するとミネラルが体の外に出て行ってしまい、血液に電解質異常が起こります。電解質とは血液中にあるナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムといったミネラルのこと。これら電解質は、体温調節や筋肉の収縮に関わっていて、常に一定量必要なんです。また、ふだんから運動をしていれば別なのですが、急にたくさん運動すると筋肉が疲労し、筋線維が断裂。すると、けいれんが起こりやすくなるのです。
小田:お酒の中でも特に、ビールはキンキンに冷えているので、体の冷えにもつながり、血流ダウンを招いてこむら返りにつながりやすいそうです。
小池先生:そこに加えて、熱帯夜だったりすると汗をかいてミネラル不足になり、さらにはエアコンをきかせているのに足に布団がかかっておらず冷えると、足がつる条件がそろってしまいます。夏は十分に注意する必要があります。
小田:更年期と足がつることとは関係がありますか?
小池先生:女性ホルモンのバランスとの関係もあるでしょう。妊娠中、こむら返りを起こす人が多いのは確かですし、足に静脈瘤がある人にこむら返りが多いことも、ふだんの治療から感じています。相対的にお酒が好きでよく飲んでいる更年期、更年期以降の女性に、足がつる人が多いのは事実です。
夏は汗をかいてミネラル不足になる上、キンキンのビールを飲みすぎて冷えを招き、足がつりやすい状況に。
小田:夜中に足がつるのと、運動中に足がつるのとでは、原因が違うのでしょうか?
小池先生:汗をかいて脱水症状になりミネラルが奪われたときや、筋肉を酷使し疲労でけいれんを起こしやすくなるという点では、夜中に足がつるのと同じです。ただし、夜中に足がつると睡眠の妨げになるのでつらいですね。運動中のこむら返りは、つりそうだなと予感した時点でつま先を引っぱって足首の前側を曲げたり、アキレス腱伸ばしの要領でふくらはぎをのばせば、ある程度の症状はおさまります。しかし夜中のこむら返りは、ふくらはぎをのばしてもなかなかよくならないし、痛すぎてのばすことすら辛いことも多々。数秒から数分、けいれんが過ぎ去るのを待たなければなりません。
劇的に治る!「芍薬甘草湯」は足のつりに即効性がある漢方薬
小田:漢方薬の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を飲むとけいれん、痛みが劇的におさまるようですね。こむら返りを繰り返す友人は「魔法の68番(ツムラの芍薬甘草湯の番号)」と呼んで常備していますが、飲み続けて大丈夫なものでしょうか?
小池先生:芍薬甘草湯は筋肉のけいれんを押さえる特効薬としてよく知られた漢方薬です。足がつったときに飲めば、数分で激痛が引くほどの即効性があるので、足がつりそうな日は、枕元に水とともにおいておくとよいでしょう。芍薬甘草湯には予防効果もあり、スポーツをする前や、足が疲れた日の就寝前など、こむら返りが起こりそうなときに事前に服用すれば、ある程度は発作を抑えられることも。
ただし、長期間にわたって服用しつづけると、偽性アルドステロン症という副作用を引き起こすこともあると小池先生。
小池先生:偽性アルドステロン症になると、血圧が上昇したり、カリウムが減ったりして、手足の力が抜ける、手足がこわばる、高血圧、むくみ、頭痛などの症状が現れます。芍薬甘草湯はあくまで一時的な対処療法で、根本的な解決法ではありません。飲み続けるうちに以前ほど効かなくなったからと、自己判断で服用量を増やすなどするのはもってのほか。医師の診断のもと、適切に服用しなければなりません。
芍薬甘草湯に含まれる甘草=グリチルリチン酸には、ナトリウムを体内に溜め込みカリウムを体外に出すアルデステロンと似た働きが。間違った大量摂取により血圧上昇、カリウム減少を起こす。
足がつらない「4つの予防法」
足がつる予防法① まずはカルシウムとマグネシウムを補充する
小池先生:足がつる日は、血液中の電解質、つまりミネラルが減ってしまう。こむら返りの予防法としてまず試してみて欲しいのが、この電解質の補給。ミネラルにもいろいろありますが、補給してほしいのはずばり、カルシウムとマグネシウム。サプリメントで効率よく補給することをおすすめします。
小田:電解質には、ナトリウムやカリウムもありますが、なぜカルシウムとマグネシウムを?
小池先生:カルシウムとマグネシウムは、不足すると筋肉がひきつったり、コリやすくなるんです。夜中に足がつる人や、運動で足がつりやすい人に、カルシウムとマグネシウムがセットになったサプリメントを飲んでいただくと、かなりの確率で改善します。ストレスを感じたとき目がピクピクする、肩がコリやすいという人にもおすすめです。
小田:サプリメントで補うのが良いのでしょうか?
小池先生:カルシウムとマグネシウムはふだんの食事で不足しやすく、お酒を飲むと減ってしまうんです。また、マグネシウムは汗で体外に排出されてしまうので、夏は特に足りなくなります。カルシウム、マグネシウム不足で起こる典型的な症状は、骨密度が低下する骨粗しょう症。更年期世代の女性は足がつりやすくなるだけでなく、骨粗しょう症の心配もあるので、カルシウム、マグネシウムのサプリメントを摂っておいて損はありません。
小田:カルシウムは摂りすぎに懸念の声もありますが……。
小池先生:過剰な摂取は動脈硬化を招く原因にもなりますが、不足していいわけがありません。足がつる、骨密度が低いなどの症状がある人は適度にサプリメントで摂取することをおすすめします。
小田:50代の女性の摂取の目安は、1日カルシウム600mg、マグネシウム310mgだといいます。
小池先生:もちろん、食事もあわせて必要量を摂っていただければと思います。カルシウムは乳製品や小魚、納豆や豆腐などの大豆食品、小松菜に、マグネシウムはスルメなどの魚介類、大豆食品、海藻、ナッツ類、玄米に多く含まれています。
(左)1日5粒でカルシウム400mg、マグネシウム200mg、ビタミンD2.5μgを摂取できる。カルシウム 150粒 ¥448/ファンケル (右)1日3粒でカルシウム360mg、マグネシウム206mg、ビタミンD2.2μgを摂取できる。DHC 30日 カルシウム マグ 90粒 ¥410/DHC
足がつる予防法② ビタミンB群やビタミンDのサプリを摂る
小田:ほかに、こむら返りを防ぐために必要な栄養素はありますか?
小池先生:お酒をたくさん飲まれる方だったらビタミンB群も不足しているので、サプリメントで補給するといいですね。冷えや血流低下がこむら返りを招く原因にもなるので、ビタミンB群は血流に欠かせない栄養素。不足すれば足がつりやすくなります。また、筋肉維持に欠かせないビタミンDも補給することをおすすめします。
小田:優先順位としてはカルシウムとマグネシウム?
小池先生:はい、その通り。飲んでみて、あまり改善されない場合は、ビタミンB群やビタミンDを試してみるとよいでしょう。また、たまに足がつる程度なら、カルシウム、マグネシウム、ビタミンB群、ビタミンDをバランスよく含むマルチビタミンを利用するのも手です。
足がつる予防法③ 水分を摂って、脱水を防ぐ
小田:夜寝る前や、運動中に気をつけることは?
小池先生:当然のことながら、水分をしっかり摂ることは重要です。飲酒による利尿作用、暑さによる発汗による電解質不足がこむら返りを引き起こします。お酒を飲みながら、運動をしながら、旅行中もこまめに水分を摂りましょう。
小田:水やお茶(夜寝る前はカフェインを含まないもの)、大量に汗をかいたときや、脱水症状が疑われるときは塩分やミネラルも摂れるスポーツドリンクもおすすめです。
水やお茶はがぶ飲みするのでなく、コップ1杯ずつ、喉が渇く前に。お酒を飲むときは、必ず水も用意してこまめに補給を。
足がつる予防法④ ふくらはぎマッサージ法
つらい発作が起こらないようにするには、日ごろからの「足のマッサージ」が有効だと統合医療の医師、小池弘人先生。どのようにマッサージすればいい?マッサージ器やプロの手を借りることも必要?
小田:ふくらはぎマッサージは今注目されていますが、こむら返り防止にも役立つのでしょうか?
小池先生:はい、役立ちますので、ぜひ行っていただきたいですね。難しいテクニックは必要ありません。ふくらはぎマッサージ法の1~4を片足ずつ、各3回行ってみてください。
ふくらはぎマッサージ法
【1】足首を上からはさむようにつかみ、足の外側にあてた4本の指を意識しながら、ひざまで引き上げる。
【2】足首を上からはさむようにつかみ、足の内側にあてた親指を意識しながら、ひざまで引き上げる。
【3】足首を左右からはさむようにつかみ、足の表側にあてた両手の親指を意識しながら、ひざへと引き上げる。ひざ下の外側のくぼみにあるツボ「足三里」を数回押しながらもむ。
【4】足首を左右からはさむようにつかみ、足の裏側にあてた両手の4本の指を意識しながら、ひざまで引き上げる。ひざ裏の真ん中にあるツボ「委中(いちゅう)」を数回押しながらもむ。
(左)3でもむ「足三里」はココ。ひざの端から指4本分下 (右)4でもむ「委中」はココ。ひざの裏の中央。
小田:マッサージガンなどのマッサージ器を利用してもいい? 専門店でプロにマッサージしてもらったほうが効果的?
小池先生:マッサージ器を使用したり、プロの手を借りてもかまわないのですが、できれば自分の手で習慣的に行うことをおすすめします。自分でふくらはぎに触れて筋肉のハリや硬さを感じることが大事なのです。習慣的に行っていればその日の足の使い方や疲労度、体調によって、ハリや硬さ、温かさが違うことがわかるようになります。ハリがなければ運動量が足りないということ、硬ければ疲労が溜まっている可能性が、冷えていれば血流が悪くなっていることがわかります。ふくらはぎに触れるということは、自分のカラダを知る第一歩なんです。
小田:面倒に思えても、触れることが大事なんですね。
小池先生:そうなんです、足首からひざまでをさするだけでもいい。気づいたときにやればやるほど、血流がよくなり、冷えを防止し、ふくらはぎの筋肉を柔らかく保てます。何より大事なのは、『楽を求めない』という心の持ちよう。楽や効率を求めて近道をしようとすると、人間も社会も自然の摂理で『縮退』が起こります。『縮退』とはちっぽけなパターンにはまり込むことで、人間なら老化、社会なら衰退が起こります。
下手でもいいから、一見無駄なことに時間を費やす、プロセスを重ねる、遠回りをすることが『縮退』を避けるカギ。少し哲学的に聞こえるかもしれませんが、大人にこむら返りが起こるということは老化が進んでいる、すなわち生き方や考え方が『縮退』傾向にあるという、体からの警告。自己管理能力がダウンしていることを、ふくらはぎが知らせてくれているのです。もちろん、困ったときは医師など他人に頼ることも必要なのですが、自分でもなんとかしようとする『自力』を養うことは、これから長い人生を快適に、健康に、幸せに生きていくためにとても重要です。
ふくらはぎを、たださするだけでも大きな意味が。筋肉のハリ具合やコリ、冷えをチェック。自分で触れて、身体感覚を養うことがこむら返りを防ぎ、ひいては「縮退=老化」を予防する。
「ふくらはぎケアは奥が深い」というのが小田の率直な感想です。つらなければいい、という考え方から、ふくらはぎを窓口に「自分の生命力を呼び覚まそう!」という考え方に変わりました。
取材以来、お風呂の湯船の中や、ボディクリームを塗るときにふくらはぎをもみもみ、さすさすすることが習慣に。すると冷房下でも足の冷え感がなくなり、長時間テニスをしてもつりそうな不安を感じることが減りました。
夜中のこむら返りで悶絶を繰り返していた夫にマルチビタミンを飲ませたところ、芍薬甘草湯にお世話になることがなくなり、お陰様でこむら返りループから脱出成功。ぜひみなさんも、ふくらはぎをお大事に♡
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