二拠点暮らし、親との同居、リノベーションと住まい方を見直し、新たな暮らしへと踏み出した人々の事例をご紹介。今回は、昨年の3月から戸建ての二世帯住宅で両親と同居を始めた料理家・サルボ恭子さんのご自宅をご紹介。
暮らしの形をしなやかに変えたエクラ世代
料理家 サルボ恭子さん
さるぼ きょうこ●料理家の叔母に師事したのち、渡仏。料理とお菓子を学び、グランメゾンで研鑽を積む。人気の料理教室に加え、本格的な味を家庭で楽しめるオンラインストア「ノートル」(@notre.jp)を開店。『フランス共働き家庭の2品献立』(立東舎)など著書多数。
【二世帯】プライバシーを守りつつ行き来できる理想的な距離感の二世帯同居
キッチン横の和室にはカーペットを敷き、テーブルと椅子を置いてダイニングに。「夫は物をむやみに増やさず、あるものを生かし、工夫して暮らすことを大切にしています」という言葉に深くうなずく。シンプルで、隅々まで神経が行き届いた美しい暮らし。
雪見障子越しに庭の緑が望めるダイニング。テーブルはイギリスのアンティーク。奥に見えるのはコーヒーをいれるコーナー。「コーヒー好きな夫にこの場をプレゼントしました」
夫のすすめで同居をスタート。お互いが安心できる暮らしに
昨年の3月から、戸建ての二世帯住宅で両親と同居を始めたサルボさん。
「数年前に母が体調をくずし、それを機に東京に呼びました。日光にある実家は残したまま、試しにまずは最低限のものだけを持って私たちの家で暮らしてもらい、私たち夫婦は駅近のマンションに引っ越しを。その間に二世帯で暮らせる家を探したところ、運よくここが見つかりまして」
玄関だけ共有で水まわりは別、洋室で明るい2階に両親、和室の多い1階にサルボさん夫婦が暮らす。そもそも同居をすすめてくれたのは夫だった。
「ありがたいなぁと思いました。子供たちも独立し、私たちの暮らしはシンプルで身軽。引っ越しも苦ではなかった。私は陰影のある暗めの室内が、フランス人の夫は布団で寝るのが好き。和室でも住みこなせると思い1階に。両親は明るいほうがいいし、洋室で暮らしていたので2階に。ずっと戸建て住まいだったせいか、庭があるのが落ち着くようです」
いつでも戻れる状態で、徐々に東京暮らしに慣れていったおかげで、両親の心の負担も少なかったよう。
「プライバシーは守りつつ、おかずのやりとりをしたり、時間が合えば一緒に食事もします。両親も今の暮らしを楽しんでくれ、安堵しました」
なんとサルボさんにとっては中学生以来となる両親との同居。お互いに安心でき、助け合える、心穏やかな暮らしを手に入れた。
自分たちらしく和室をしつらえる
床の間には実家から持ってきた桐箪笥を置き、鍋などの収納として活用。「引き出しを一部抜いて棚にしたら、圧迫感もなくなりました」。
縁側の突き当たりには、染付の壺に観葉植物を。サルボさんの植物好きはお母さま譲り。
食器棚には、愛用する白い器や、両親からもらった大倉陶園やウエッジウッド、ジノリの器が並ぶ。
両親のLDにて。「娘の夫は楽しい人で、心強く、安心して暮らせています。私は東京出身なので、皆さん『おかえりなさい』といってくださって。お互い生活時間が違っても気にならないし、日々楽しくて時間があっという間に過ぎます」とお母さま。
あるものを生かし美しく暮らす
コーヒーコーナーには、かつて駒沢にあった茜屋珈琲店から譲り受けたミルなどが並ぶ。
玄関に置いたオブジェのような椅子の上には、さりげなく季節の果物があしらわれていた。しつらいの美しさに目がとまる。
モンドリアンの絵を桟で表現した窓枠は茜屋珈琲店が取り壊しになる際に譲り受けた。アートのように廊下に並べている。