「ときめく器」でモチベーションを上げ、「使える器」でいつもの料理をおいしく見せる。いろいろな人の愛用の器をヒントに、食卓が楽しくなる、とびきりの一枚を見つけて。
①器を愛する目利きの「お気に入りの器」
毎日手に触れ、目に触れる器。心ときめくものや、使いやすいものが見つかれば、毎日がより豊かに幸せになるはず。心から器を愛する5人の目利きに、お気に入りの器をうかがった。
器は、一番気軽なインテリア。ときめくものだけを、使いたい
小さな器を大事に選んで卓上の、室内の景色をつくる
料理家にとって、器は仕事道具。こだわりはあって当然だが、冷水希三子さんの“器愛”は並々ならぬものがある。撮影や料理教室にも使う自宅のダイニングキッチンに並ぶ器の量は、ちょっとしたギャラリー顔負けの量で、ディスプレイ収納のセンスのよさも知られるところ。今年2月には、都内のギャラリーで開催された5人の作家の展示でキュレーターも務めた。
「家具も好きですが、価格やスペースを考えると“集める”のはなかなかむずかしい。その点、器は気軽に求められる。見せる収納を工夫すれば、室内の雰囲気も変わる。一番気軽なインテリアなんです」
陶器に磁器、木地もの、作家は重鎮から新進気鋭まで、東西のアンティークに民芸品と、セレクトの幅も広い。基準は「ものとして力があるもの」だという。
「新しい作家さんとの出会いは直感が第一。その中で定番になるのは、やはり“使いやすい”ものです」
個人的にこれから注目していきたい作家として、陶芸家・タナカシゲオさんの名があがった。
「李朝の焼きものからの影響と、薪窯焼成の素朴さのバランスがとても素敵で。いろんな作品を見てみたいと、機をうかがっています」
第一印象で心をつかまれ、リピートしている器のつくり手のひとりが、木工作家・藤本健さん。
「木地の表情が生きた器は、どんな料理も美しく映えて、手ざわりなど質感も心地よいんです」
一方で日常的には、数をそろえられるアイテムも重要。コロナ禍で機会は減ったものの料理教室に公私の食事会と、大人数での食事の機会も多いからだ。
「わが家で最も活躍してくれているのは、中本純也さんの器。デザインもよく価格も良心的で、うちでファンになるかたも多いです」
加えて自身の経験から「作家にこだわらずそろえておくとよい」と推すのが、六寸皿。前菜にも取り皿にもよく、異なるデザインも卓上のアクセントになるのだとか。
「気になる作家に出会ったら、小さなものをまず2点。気に入ったら、数を増やしたり、違う形の器を求めたり。気軽な入口を見つけて、器を楽しんでほしいですね」
冷水希三子さんの「ときめく器」
1.割れやゆがみも「顔」になる木工作家・藤本健さんの作品
沖縄県南城市に工房を構える藤本健さんの作品は、5年ほど前から愛用。「工房と敷地内にあるレストラン『胃袋』におじゃましたのがきっかけで」と、冷水さん。沖縄で育った木の、豊かな表情を生かした作品が魅力なのだという。ボウル(φ25㎝×H12㎝)。
2.メキシコ、オアハカ州からFranciscoの素焼きの器
メキシコ、オアハカ州の作家・Franciscoのプレート(右、φ15㎝)と鉢(左、φ11㎝×H7㎝)。「素焼きの陶器のような、プリミティブな風合いが好きです。シンプルだから盛りつける料理を選ばず、日本の土ものとも違和感なくなじむ」のだとか。
3.洗練と素朴さをあわせもつタナカシゲオさんの世界
古陶磁を手本に奈良で作陶するタナカシゲオさんは、冷水さんが「今、最も気になるひとり」と話す陶芸作家。洗練されたデザインと薪窯焼成が生む、自然で、どこか素朴な風合いに惹かれるのだそう。台皿(φ16×H3.8㎝)。小皿 各(φ7.3㎝×H2㎝)。
ものとして力のある器が好き。新しい作家さんは直感で。
使える六寸皿は何枚でも。「重ねて見せる」収納も
六寸皿(φ18.5㎝)コレクション。小野哲平さん、山田洋次さん、荒川真吾さんなど作家はさまざまだが、不思議と親和性がある。
友人に依頼し作ってもらった棚が20年以上活躍する。棚板のみのシンプルな造りで、手前・奥の別なく取り出しやすいそう。
冷水希三子さんの「使える器」
1.余白が料理を引き立たせる寒川義雄さんの白磁
広島を拠点に作陶する寒川義雄さんの磁器も、冷水さんのヘビーローテーションアイテムのひとつ(φ18 ×H5㎝)。「無釉薬なので盛りつけの前に水にさらすと匂いがしみ込みにくいです」とのアドバイスも。上品な盛りつけで、余白の美しさを楽しみたい。
2.シンプル、丈夫、美しい。中本純也さんの頼れる器
出会いは大阪の器屋さんに勤めていた20年前というから、かなり長いお付き合い。冷水さんの定番中の定番で、器のほかピッチャーやボウルなどもそろう。「教室でも大活躍。長く使っていても飽きがこず、日常の料理に寄り添ってくれます」。中鉢(φ16×H7㎝)
3.アンティークのような風合い。オルミナキルンのプレート
奈良で作陶をする櫻井美奈子さんの『オルミナキルン』。フランスのアンティークのような風合いが特徴で「余白の見せ方で表情が変わり、“適当な盛りつけ”でも絵になる。女性に人気です」とのこと。
この日は鯖とフェンネル、いちじくのサラダに。プレート(φ28㎝)。
4.ひとつあると景色が締まる清水善行さんの大鉢
京都・南山城村を拠点とする清水善行さん。「この器の石のような質感が好きです」と冷水さん。「大きな器は敬遠されがちだけれど、ひとつあると卓上が“締まる”」とも。
サラダやお刺身によし、写真のサーモンのフリカッセのような温かい料理にも。大鉢(φ23㎝)。
「器選びの一番の基準は『かわいい』と思う気持ちや『ときめく』気持ち。あとは作家さんのお話をうかがい、ものづくりに対する思いや姿勢や、背景にあるストーリーを知ってから手に入れることも大切にしています」
日々忙しく働く野田さんの癒しは器。かれこれ10年以上、足繁くギャラリーやショップに通い、作家ものの器や骨董と興味の対象を広げてきた。そんな野田さんも最初のころは、あえて作家が在廊していない日をねらって個展を訪れていたという。
「買わなきゃいけないような気がして(笑)。あと背景がわからないほうがシンプルにものとして見られるのかな?とも思い。でもあるとき、作家さんとお話しして、見ただけでは想像もつかない制作過程のことや、どんなコンセプトや思いでつくっているのかなどをうかがう機会があって。その器に対する興味、思いがいっそう強くなり、より愛着がわくようになったんです。以来、できるかぎり、個展の初日や作家在廊日に行くようにしています。直接お話を聞きたいし、初日に行くとたとえ購入しなくてもたくさんの作品を見られますから。手に入れた器を見るたびに、うかがった話や作家さんを思い出し、エネルギーをもらえます」
作家の器だけでなく、古い器にも目が向くようになってからは、アンティークショップめぐりも楽しみに。
「ショップの人から聞く、まるで歴史の授業のような、その器が生まれた時代背景や器にまつわる話がおもしろくて。質問しながら気づくと数時間近く話し込んでしまうことも」
歴史の授業は好きではなかったのに、器を介すると楽しいと笑う。
「器って大切ですよね。たとえシンプルな料理でも食が豊かになるし、気分が上がります。一日の始まりに、今日はどの器にどんな料理を盛ろうか?と考えるのが楽しみです」
野田智子さんの「ときめく器」
1.職人技を感じる緻密さに惹かれて
京都・清水焼の伝統工芸士、北村賀善(がぜん)の染付の皿。「この驚くほど緻密な蛸唐草模様に惹かれて手に入れました。北村さんの染付には、白地が多いものもありますが、私は全面にこまやかな模様が施されているのが好き。もう一枚、白地に藍で描かれた皿も持っていますが、そちらも同じくらい細かいんです」。
2.自分の目で見つけ出したお気に入り
「3年くらい前、浅草橋にあるギャラリー白日のガラスケースの中に、ポツンと置いてあったもの。ひと目惚れでした。かなり古いものだと思うのですが状態もとてもよくて」というお気に入りの天目茶碗。愛めでるだけでなく、さくらんぼなどのフルーツや、青菜のおひたしなどを盛って日々活用している。
3.イタリアらしいおおらかさにひと目惚れ
アーツアンドサイエンスで出会ったイタリア、ムラノのYALIというブランドのセット。「カラフルな縁にイタリアっぽい遊び心が感じられ、ガラスにちょっとムラがあるような、表情豊かなところも気に入っています。飲み物はもちろん、グラスにはつるんとしたゼリーなどを入れてもいいなと思っています」。
4.ずっと見続けていきたいアーティスト
「小山剛さんの作品は置くだけで絵になり、見るたびにときめきます。どれも唯一無二のストイックな作風で、まるでアートのよう。個展にはできるだけ出向き、これからも新しい作品をこの目で見続けていきたいと思う作家さんです。お盆や敷板以外にアートピースも所有しています」
野田智子さんの「使える器」
1.旅先の韓国で出会った懐深い一枚
旅行で韓国に行ったときにギャラリーで購入したもの。「あまり日本では見かけないようなテクスチャーと色合いが気に入って、形違いもいくつか持ち帰ってきました。力強さがあって、特に写真の器はとにかく何を盛っても映えます」。陶器だが表面に漆が塗ってあり、扱いやすいところも魅力だとか。
2.やっぱり使える、雰囲気のある白い皿
「アンティークの白い皿は、写真のように状態のいいものも、金継ぎが施されたようなものも集めています。新品にはない趣おもむきのある白が、料理を引き立ててくれます」。アンティークスタミゼで購入することが多く、1700〜1800年代のフランス製がほとんどだが、一部珍しいイギリスの初期のウェッジウッド社製も。
3.並べて使う、愛おしいガラス器
「小澄正雄さんのガラス皿は繊細なガラスの薄さとこの小さくてかわいらしい形がとても愛いとおしいんです。少しずつ前菜などを盛って、並べるのもいいし、ジュエリーを置いたりすることも」。伝統的な型吹きガラスの手法で手をかけてつくられる優しい肌合いのガラスの小皿たち。並べたお盆は小山剛のもの。
4.絵柄は表だけでなく裏も必ずチェック
「少しずつ集めてきた染付の小皿や豆皿は、江戸後期のものが多いでしょうか。表はもちろん、裏にまでていねいに描かれた絵柄がかわいいんです」。主に京都を訪れたときなどに骨董を扱う店で購入することが多いとか。「店主に年代の見分け方を教えていただきながら、器がつくられた時代の話などをうかがうのも楽しみ」。
ゆうきさんの「ときめく器」
1.和菓子も映える仏アンティーク皿
アンティークを扱う友栄堂で見つけた、フランスの金属製のプレート。「店主のおすすめをうかがい、古い器についての話を聞きながら購入しました」。和菓子やフルーツを盛りつけることが多いそう。鈍く光るシルバーのアンティークの洋皿には、和菓子も映える。
2.強いけど優しい、大好きな作家の器
「島るり子さんは大好きな作家さん。個展でお会いしたときに『あなたみたいなお若い人が私の器を持ってくれているだけで幸せだわ』とおっしゃっていただき感激しました」。焼き締めの湯飲みは丈夫で使いやすく、お茶だけでなく杏仁豆腐を盛ることも。
ゆうきさんの「使える器」
1.作りおきのおかずも豊かに。長く、毎日使用したい
作りおきのおかずも豊かに。 長く、毎日使用したい「仁城義勝さんの入れ子組椀は、個展で見てすごく欲しくて。値が張るので悩みましたが、長く使えると思いきって数セット購入しました。年を重ねてもこれで毎日食事をしようと思って」。一汁三菜とごはんのための漆器は仁城義勝の手による貴重なもの。
2.調理してそのまま食卓へ。美しく、機能的でお気に入り
「こちらも大好きな島るり子さんの耐熱器。直火にかけられるので、調理してそのまま卓上へ。島さんにならって焼きリンゴを作ったり、野菜をさっと炒めていただくときにも重宝します。この器で参サム鶏ゲ湯タンを食べることも」
器と対峙し、じっくり時間をかけて選ぶというゆうきさん。長く見るうちに好きな作家も定まってきて、買うのはもっぱら個展が多いとか。「まず『好き』と思う器をじーっと見つめ、それから手で持ってみて、重さや触り心地を確かめます。それを何度も繰り返します。好きだなと手にとってみても、『あれ、ちょっと違う?』と思うことがあり、触ってみるのは大切だなと。そして、必ず使うものを買います。使いこなせそうで、使うシーンが想像できるものを。かわいいけど使わないなって思ったら、潔くあきらめます」
ゆうきさんの人柄がうかがえるような、慎重で堅実な選び方だ。「買った器はすぐに使ってみます。時間のあるときに、まとめておかずの作りおきをしているので、それを大きめの皿に少しずつワンプレートディッシュのように盛りつけたり。いくつか小皿を並べ、盛ってみたり。変わり映えのしないおかずも器で目先を変えて、食事を楽しんでいます」
定期的に食器棚の中の入れ替えもして、手に入れた器は、できるだけまんべんなく使うようにしているそう。
「日々の暮らしに役立つ『使える器』はひととおりそろってきたので、これからは、美しい色のものなど『ときめく器』を増やしていきたいですね」
「器を選ぶときは、持っているものとの相性や使いやすさを考えます。そしてなるべく和洋に使えるものを。ときめくのは飾るだけでも素敵で、経年変化を楽しめる器。使えるのは見てすぐに盛りつけたい料理が思い浮かび、同じく経年変化も楽しめる器です。気づくと渋くてざらっとしていたり、マットな質感の器ばかり選んでいる気がします」
岩﨑牧子さんの「ときめく器」
1.質感と色がお気に入り
ニュアンスのあるグレーやブルーのグラデーションが美しい波多野裕子さんのガラス器。パート・ド・ヴェールという手間のかかる技法でつくられたマットな質感と色が好き。グラスには冷酒を、皿には水菓子やデザートを。大皿も持っていてサラダの緑がとても映えます」
2.テクスチャーが魅力の木工作家
「木の小物や家具も手がける督田昌巳さんの白錆漆の径26㎝の平皿は、新宿のギャラリーで入手。私好みのざらっとした質感で、和洋に合う皿です。ドライフラワーなどを上にポンと置いて飾るだけでも絵になる、とても雰囲気のある一枚です」
岩﨑牧子さんの「使える器」
1.日々の食事に大活躍
日々の食事に大活躍「額賀章夫さんの器は昔から愛用しています。笠間のアトリエにおうかがいしたことも。とにかく料理が映え、使いやすく合わせやすく、盛りつけがしやすい。写真のしのぎの皿以外にもどんぶりや片口なども持っていて、簡単な日々のごはんをおいしそうに見せてくれます」
2.和洋を受け止めるおおらかさ
「料理上手な作家の器は、料理が映え、とても使いやすい。野口悦士さんもそんなひとりです」。大皿には和食はもちろん、パスタを盛ってと大活躍。鹿児島に拠点を置きながらデンマークでも作陶をし、北欧っぽさを感じるモダンさと、プリミティブな強さがある器。
「私にとって使える器とはつい手にとってしまい、いろいろな料理が盛れる汎用性があること。ときめくのは多少緊張して使うことを強いられても、それが心地よく、豊かさを感じられる器です。作家ものも量産品も人の手の跡が感じられるものが好き。主張しすぎず、さりげないけれどしっかりとした技術のもとにつくられた器に惹かれます」
城 素穂さんの「ときめく器」
1.食卓になじむオールドバカラ
きっかけは夫が購入した2客のオールドバカラのワイングラス。「バカラは重々しく華やかなイメージで私たちの食生活には合わないと避けていたのですが、薄づくりでとても品があり、スッとなじみました。以来少しずつ集めています。ほかのガラスにはない透度と硬さを感じ、口当たりだけでなく気持ちまでもキリッとします。ワイングラスではワインや炭酸水を、タンブラーでは夫はウイスキー、私は薬草酒などを飲んでいます」。
2.料理がみずみずしく、映える
個展で出会ったピーター・アイビーのφ25㎝の平皿。「薄いオリーブグリーン色で、気泡が入っていたり、揺らぎがあって柔らかさを感じるガラスです。6枚あり、来客時には冷たい前菜の盛り合わせを必ずこちらで。魚のカルパッチョなども映え、盛った料理をみずみずしく見せてくれるガラス器です」。
城 素穂さんの「使える器」
1.気負いなく使える頼もしさ
「気軽に使え、汎用性があるものをと探し、思い浮かんだのが実家で使っていたロイヤルコペンハーゲンの皿。ケーラーから復刻されたと知り28㎝の『ウワスラ』オーバル皿を6枚入手しました。カレーやパスタ、ワンプレートディッシュにと盛りやすく、楕円なのでほかの器と並べて置きやすい。量産品ですが、職人が一枚ずつ釉薬をかけていて、人の手が見える感じも気に入っています」
2.ステーキにはこの皿を
「富井貴志さんの白漆皿は来客時にメイン皿として使いたいと思いφ27㎝を6枚購入。フォルムは洋皿ですが、和洋問わず使え、グレーっぽい白漆の色はどんな料理も映えます。漆器なのにナイフやフォークも使え、わが家はステーキのときはこの皿と決めています。軽くて、洗うときなど扱いもラクです」
②おしゃれな人の器選びと盛り付け
あの人のとっておきの器を知りたい!と、食卓の様子を自撮りで撮影してもらうことに。センスのいい人は、器選びのセンスも盛りつけもやっぱり素敵。
岡山県で作陶されている人気作家、伊藤環さんの皿は個展で出会いました。マットな質感で絶妙な色合いのオーバル形、28㎝くらいある大皿です。ちょっとした前菜や、どさっと盛るパスタなど、とにかく日々の食卓で大活躍。これに盛るとどんな料理もおいしそうに見え、食卓がかっこよくきまる、不思議なお皿だなと思います。
少し大人になったせいか(笑)、最近は白い器を好むように。こちらは韓国の作家、キムサンインさんの花弁皿です。白磁ですが少しぽってりとして厚みがあり、優しい印象で日常にも使いやすい。フルーツや唐揚げ、サラダなどをたっぷりと。副菜を余白を残して盛ってと盛りつけ方によって雰囲気が変わり、合わせやすいのも魅力です。
銀座和光の個展で購入した赤木明登さんのφ21㎝の漆器皿。落ち着いた黒い漆の色合いは料理がとても映え、スープ、パスタ、カレー、写真のビビンバと盛るものを選ばず重宝しています。軽くて扱いやすいため、ついつい手にとってしまい、気づけば毎日のように使っています。今から大切に使い、育てていきたいなと思っています。
グランピエで買ったφ24㎝のアフガニスタンの器。シンプルなサラダやフルーツをざっくりと、きれいに盛りつけなくてもよく映えます。ふだんはシンプルな料理が多いので、柄のあるものや民芸の器を選ぶことが多いです。ガラスも好きで、好き!と思う直感で器を選んでいますが、不思議と違和感なくまとまり、自分の世界になっています。
江戸後期の伊万里焼、染付白抜き宝づくし文小皿は京都のてっさい堂で購入。古伊万里との出会いは一期一会、この器もひと目惚れでした。「富貴昌皇」の言葉も麗しく、自分の名の「貴」が入っているのもお気に入りの理由。柄、文字、色のすべてのバランスが美しく、存在感があります。お茶時間にお菓子をのせたり、取り皿としても愛用。
銀座の骨董市で出会った金海窯の祭器です。高台のあるシンプルな形と、透明感と貫入のある釉薬の柔らかな肌質が気に入りました。中国茶のときに茶菓子を盛りつけては?と購入しましたが、手羽先の海水焼きや炒飯と、何を盛っても映える懐の深い器です。欠けも味ではありますが、金継ぎをしているので挑戦してみようかなと思っています。
沖縄県読谷村にあるやちむんの里に行ったとき、大嶺實清さんとお茶を飲みながらおしゃべりをさせていただきました。そのときの思い出とともに大切にしているこの大皿は、個展のためにつくられたもの。中心には花模様が描かれています。大嶺さんらしいコバルトブルーの中でも、鮮やかさだけでなく深みや土くささが感じられ、とても気に入っています。
③器ショップ&ギャラリー
今欲しいのは、日々の暮らしが楽しくなり、いつもの料理がおいしそうに見える器。どんな料理を盛ろうか?とワクワクするような一枚に出会えるショップ&ギャラリーを紹介。
AELU GALLERY
今までレストランの一角にあったギャラリーが、昨年同じビルの4Fに移転し、面積も拡大してますます充実。作家の器をレストランの料理とギャラリーの2方向で紹介し、取材時は小野象平の個展開催に合わせ、1Fのレストランでも小野氏の器を使用。こんなふうに作家の器に料理を盛っている姿を、レストランで体験できることもあるそう。
取材時は小野象平の個展を開催。AELUでは常時30人以上の作家を扱う。
12月は吉田直嗣の個展を開催。「ボウル」(φ12×H6㎝)¥4,400
岩田圭介「手つき豆片口」 各¥6,600
どっしりとした碗はごはんや料理が柔らかくおいしく感じられる。すべて山田隆太郎「碗」(φ13〜16×H5〜9㎝)¥5,000〜15,000
内田悠「盆」[左]神代タモ材(φ30×H1.5㎝)¥36,300、[右]神代ニレ材(φ38.5×H3㎝)¥44,000
銀座 日々
上質で美しく、お互いを引き立て合う、シンプルで取り合わせのしやすい器を扱う。年間30回以上の個展を開催し、扱う作家は50〜60人。店内は隅々にまで美意識を感じる落ち着いた内装で季節のしつらいに心和む。器や作家についてたずねれば、気軽にていねいに対応してくれ、長年のファンが多いのもうなずける。銀座へ食事や買い物がてらぜひ訪れては。
[奥から]竹下鹿丸「白磁焼き〆花器」¥11,000、紀平佳丈の木製蓋つき・谷口嘉「ガラス器」¥16,500、谷口嘉「ガラス器」¥11,000、泉泰代「漆片口」¥27,500
季節のしつらいも美しい店内。
光藤佐[右]「黒釉皿 大」¥5,940、「同 中」¥4,620、「同 小」¥3,300、[左]「とびかんな皿」(φ20.5×H3.5㎝)¥7,700
村田眞人「色絵豆皿」¥1,980〜、中野知昭「ひな片口」¥22,000、安西淳「乾漆折敷」(φ33㎝)¥31,900
東京都中央区銀座3の8の15
APA銀座中央ビル3F
☎03・3564・1221
11:00〜18:00(展覧会最終日は17:00終了) ㊡木曜
https://ginza-nichinichi.co.jp/
うつわ楓
今年3月に移転オープンした青山の人気店。盛る料理を選ばず、手持ちの器とも合わせやすい日常で使える器がそろう。店主の島田さんはガラスと陶器など異素材の組み合わせも提案。「外食が減り、私自身も今まであまり目が向かなかった色絵や鮮やかな色の器を手にとるように。そんな器も少しずつ提案していけたら」。年20回開催する個展にも注目だ。
趣のある店内。
河内伯秋[右]「しのぎ鉢七寸」(φ22×H8㎝)¥13,530、[左]「リム皿八寸」(φ25×H5.5㎝)¥15,510、[奥]「しのぎ鉢七寸」(φ22×H7.5㎝)¥13,530
馬目隆広[右]「スクラッチ長方皿 大」¥6,050、「同 中」¥3,300、「フリーカップ」¥2,200、「七寸リム鉢」(φ21×H6㎝)¥5,280
小宮崇のガラス「白の器シリーズ」。
[右]小林慎二「漆飯碗」¥13,200、[左]増田勉「白土灰釉飯碗」¥3,300、[奥]中尾万作「錆金彩平向 小」¥4,400、[下]樋上純「漆皮折敷」¥13,200
雨晴/AMAHARE
「雨の日も晴れの日も心からくつろげるくらし」をコンセプトに白金にオープンして6年。作家ものも職人によるものも隔てなく、卓上に並べてすんなりコーディネートできる器や道具が、バランスよくセレクトされている。地域性を感じる作家の器や、つくり手の特徴が伝わるものを多く提案。話題のレストランなどでも使われる注目作家の器もそろう。
唐津の作家、矢野直人「黒釉皿」(φ16×H0.8㎝)¥4,400、(φ23×H0.8㎝)¥7,700
Shimoo Design「浮様 DAEN」 S¥23,100、M鎹¥33,000
撮影時は手前がfresco&辻野剛の個展、奥が常設。
fresco主催のガラス作家、辻野剛。ワイングラス「ベネチアンクラシック」[右]¥32,450、[左]¥30,800
数々の星つきレストランで使用される釋永岳の器「GAKU」(φ23×H5.5㎝)¥16,500
pejite 青山
益子に本店がある、古家具、古道具、器、革製品などを扱うショップpejiteの青山店。器のうち7〜8割は益子の作家のもので、日々の料理に合わせやすく比較的手ごろな値段のpejiteオリジナルの器も人気。オーナーが見出した、まだあまり他店では扱いのない若い作家の器も必見だ。器だけでなく日本の古家具や古道具などと一緒に見られるのもうれしい。
pejiteオリジナル「フリーカップ」(φ7〜7.5×H8〜10㎝) 各¥2,200、pejiteオリジナル「八角木皿」(φ30×H2.5㎝)¥11,000
二階堂明弘「白焼締めどら鉢」(φ16.5×H6㎝)¥6,600
青山店には小ぶりの古家具も多くそろう。
都心とは思えない、緑が多く静けさを感じる店構え。
yamahon
三重県伊賀市と京都府京都市に実店舗をもち、’14年にオンラインショップをスタート。オーナーの審美眼で選ばれた商品は、小さな生活の道具から名匠の茶碗までと実に幅広く、それらが一度に見られる楽しさがある。作家による1点ものの器以外にプロダクトの器も扱う。
[右]富井貴志「We Are Atoms 白漆彫模様三段丸重箱」(φ10×H17〈三段で〉㎝)¥49,500、[左]大村剛「黒鉢」(φ19.7×H8㎝)¥8,800
季の雲
滋賀県長浜市に実店舗があり、早い時期からオンラインショップもスタートした人気店。店主の目にかなったシンプルモダンな器や、表情豊かで温もりのある器をはじめ古道具、布製品、オブジェを扱う。気軽に飲め、奥の深い中国茶をもっと知ってもらいたいと茶器の品ぞろえも充実。
[奥]小倉広太郎「オーバル皿」(39.5×23.3×H4.5㎝)¥29,700、[手前]塚本友太「リム皿」(φ25.5×H2㎝)¥5,830、「リム皿」(φ17×H1.6㎝)¥4,180
matka
「うつわと生活道具のお店」matkaが扱うのは使い込むほどに味わいが出てくる、育てていく楽しみのある作家の器たち。生活空間に自然と溶け込むようなナチュラルな色合いや静かなたたずまいの器が多い。デザイン事務所とアロマサロンが運営する実店舗が群馬県高崎市にある。
[右]安齋新・厚子「米色青磁菱形鉢」(20×17×H5.8㎝)¥6,050、[左]生形由香「刻紋豆皿」(各φ9×H1.8㎝)各¥2,750
IZUMO[utsuwa]
アラフィー世代の女性店主がセレクトするのは、シンプルで色合いがきれいな、柔らかさのある器。実際に使ってみてよいと思え、料理がおいしく見えて毎日が楽しくなるような器を紹介する。オンラインショップだけでなく、神奈川県横浜市に実店舗があり、定期的に個展も開催する。
[奥]半田濃史「青楔手浅鉢五寸」(φ15×H5.7㎝)¥6,050、[手前]竹村良訓「大皿」(φ29.5×H4.3㎝)¥33,000
<URLはこちら>
④華組&Jマダムのとっておきの器
心ときめくとっておきの器を、華組とJマダムの5人が披露。
味わい深いヴィンテージの器。逸品に出会えたときの喜びは格別!
「ヴィンテージものは一期一会なので、アンティークショップを見かけたら立ち寄るようにしています。上の写真はアラビア社の『ルスカ』。釉薬の関係で器ごとに色みが微妙に異なるのですが、大好きな濃い色のお皿を見つけて迷わず購入。季節のフルーツやシンプルな料理などを盛りつけると、素材のよさを引き立ててくれます。下の写真は、イギリスの古きよき時代を思わせる精緻な絵柄に惹かれ、蚤の市で手に入れました」
器の誕生過程や作家の情熱に関心あり。ほれた器は数知れず!
「上の写真は、約20年前のロシア旅行で出会って以来少しずつ集めてきた『インペリアル・ポーセリン』の蓋つきロシアンティーカップ。下の写真は京焼を代表する美術家、小川宣之さんの豆皿とプレート。ビクトリア王朝時代のアンティークレースをイメージしたプレートは、メキシコ駐在中にインスタグラムでひと目惚れし、希望のサイズでつくっていただいたもの。帰国の際には手荷物にして大事に抱えて日本に持ち帰りました」
作家の息遣いが感じられる味わい深い器にときめく!
「そこにあるだけで目をひく、味わいのある土くさい器が好きです。上の写真は、10年以上前に京都の喫茶店にあった展示会予告カードに載っていた浅鉢。内側の乙女な色合いと外側の渋い茶色のコントラストにときめき、作家さんに連絡して手に入れた思い出深い器です。下の写真の黒いプレートは戸塚佳奈さんの作品。刺繡作品を置いたり、ガトーショコラなどダークなお菓子にもよく似合い、頼れる一枚です」
曲線美がエレガントな芸術性の高い器に心奪われる
「10年ほど前に京都のギャラリーでひと目惚れした、木下和美さんの作品。マットな黒とシルバーのコントラストがモダンで、芸術品のような美しさの大ファン。気づけば100点以上所有しています。作品のエレガントな雰囲気が一貫しているのでコーディネートしやすく、写真のように大小の鉢を重ねて花を生けるなど楽しんでいます」
柔らかな表情の器が好き。作家さんとの交流も楽しい!
「ぽってりとしたシンプルな器が好き。気になる作家さんの展示会に足を運び、お話をうかがいながら器を選ぶのが楽しい。映画に登場した器が忘れられず、作家さんを調べて直接連絡して購入したことも。写真は、石岡信之さんの作品をはじめとする粉引の豆皿。ササッと作るおつまみを、この豆皿たちが引き立ててくれます」
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