モダニズム建築と日本美の融合。知る人ぞ知る前川國男の名建築
大宮公園の豊かな緑に抱かれる埼玉県立歴史と民俗の博物館は、展示はもちろん、建築そのものも訪れる目的にしたい場所。1971年竣工の建物は、日本近代建築を代表する前川國男の設計。前川建築の特徴は、ル・コルビュジエのもとで学んだモダニズム建築を基調にしながら、日本の気候風土に合わせて進化させた点にある。端正な打ち込みタイルの外壁や、光と陰影が美しく交差するエントランスロビーなど、半世紀を経てなお存在感を放ち、日本芸術院賞をはじめ数々の賞を受賞、公共建築百選にも選ばれている。
エントランスロビー。照明や椅子も素敵
斬新な壁色づかいも必見
和洋の技法が溶け合う、文人画家の気品ある筆致
この秋に注目したいのが、10月10日に開催される「文人画家の寄り道―文晁、崋山と同行の士ー」。江戸時代、中国の古典や絵画の影響を受けて関西で確立され、やがて関東にも広がった文人画に光を当てる。谷文晁や渡辺崋山をはじめとする文人画家たちは関東各地を旅し、各地の豪商や寺社、文化人の援助を受けながら交流を重ね、書画を贈りあったという。作品を鑑賞するだけでなく、江戸時代の文化画家たちが旅の途中で結んだ人と人とのつながりまで浮かびあがるのが興味深い。
旧石器時代から現代まで。歴史を横断できる展示
常設展のテーマは「埼玉における人々のくらしと文化」。旧石器時代から現代まで、10の展示室をめぐりながら、考古、歴史、民俗、美術など多彩な資料を通して、埼玉という土地が歩んできた時間をたどることができる。名建築、歴史、美術を一度に楽しめる、大人の秋の小さな文化旅におすすめしたい博物館だ。
埼玉県立歴史と民俗の博物館
埼玉県さいたま市大宮区高鼻町4₋219
☎048₋645ー8171
開館時間9時~16時30分(観覧受付は16時まで)
公式サイト