世界も熱視線を送る韓国エンタメにいったい今、何が起きている?
ジャンルの壁を越えた、相乗効果が生む“おもしろさ”
昨年から続くコロナ禍の生活の中で爆発的に存在感を増していったのがインターネットで楽しめる韓国のカルチャーコンテンツだ。 大きなきっかけのひとつは、やはりドラマ『愛の不時着』。その中心となった主演俳優ヒョンビンは、韓国では長年トップスターだが、そんな“ 大人の男”が王道のロマンスを演じたことで、アラフィー世代の心をもつかんだ。以降、Netflixは、パク・ソジュン主演の『梨泰院クラス』、ソン・ガン主演の『恋するアプリ Love Alam』など、“ マンガからそのまま出てきたような韓国イケメン”たちが主演するドラマで大ヒットを連発し、’20年には前年比6倍以上の視聴者を獲得。さらに今年に入って、韓国発のコンテンツに約530億円を投資すると発表している。 そして、今や世界的な大スターとなったBTS。昨年8月にYouTubeにアップされた「Dynamite」のMVは24時間で再生回数1億回を超え、ここでも「娘と見ているうちにハマってしまった」「圧巻のパフォーマンスに脱帽!」というアラフィーが続出。5月に発売になったばかりの「Butter」のMVもたった2週間で再生回数3億回突破を記録。その勢いはとどまることを知らない。 アカデミー賞においては、’20年に作品賞を受賞した『パラサイト』、今年助演女優賞を獲得した『ミナリ』、文学においてはベストセラー小説と映画化の両方で大きな話題を読んだ『82年生まれ、キム・ジヨン』など、同時多発的に起こったこれらの成果が、ジャンルの壁を壊したことが今の大流行につながっている。ドラマからK-POPへ、K-POPから小説へ、小説から映画へと興味は広がり、その場でまたしても最高におもしろい何かに出会うこととなる。 でもこれはまだ序章かもしれない。ドラマは今や韓国での放送をほぼリアルタイムで見られる作品が増え、音楽ライブは世界同時配信、K-POPアーティストを育てるオーディション番組も海外で次々と行われる予定と、そのうねりはますます大きくなりそうだ。 そう、韓国エンタメはこれからがきっともっとおもしろい。だから、今こそ、日々の楽しみのひとつとして、ぜひ加えてみてほしい!
見はじめると止まらない大胆かつ繊細な演出力、真理をこまやかに映し出す緻密な脚本力、リアリティと吸引パワーが半端ない俳優陣の演技力。秀作多きそんな韓国ドラマにあって、地元韓国でも大ヒットを飛ばす作品に実はアラフィー女優主軸のものが多いのをご存じだろうか。 夫婦の壮絶なる愛憎をねっとりと描き出す『夫婦の世界』キム・ヒエ54歳、韓国セレブの凄まじいお受験物語『SKYキャッスル』キム・ソヒョン47歳、オ・ナラ46歳、エリート対成り上がり弁護士のスリリングな攻防戦を描く『ハイエナ』キム・ヘス50歳。 そのビジュアル美はもちろん、それ以上に注目したいのは、重ねてきた年齢を圧倒的な魅力に昇華させている力量。腹の据わった潔い強さと感情こまやかな繊細さと。その絶妙なバランスのとり方はエイジレスビューティへの大いなるヒントに。ドラマで魅せるメイクやファッションの大人的旬アレンジも、うまい!
《“韓国ドラマは長い”は昔の話?》短いドラマ、増えてます。
韓国ドラマを見たくても1話1時間以上&何十話を見終える体力に自信なし……というエクラ世代も多いのでは。長いものでは50話以上もザラだったかつてと違って、最近は16話がほぼ定番。さらに、新しい試みとして一日の終わりにさらっと見られる1話20〜30分のものも。全10〜12話と短めサイズも続々登場中。
『キングダム』 チュ・ジフン主演のゾンビもの。1話1時間弱で1シーズン6話。一気見も楽々。Netflixオリジナルシリーズ『キングダム』シーズン1~2独占配信中。
『都会の男女の恋愛法』 チ・チャンウク主演のラブロマンスをドキュメンタリー仕立てで構成。1話約30分。Netflixオリジナルシリーズ『都会の男女の恋愛法』独占配信中。
顔よしスタイルよし演技よしの三拍子そろい踏みイケメン俳優がザックザクの韓国ドラマ界。しかも、掘れば掘るほど、“まだいるか!”と新顔が次から次。
そんな中、注目してほしい次世代イケメンがこの4人。
40代夫が突然18歳の姿に戻ってしまう『18アゲイン』にユン・サンヒョンと二人一役で主演したイ・ドヒョン。コンビニ強盗を捕まえたニュース映像でスカウトされ次々と主演をこなすチャン・ドンユン。『偶然見つけたハル』で主演デビューした190cmの演技ドル(演技もできるアイドル)ロウン。23歳の若さで次々とまったく違うキャラを演じ分けるイ・ジェウク。
気づいたら心に入り込んでくるしみじみ系や、妙に忘れられないクセあり系、もちろん正統派ビジュアル系などなど魅力も4人4様。疲れた大人の心にときめきと癒しを運んでくれること間違いなし。
韓国ドラマといえば男女のロマンスが定番だが、最近は男と男の物語にも熱い視線が。『カラーラッシュ』のような正統派BL系も続々登場中だが、大人の心を熱くするのはヒューマンな絆を描いた“バディ”もの。年齢も立場も思惑も異なる未熟なキャラが、互いにぶつかり合いながら信頼&成長していく姿は、ラブもの以上になぜか胸キュン。チェック必須。
『ナビレラーそれでも蝶は舞うー』
鬱屈した青年と人生終盤を迎える老人のバレエを介した絆を描いた感動作。泣けます。Netflixオリジナルシリーズ『ナビレラ-それでも蝶は舞う-』独占配信中。
『ヴィンチェンツォ』
ソン・ジュンギ主演で大ヒット。注目は8話。若手実力派キム・ソンチョルとのBLシーンは抱腹絶倒。Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中。
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『怪物(原題)』
ふたりの“怪物”刑事が怪物のような凶悪犯に立ち向かう。演技派シン・ハギュンと子役出身ヨ・ジングのバディぶりが話題。CS「KNTV」にて8月より第1話からアンコール放送がスタート。
④次世代スターの代表格「チャウヌ」特別インタビュー
チャウヌ
’97年3月30日生まれの満24歳。身長183cm。6人組ボーイズグループASTROのメンバー。’18年『私のIDはカンナム美人』でドラマ初主演。’19年の初時代劇『新米史官ク・ヘリョン』で地上波初主演。
まずは、そのビジュアルをご堪能あれ。透明度高い肌。心射抜くアーモンドな瞳と品のよい唇。韓国には“顔天才”という造語があるのだが、そのきっかけとなった人物こそ、このビジュアルの主、チャウヌさんだ。ASTROのメンバーであり、俳優としても活躍中。あまたいる韓国イケメンの中でも、別格の美貌。しかも、学術優秀&スポーツ万能というパーフェクトぶりだ。その彼のドラマ最新作『女神降臨(原題)』が日本でも話題だ。素顔コンプレックスをもち、メイクで美形に変身するヒロインと男子ふたりの三角関係を描く学園ラブコメで、ウヌさん演じるのは心に傷を抱える文武両道完璧男子、イ・スホ。原作マンガのキャラとのシンクロ率も100%と評判。
「イ・スホはメイクありなしにかかわらずありのままのヒロインを受け入れる素敵な男子です。僕としては、ドラマ後半に病院で父親と相対するシーンを、ぜひ見てほしいですね。スホの鬱屈とした思いを爆発させるのですが、うまく感情を表現できたのではと思います」
俳優としての今後も大いに期待されるところだが、「俳優はむずかしい部分もありますが、努力することで、結果が出るので、とてもやりがいがありますね。アクションもやりたいし、コミカルな演技もしたいし、今後もいろんな役に挑戦したい。そして、皆さんに信頼される役者になりたいです」
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山崎敦子
やまざき あつこ●さすらいのライター。美容を中心に女性誌の記事づくりに携わる。最近はエクラやSPURなどのwebを中心に韓流ドラマの記事も執筆。
大人に響く韓国ドラマにあるのは、本質を見抜いた先にある“優しい目線”。
もう30年ほど前のことになる。当時第一線でドラマを書いていたある脚本家のかたから、師匠だったという向田邦子さんの話を聞いたことがある。とにかく、ものすごく厳しい人だったそうで、書く作品、書く作品、酷評多く、ほめられることはほとんどなかったそうだ。そんな向田さんが繰り返しその脚本家に伝えていたという教えが、ちょっと興味深いのでここで紹介したい。それは「人を見る視線は徹底的に厳しくしなさい。とにかく、とことん人を意地悪く見ること。それが大事。そして、優しさは、書く手に添えなさい」。
また聞きのうえ、30年近く昔の話だから、これが本当の言葉かどうか、今となっては確かめる術もないけれど、以来、その“教え”は私の心から離れることなくずっと居座り続けている。簡単なようでいて、これが実にむずかしく、人も社会も自分自身もついステレオタイプにとらえてしまったり、一面しか見ずに理解したような気でいたり、本質を見抜く姿勢はゆるいのに、“書く手”には無意識に意地悪を添えてしまいがちなのだ。
ところがである。最近の韓国ドラマを見ていると、この“教え”を地でいくような、かなりの傑作に出会うことが多く、ちょっとした驚きを感じている。
社会が抱えるさまざまな問題、一人ひとりの心の奥底に潜む何重にも複雑にからみ合う計り知れない思い。そうした物事の真理をとことん見極める冷静さをベースにしながら、最終的に浮かび上がってくるのは、だから人って捨てたもんじゃないという希望。
軽やかなコメディだったり、愛憎からむサスペンスだったり、しっとり紡がれるヒューマン系だったり、その形態もテイストも作品ごとにまったく違ったりはするのだけれど、鋭い人間考察と優しい目線で映し出されるドラマは、どれもリアルに心に響き、そして明日への活力となってくれるのだ。だから、多くの経験を重ねてきたエクラ世代にこそ、今の韓国ドラマを見てほしい。そう切に思うのだが、どうだろう。
『ムーブ・トゥ・ヘブン:私は遺品整理士です』 チンピラ叔父とピュア甥っ子のバディもの。毎回号泣します! アスペルガー症候群の青年とその後見人となった前科者の叔父。孤独なふたりが遺品整理人を務めながら成長し、絆を深める姿を描く。Netflixオリジナルシリーズ『ムーブ・トゥ・ヘブン:私は遺品整理士です』独占配信中。
『ロースクール』 正義が権力につぶされがちな世界で法に携わる人の姿を追求 名門ロースクールで模擬裁判の授業中に教授が殺されるという事件が発生。事件の真相を追いながら、法と人と正義のあるべき姿を問いかけるヒューマンサスペンス。Netflixオリジナルシリーズ『ロースクール』独占配信中。
『賢い医師生活』 大いに笑いながらじ〜んとさせる医師たちのエピソードが満載 スキルも使命感も半端ないソウル大出身の5人の医師たちのあたりまえの日常をコミカル&ハートウォーミングにつづる傑作。ついに待望のシーズン2も。Netflixオリジナルシリーズ『賢い医師生活』シーズン1〜2独占配信中。
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『SKYキャッスル』 セレブのイヤなヤツ目白押しなのに、見るごとに愛おしくなる 韓国の富裕層が住む高級住宅街「SKYキャッスル」を舞台にすさまじいお受験物語が展開。権力主義や過激化する受験戦争など韓国社会の問題をアイロニカルに映し出しながら、真の幸せを問う話題作。U-NEXTにて配信中。
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『マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~』 毎日しんどいと感じる大人に絶対見てほしい癒しのドラマ IU扮する日陰な人生を歩んできた孤独なヒロインと、イ・ソンギュン演じる今をただ平穏に生きることを願うおじさんの交流を描く癒しのヒューマンドラマ。重苦しさを抱える大人がしみじみと泣ける。U-NEXTにて配信中。
『ストーブリーグ』 弱小プロ野球チームを大改造する裏方たちの情熱に感動 野球の仕事は素人というゼネラルマネージャーが、万年最下位のプロ野球チームに新たに就任。冷徹ながら自らの信念に従って行動するマネージャーとその部下たちが繰り広げる胸熱くなる逆転劇を描く。U-NEXTにて配信中。
この5月に発売されたデジタルシングル「Butter」は昨年の「Dynamite」に続いてビルボードシングルチャート「HOT100」1位を達成する快挙。そのミュージックビデオは、わずか24時間で1億820万回というギネス級の再生回数を記録した。
アジアだけでなく世界中を席巻するBTS。思わず見ほれるアイドルらしいビジュアル美の高さだけでなく、ヒップホップやエレクトロポップ、ロックなど、さまざまなテイストを取り入れたトレンディな音楽性(メンバーも楽曲制作に必ず参加)、一人ひとりの個性をきわだたせながらカル群舞(全員の動きが完璧に一致するシンクロした振り付け)で魅了する華麗かつ力強いダンスパフォーマンス、謙虚でありながら常に高い向上心を維持しつづける優れた人間性。“みんな同じ顔に見えちゃう……”とこれまで敬遠してきたエクラ世代も、BTSきっかけでK-POP沼にハマる人が増殖中だ。
「音楽はもちろんだけど、彼らのがんばる姿に励まされる」という声も多々。娘と一緒にダンスまでコピーして楽しむ人も。スキルが半端ない彼らが与えてくれる夢と癒しのエッセンスは、停滞しがちな大人の日常にこそ効くはず。ぜひ!
BTSって?
’13年にデビューした7人組ボーイズグループ。昨年のデジタルシングル「Dynamite」では、グラミー賞に韓国人歌手として初めてノミネート。5月発売の「Butter」も快進撃を続ける今、最も世界が注目するグループ。6月にベストアルバム『BTS,THE BEST』も発表。
スタイリスト 青木貴子さん 歌(上手)、踊り(キレがいい)、MV(クオリティがスゴい)、すべての完成度の高さ。そして、なによりみんなのチャーミングさ! 個性が絶妙にバラけているのもズルい(笑)。マメに上げているSNSでのメンバー同士のじゃれ合いとか、ホントかわいくて癒されます♡ アジア系の親近感がありながら、決して近くならない距離感=幻滅しにくい=永遠のアイドルとして、いつまでも愛でられそう。
モデル 樹神さん 実は夫(カメラマン)きっかけ。音楽の好きな彼が「こんなグループがいる」と見せてくれたのがBTSのMVで、「MIC Drop」や「FIRE」から見事にハマりました。とにかくダンスがすばらしく、足音までそろっている完璧さ。ものすごい努力と時間をかけて習得しているはずなのに、それを微塵も感じさせないヌケ感もスゴい。今では18歳の娘と一緒にダンス完コピが目標です(笑)。
ヘア& メイクアップアーティスト 千吉良恵子さん すべてにおいて超プロフェッショナルかつ、一人ひとりの個性が輝いていて、みんな努力家でピュア。SNSでは練習風景からプライベートな姿までいろんな表情を見せてくれて、その姿があまりにもかわいくて、入浴中もiPadが手放せないくらいです(笑)。ファン全員が推理ゲームのようにのめり込む壮大なストーリーを秘めた「花様年華」などのMVの仕掛けにも魅了されます。
次世代のBTSを見つけるなら、《サバイバルオーディション番組》をチェックせよ!
韓国のサバイバルオーディション番組が人気だ。K-POPアイドルを目ざす若者たちが、デビューという生き残りをかけて歌に踊りに過酷な課題をクリアすべく繰り広げられる壮絶なる闘い。練習生として長きにわたって血のにじむようなレッスンを積んできたスキルは、デビュー前とは思えないクオリティで、それだけでも見応え十分だが、同じ夢を目ざす仲間たちと互いに高め合い絆を深めながら挑む健気な姿は大人でも感動必至。最近は、日本からの参加者も激増し、その行方も大いに気になるところ。次なる“沼”を見つけるなら、まずはサバイバルオーディション番組をチェック。
かのJ.Y.Park率いるJYPのサバイバル番組で選抜され’18年にデビューしたStray Kids。楽曲づくりもうまい。
BIGBANGやiKONも所属するYGのオーディション番組から誕生したTREASURE。日本人メンバーは4人。
アカデミー賞助演女優賞のユン・ヨジョンと、オファー殺到! の俳優マ・ドンソク
韓国の芸能人といえば「イケメン」「美女」のイメージがあるが、ドラマや映画を見慣れてくると、そのおもしろさを真に支えているのは個性的な脇役俳優たちだとわかってくる。誤解を恐れずいうならば、韓国には、単なるイケメンや美女は山ほどいるので、いくらでも「替え」がきく。だが「この人が出演しているなら絶対にハズさない」と信じられる、「主役級のバイプレイヤー」はそうはいない。今、ハリウッドが熱い視線を送るふたりの俳優──今年の米アカデミー賞で、韓国人初の助演女優賞を『ミナリ』で獲得したユン・ヨジョンと、大ヒット映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』で見せ場をさらったマ・ドンソクは、まさにそんな存在だ。
平凡なお母さんや変なお婆ちゃん、恋する奥さまに高齢売春婦、そしてなぜか「ひとり身のスネた大家さん」の役が妙に多いユン・ヨジョンは、近年はバラエティ『ユン食堂』の大ヒットとオスカー獲得で、まさに第2の全盛期。一方のマ・ドンソクは、いかつい外見そのままにコワモテの刑事や、伝説のヤクザを演じても、その愛嬌で必ず憎めないキャラクターに着地させてしまう。韓国では「マブリー(マ・ドンソク+ラブリー)」という愛称で親しまれる国民的愛され俳優だ。ユーモアさえ交えた英語を完璧に操れるのもふたりの強みだ。
ユン・ヨジョン ’47年生まれ。’66年に活動開始、’72年に結婚し渡米、’85年に離婚し復帰。「韓国のオンマ」のみならず意欲的な役にも挑戦、近年はバラエティ番組も大人気。
『バッカス・レディ』 「死ぬほど上手」な高齢売春婦には、ある秘密が。 『それだけが、僕の世界』 サヴァン症候群の弟のため、兄を捨てた母を好演。 『藁にもすがる獣たち』 嫁をいびりまくる体の不自由な強烈姑が印象的。
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最新作 『ミナリ』 韓国移民一家の苦難と、そこに起こった小さな奇跡を描く。9/3ブルーレイ&DVD発売 。発売・販売元:ギャガ
写真/ Variety/Penske Media/アフロ
マ・ドンソク ’71年生まれ。18歳で渡米、トレーナーを経て、’02年、韓国で活動を開始。スーパーヒーローもの『エターナルズ』(11/5全国公開)が待機中。国籍的にはアメリカ人。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』 妊娠中の妻をゾンビから守る姿に全世界が号泣。『犯罪都市』 強面だけど愛嬌抜群のオモシロ無法刑事を熱演。『悪人伝』 連続殺人鬼を追うヤクザの親分はラストが最高。
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最新作 『白頭山( ペク トゥ サン)大噴火』
北朝鮮・中国国境の白頭山が噴火、半島壊滅の危機を救う極秘ミッションを描くパニックアクション。8/27全国公開。
『ミナリ』のお婆ちゃん役が泣かせるユン・ヨジョンと、『エターナルズ』のアクションが楽しみなマ・ドンソク。まったく違うタイプのふたりの名優に共通するものがあるとすれば、それは「笑いがきっちりとれる」ことだ。韓国映画の主役級スターになるために、美しさ以上に大事なのはコメディができること。スターたちが抜群の働きを見せる3本で、コロナ禍の憂鬱を吹き飛ばしたい!
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『グッバイ・シングル』 落ちめのトップ女優が話題づくりで妊娠を偽装、そこから起こる騒動を描く。主人公のベテラン女優キム・ヘスの豪快さと、親友のスタイリストを演じるマ・ドンソクのかわいさが笑いを誘う。U-NEXTにて配信中。
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『レッスル!』 レスリング元代表選手の父の支えで、五輪を目ざす有望選手の息子。ところが愛する幼なじみが父を好きだと知り……。韓国No.1のコメディ俳優ユ・ヘジンの涙と笑いのスポ根コメディ。U-NEXTにて配信中。
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『エクストリーム・ジョブ』 解散寸前のダメダメ麻薬捜査班は、組織のアジトを監視するため向かいのチキン屋の偽装営業を開始。ところがそっちの商売が大繁盛してしまい……。個性的な負け組たちの一発逆転が痛快! U-NEXTにて配信中。
俳優2大スター、コン・ユとパク・ボゴムの強力タッグが実現した映画『SEOBOK╱ソボク』
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コン・ユとパク・ボゴムW主演作の映画『SEOBOK/ソボク』がいよいよ公開。イ・ヨンジュ監督に話を聞いた。
「コン・ユさんは、役が小さくてもいい作品を選ぶ、見る目のある人。今回も役づくりで減量して入った現場でさらに食事制限していて、頭が下がりました。ボゴムさんは本来の明るさや笑顔を封印、まったく別の顔を見せてくれました」
映画は、ボゴム演じる不老不死のカギを握るクローン「ソボク」をめぐるスリリングなサスペンス・アクション。監督の前作であるラブストーリー『建築学概論』とはガラリと異なる作風だ。
「企画の段階で、私自身が家族を闘病の末に亡くしました。病を抱えるギホン(コン・ユ)の死への恐怖はそのまま私の体験だし、“死ぬと思うと怖い、永遠に生きるのも怖い。何を信じれば怖くなくなるのか”というセリフに作品は凝縮しています。映画で最も大事なのは“伝えたいこと”であり、それに適したジャンルを選ぶだけ。そこにこだわりはありません」
常に「この映画を作る価値を」と自問し「作家になりたいという思いが強い」という監督。韓国映画人のそうしたあり方が、韓国映画の強さかもしれない。
「限られた優秀な人が世界で評価されているだけ。アメリカ進出した人を応援していますが、それが目標である必要はない。私自身も考えていません。むしろこの流れの中で友人から“君もポン監督に続け!”といわれるのがプレッシャーだし、すごくストレスなんですよね(笑)」
不老不死のカギを握る人類初のクローン「ソボク」。死の病を抱える元情報局員のギホンは、一縷の望みを抱きながら移送の護衛を請け負うが、ソボクが闇の勢力の襲撃を受け……。危険な旅を通じて心を通わせてゆくふたりをコン・ユ、パク・ボゴムが演じる。神の領域に近づく人間の欲望の悲しさと恐ろしさを思い知らされるSFサスペンス。7/16全国公開
イ・ヨンジュ
’70年生まれ。建築家として10年のキャリアを積んだのちに、’09年『不信地獄』で監督デビュー。’12年の『建築学概論』は“初恋シンドローム”を巻き起こす大ヒット作に。本作は3作目の監督作。
ドラマでブレイクの俳優たちも注目の最新作を現在撮影中!
現在、人気の俳優たちが新作を続々撮影中だ。『梨泰院クラス』の大ヒットで世界的に大ブレイクしたパク・ソジュンの新作は、ウェブトゥーン原作の『コンクリートユートピア』。大地震で廃墟と化したソウルで、生き残った人々が集まったアパートを舞台に描くディストピアもの。
今年1月の除隊以降、スクリーン復帰が待たれていたイ・ジョンソクの新作は、都心を舞台にしたテロリストと戦う海軍大尉を演じる『デシベル』。「兵役明け→アクション映画で復帰」のパターンで、鍛えた体にまとう軍服姿にも期待大。
『ヴィンチェンツォ』の大ヒットで飛ぶ鳥落とす勢いのソン・ジュンギの新作は、コロンビアに移住した韓国人青年を描く『ボゴダ』。コロナ禍で延期されていた現地での撮影も再開されたもよう。どの作品も日本公開が楽しみ!
韓国文学(K文学)の仕掛け人であるキム・スンボクさん。そんな彼女に、次に話題になりそうなジャンルや、注目の作品など「韓国文学の最前線」を教えてもらった。
キム・スンボク
ソウル芸術大学卒業後、日本に留学。’07年、出版社クオンを設立、エージェントとして多くの韓国書籍を日本に紹介。ブックカフェ『チェッコリ』店主。
K文学の仕掛け人であるキム・スンボクさん。自身が営む出版社クオンの「新しい韓国の文学」シリーズは、その装丁の美しさも魅力だ。
「日本で出版される韓国関連本は、ステレオタイプな韓国のイメージのデザインが多くて。だからこのシリーズをつくるときは装丁にもすごくこだわりました。今の韓国の本は“インスタ映え”が大事なので、ちょっと先取りでしたね」
『82年生まれ、キム・ジヨン』などのフェミニズム系、日韓で大ヒットした『私は私のままで生きることにした』をはじめとするマインドフルネス系が日本では話題だが、それに続きそうなジャンルは?と聞けば「自分探しエッセー」「SF文学」「SNS発の詩集」などジャンルもさまざまだ。
「日本は文学の歴史が長く熟成していますが、韓国文学は日本文学より歴史が浅く、その若さがさまざまな作品を生み出すエネルギーやサイクルの速さになっているのかなと思います」
「新しい韓国の文学」シリーズでまずは読みたい、ブッカー国際賞作家ハン・ガン
2000年以降に登場した韓国文学の中から、まだ日本で知られていない作家のよりすぐりの作品を紹介するシリーズは、韓国文学のアンテナショップのような存在。最初に刊行した作品は、出版後にアジア初のブッカー国際賞を受賞することとなった、’70年生まれの女性作家ハン・ガンの小説。美しい文体で人間の痛切な心の傷に迫る受賞作『菜食主義者』をはじめ、本好きの女性にぜひ知ってもらいたい韓国文学を代表する著者だ。その美しい装丁も話題に。
右から『少年が来る』(井手俊作訳)¥2,750、『菜食主義者』(きむ ふな訳)¥2,420、『そっと静かに』(古川綾子訳)¥2,420。すべてクオン。
韓国語の勉強にも一役買うアイテムに! 「韓国文学ショートショートきむ ふなセレクション」
K-POPや韓国ドラマにハマり、韓国語を習いはじめる人も多いはず。そんな人に向けて作られたのが、日本語翻訳と原語の韓国語の両方で読むことができるこちら。巻末のQRコードでアクセスすれば、クオンのユーチューブチャンネルで作品の韓国語朗読も聞くことができるという充実ぶり。クオンが自信をもっておすすめする実力派作家による短編小説なので、日本語で読むだけでも十分に満足のいく作品ばかり。カラフルな表紙に箔押しのロゴもかわいい。
右から『私の生のアリバイ』(コン・ソノク著、カン・バンファ訳)、『ダニー』(ユン・イヒョン著、佐藤美雪訳)、『夜よ、ひらけ』(チョン・ミギョン著、きむ ふな訳)、『サパにて』(パン・ヒョンソク著、きむ ふな訳)。各¥1,320。すべてクオン。
《ヒットの新法則?》韓国ドラマの劇中に登場して話題になる本が続々!
街角や地下鉄のホームなどにしたためられるなど、韓国では日常の中に溶け込んでいる詩。ドラマのセリフに詩や詩集が使われることも多く、そこから火がついた作品も。例えばパク・ソジュン主演『キム秘書はいったい、なぜ?』では、インスタグラムから書籍化された『すべての瞬間が君だった』がキム秘書の愛読書として登場。本の中の一節がふたりの恋を代弁する小道具として使われ大ヒットした。パク・ボゴム主演の『ボーイフレンド』で同様に売り上げを伸ばした『花を見るように君を見る』は、韓国の国民的詩人ナ・テジュの作品。同詩人とともに写真詩集を出した俳優イ・ジョンソク、BTSのRM、BLACKPINKのジスなどが愛読していることでも話題に。
『花を見るように君を見る』 ナ・テジュ 黒河星子/訳 かんき出版 ¥1,650 詩、エッセー、童話などを手がける76歳の詩人ナ・テジュの詩集で、SNSで多く引用された作品をまとめた集大成。
『すべての瞬間が君だった きらきら輝いていた僕たちの時間』 ハ・テワン 呉永雅/訳 マガジンハウス ¥1,540 SNSを中心に支持を受けデビューした作家ハ・テワンのエッセー。美しいイラストと言葉で、韓国で爆発的な大ヒットを記録。
《日本の芥川賞のような存在。》「李箱文学賞」受賞作家の作品ならはずれなし
20世紀初頭のソウルに生まれた李箱(イサン)は、難解で前衛的な作風で知られる韓国の天才作家。その功績をたたえる李箱文学賞は、日本の芥川賞に相当する韓国で最も権威のある文学賞で、大手出版社・文学思想社の主催により、毎年1月に受賞作が発表される。ブッカー国際賞作家ハン・ガン、ウィットとユーモアに富んだ感覚派パク・ミンギュ、著作が映画化されているキム・エラン(ソン・ヘギョ主演『世界で一番いとしい君へ』原作の著者)、コン・ジヨン(コン・ユ主演『トガニ 幼き瞳の告発』原作の著者)など、その受賞者の顔ぶれはK文学初心者の作品選びに役立ちそう。
『カステラ』 パク・ミンギュ ヒョン・ジェフン、斎藤真理子/訳 クレイン ¥1,870 洒脱なユーモアで、就職難や貧困など社会問題の中にある若者を描く著者初の短編集。李箱文学賞受賞作「朝の門」を含む11作品を収録。
『外は夏』 キム・エラン 古川綾子/訳 亜紀書房 ¥1,870 今を生きる若者たちの心象風景を描写するみずみずしい感性が魅力的。李箱文学賞受賞作「沈黙の未来」を含む7本の短編を収録。
『小さな心の同好会』 ユン・イヒョン 古川綾子/訳 亜紀書房 ¥1,760 ’19年に「彼らの一番めと二番めの猫」で李箱文学賞受賞。弱者たちの連帯を、SFやファンタジーの要素を織り込みながら軽快に描く。
取材の途中で作家ピョン・ヘヨンさんが切り出したのは、’14年に自身が受賞した李箱文学賞にまつわる問題だ。
「昨年の候補者たちが、受賞拒否というかたちで、主催する出版社が作家に強いる不公正な契約について問題提起したんです。これをきっかけに、作家たちは“不公正には断固として声を上げるべきだ”という認識に変わっていきましたね」
受賞作「モンスーン」は、ある夫婦に漂う不穏な空気の正体を、薄皮をはぐように描くサスペンス。
「人間の生き方や世界の“ゆがみ”の原因は正確には把握できないし、いつのまにか展開し、解決していることも。世の営みは不可解なものです。韓国文学の強みは、例えば『82年生まれ、キム・ジヨン』のように、個人の生き方を通じて社会的な問題を描くこと。『モンスーン』の中には、セウォル号事件以降に多く描かれた“子供を失った親”や、システムの中で使い捨てにされる個人について描いた作品などがあります」
世界的に評価が高まる韓国エンタメにも、大きな刺激を受ける。
「映画監督ではパク・チャヌク、ポン・ジュノ、ヨン・サンホが好き。ドラマではキム・スジン脚本の『怪物』(’21年百想芸術大賞受賞作)が印象的でした。連続殺人ものの形をとりながら、社会の弊害を突き詰めて追った作品です」
子供と親のケアや仕事の責任は重く、でも気遣ってはもらえない……、自身と同じエクラ世代を「最も孤独な時期」と語るピョンさん。
「だからこそ自分と遊ぶ方法を見つけ、かわいらしく活発な老後に備えたい。ドラマでも文学でも音楽でも、楽しみのリストをどんどん増やしていってほしいです」
『モンスーン』 姜信子/訳 白水社 ¥2,200 小さく軋む日常が浮き彫りにする、夫婦の「過去」とは。李箱文学賞受賞の表題作を含む短編集は、日常をジワジワと蝕む不気味さを描くサスペンスが満載。
『ホール』 カン・バンファ/訳 書肆侃侃房 ¥1,760 交通事故で妻を失い、全身不随に陥った男と、その介護をしながら精神に異常を来してゆく義母を描くサスペンス。
『アオイガーデン』 きむ ふな/訳 クオン ¥2,750 狭いマンホールで身を隠して暮らす子供たち(「マンホール」)など、美しくもグロテスクな世界を描く8編を収録した短編集。
ピョン・へヨン
’72年ソウル生まれ。大学で文学を学び、’00年にデビュー。’14年に「モンスーン」で李箱文学賞を受賞、’17年に『ホール』でアメリカのシャーリイ・ジャクスン賞長編部門を、韓国の小説家で初受賞。
エクラの美容記事でもおなじみのライター・山崎敦子がお届けする韓流ドラマナビ。韓流ドラマブームを牽引している「愛の不時着」や「梨泰院クラス」のほかにも、緊迫感溢れるサスペンスや社会現象まで巻き起こした話題作など幅広く人気作品をご紹介。各ドラマの見どころや人気の秘密に迫ります!
確かな演技力と端正なルックス、心を溶かすような笑顔。さらにはピュアで謙虚な人柄まで兼ね備えた完璧な俳優として絶大な人気を誇るパク・ボゴムさんにインタビュー。ソロ歌手デビューも果たし、日々多忙を極めるパクさんの貴重なプライベートの過ごし方や、今年27歳を迎える上で30歳までにやっておきたいことなどをお聞きしました。
明日(7月1日)発売のエクラ8月号では、韓国の6人組ボーイズグループASTROのメンバーで、俳優としても大活躍中のチャウヌさんのインタビューを掲載!ここでは、一足早く、エクラ読者のためだけに、ご本人からのメッセージをお届けします!
アラフィー世代が見るべき韓流ドラマは何を基準に選ぶべき? 好みの俳優を見つけて主演ドラマから入れば、間違いなく胸キュン。イケメンな上に演技力も半端ない、5人の俳優を早速チェック!
2020年のアカデミー賞では韓国映画『パラサイト』が作品賞を受賞し、ますます注目を集めている韓国エンタメ。その実力はドラマもしかり!今回は、おうち時間で見たい「韓国ドラマ」をご紹介。韓流ドラマがアラフィーにもたらす魅力を、韓流好きスタッフがナビゲートします。