【50代の悩み】老眼だけじゃない! 加齢で始まる目のトラブルをチェック <1>

老眼だけじゃなく、加齢とともに発症する目のトラブルはたくさん存在。eclat12月号では、将来病気を発症する恐れのある、疑わしい自覚症状をご紹介。正しい知識を身につけて、早め早めの対処を!

【老眼だけじゃない。こんな自覚症状があったら要注意!】

眼精疲労がひどく、目がいつもショボショボしている。
→ドライアイかも?

最近、おでこにしわができるようになった気がする。
→眼瞼下垂かも?

人が突然現れたように感じることが増えた。
→緑内障かも?

教えてくれた先生がたは…

東京慈恵会医科大学 眼科学講座教授 中野 匡先生
医学博士。日本眼科学会認定眼科専門医。日本緑内障学会評議員。日本視野学会理事・評議員。専門分野は緑内障。緑内障の認知度を高めるための講演やセミナーなども行い、早期発見・早期治療の重要性を訴求。

村井形成外科クリニック院長 村井繁廣先生
医学博士。日本形成外科学会専門医。日本形成外科学会皮膚腫瘍外科指導専門医。眼瞼下垂や火傷や外傷の治療などの形成外科をはじめ、美容外科・美容皮膚科・皮膚科までの治療にあたる。https://www.muraikeisei.com

慶応義塾大学医学部眼科学教室 特任准教授 小島隆司先生
名古屋アイクリニック角膜・眼表面担当医、医学博士。日本眼科学会認定眼科専門医、指導医。白内障、レーシック、角膜移植術など最先端の手術をマルチにこなす。著書は『目の悩み・疑問がスッキリ解決する500のQ&A』(幻冬舎)。

ドライアイ

IT時代の現代病?とにかくつらい目の乾き。

【50代の悩み】老眼だけじゃない! 加齢の画像_1

【どうして起きる?】
◦加齢により涙の分泌量が低下
◦ホルモンバランスの変化で、涙の油分が減少
◦長時間のパソコン、スマホ操作
◦コンタクトレンズの装用

【乾きすぎると角膜に傷がつき、視力低下や眼精疲労の原因に】
目を潤す作用のある分泌液をひとくくりに「涙」と呼ぶが、役割の異なる3つの成分からなっている。角膜に近いのが粘膜状のムチン層で、角膜に潤いを与えるとともに、まばたき時の潤滑作用も担う。水層は潤いの基礎となる部分。その蒸発を抑えるのが、表面を覆う油層だ。三位一体となって機能しており、いずれが欠けても目に不快感を覚える。

ドライアイ症状にはセルフケアも有効!

<正しい目薬のさし方で、より長時間、潤いをキープ> 1. 目薬をさすときは、眼球の下にポケットをつくるように下まぶたを引っぱり、そこに滴を落とすのが効果的。
<正しい目薬のさし方で、より長時間、潤いをキープ> 2. さしたあとは、流れ出ないよう、目頭(=涙点のあるところ)を軽く押さえて行き渡らせる。
<涙の油分が少ない人はマイボーム腺の流れをよくして> 1. 上下のまぶたを温めて、油分の通りをよくする。蒸しタオルは最初熱すぎてすぐ冷めるため、市販の温熱パッドが有効。
<涙の油分が少ない人はマイボーム腺の流れをよくして> 2. 上まぶたの目頭、中央、目じりと3回に分けて、軽く指でなで下ろすようにしてマイボーム腺をマッサージ。下まぶたはむずかしいので眼科医の指導を受けて。

ドライアイと関係あり? こんな症状も気になるんですけど…

【症状1】
目のまわりまでかゆくなってしまうんですが!

ドライアイはあくまで角膜が乾燥する症状なので、目のまわりにおよぶかゆみはアレルギー併発の可能性が高い。ドライアイ用の点眼をしても解消しない場合は、花粉やハウスダストなどのアレルギー症状を疑って、眼科医に相談を。

【症状2】
涙がたくさん出て、常に涙目状態です

年とともに涙もろくなって……、なんて話とは別に、涙が止まらないという人もいる。が、目に違和感のないまま涙の量だけが極端に増えるということはないので、考えられる原因は、涙の排出不全。涙点の詰まりや鼻涙管の狭窄(きょうさく)の可能性あり。

どんな治療法がある?

・進化した点眼薬で対処
→涙の成分に近いだけでなく、眼球から水分を補う機能をもつ点眼薬が開発されている。

・重症の場合は、涙点にシリコンプラグを挿入
→涙の量を増やすことはできないので、排出量を抑えるために涙点にプラグを入れる治療も。極小のシリコン製で違和感はない。

眼瞼下垂(がんけんかすい)

視野が狭くなるだけでなく、頭痛、肩こりの原因にも。

【50代の悩み】老眼だけじゃない! 加齢の画像_2

【どうして起きる?】
◦加齢によるまぶたの皮膚のたるみ
◦加齢による挙筋(きょきん)腱膜のゆるみ
◦目をこするくせがある
◦コンタクトレンズの長期装用

【重度下垂の原因は、まぶたの内側の腱膜のたるみ】
加齢によって、外皮だけでなく、"抗重力" の役目を果たす体の内側の筋肉や腱もたるむのは、まぶたも同じ。重い眼瞼下垂は、まぶたをコントロールする眼瞼挙筋につながる挙筋腱膜が張りを失って、まぶたを支えられなくなることで生じる。「日本人は欧米人に比べてまぶたの脂肪が多く、ゆるみが出やすい傾向にあります」。

コンタクトレンズユーザーは、目を強くこすらない!

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目を強くこする行為は、眼瞼下垂を進行させるクセモノ。しかも、コンタクトレンズを入れたままだと、その影響はもっと大きくなるのだそう。コンタクトレンズユーザーでアレルギーもちの人は、注意して。

顔の表情にかかわる、加齢によるまぶたの下がり

上まぶたを持ち上げる機能に障害が起こり、まぶたが下がって目を開けにくくなるのが眼瞼下垂。

村井先生「この病気を疑ったら眼科か形成外科を受診しましょう。瞳孔の中心から上まぶたまでの距離が3㎜以下なら眼瞼下垂と診断します。まわりが見えづらくなるだけでなく、眉毛を上げて見ようとするため額にしわが増えたり、視野を広げようとして頭の筋肉が緊張し、頭痛や肩こりが生じ、ひどくなると自律神経失調症になる場合もあります」


加齢で起こる眼瞼下垂には、主に2つの種類があるという。

村井先生「ひとつはまぶたの皮膚がゆるんで起こるタイプ。もうひとつが、まぶたを持ち上げる挙筋腱膜がゆるんだり、断裂したりして起こるタイプ。2つが複合的に起こる例もあります」


挙筋腱膜のゆるみには、加齢以外の原因も。

村井先生「コンタクトレンズをしている人や、花粉症の人などはまぶたにかゆみが出やすくこすりがちですが、そうすると挙筋腱膜がゆるみ、腱膜性の眼瞼下垂になりやすくなります」


ただし、手術で治療が可能。

村井先生「形成外科では皮膚弛緩性の眼瞼下垂ならまぶたを切開し、余った皮膚を切除する手術を、腱膜性なら腱膜のゆるみを解消する挙筋腱膜前転法という手術を行うのが一般的です」


一方、眼科では、まぶたの裏の粘膜側からゆるんだ筋肉を縫って縮める手術を行うことが多い。

村井先生「眼瞼下垂手術は、見た目にも影響を与えるので、症例数が多い信頼できる医療機関を選ぶことが大切。手術は1時間〜1時間半ほどかかり、術後は内出血しやすく1週間ほどダウンタイムがありますが、視界が広がり、肩こりや頭痛が解消する人も多いので早めの受診を」


どんな治療法がある?

・保険適用の手術が一般的
→上で紹介している挙筋腱膜前転法の手術のように、非常に皮膚が薄く組織が細かい部分に執刀するため、誰でもできる手術ではなく、熟練が必要。目安としては手術回数の多い病院、形成外科学会専門医のいるクリニックなどで相談を。

緑内障

ひそかに進行する! 日本の失明原因第1位の怖い病気。

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【どうして起きる?】
房水の排出口が詰まることで起きる眼圧上昇などの理由で、視神経が損傷する。

知らない間に視野が欠けてくる状態

緑内障は視神経に異常が起こり、視野がしだいに欠けていく怖い病気。日本人の失明原因の第1位を占め、統計的にも、加齢によって発症者が増加することが明らかとなっている。40歳以上の20人にひとりは緑内障を発症しているという調査データもあるほど。

中野先生「緑内障の発症に深くかかわるのが、眼圧です。眼圧は眼球内で房水という液体が循環することで一定のバランスに保れていますが、なんらかの理由で房水の排出口( 隅角(ぐうかく))が狭くなると眼圧が上昇し、網膜から脳へ視覚情報を伝える視神経乳頭が圧迫されて障害が起き、視野の一部が欠けてしまうのです」


一般的に多いのは、何年もかかってゆっくり進行する慢性型の緑内障。

中野先生「これには2種類あり、ひとつが原発開放隅角緑内障(狭義)で、房水の排水路が詰まり、眼圧が上がって起こるもの。ただ、日本人に多いのはもうひとつの正常眼圧緑内障で、眼圧は正常範囲内なのに、視神経が損傷を受けて発症します。慢性型は、加齢や近視などの要因があったり、家族に緑内障を患った人がいる場合にかかりやすいとされています」


一方、眼圧が急激に上がる急性型の緑内症もあるという。

中野先生「急性型は、隅角がふさがって急激に眼圧が上がり、目の痛みや頭痛や吐き気が生じ、数日内に失明することも。中年以降の女性や遠視の人がなりやすい傾向にあります。飲み薬の種類によっても隅角が狭くなることがあるので注意が必要です」


緑内障治療は、眼圧を下げる点眼薬が中心で、それでも抑えられない場合は、房水の通りをよくするためのレーザー治療や手術をする場合も。現在の医療技術では一度欠けた視野を取り戻すことはできないが、治療で進行を抑えることは可能だ。だが、「急性型」でなければひと安心、というわけではない。

中野先生「緑内障が厄介なのは、片目の視野が欠けていてももう一方の目が補うために自覚しにくく、深刻化しやすい点にあります。早期発見・早期治療が非常に重要なので、年1回は眼科検診を受けるようにしてください」

房水の流れと眼圧が保たれる仕組み

眼圧は、毛様体という部分でつくられる房水が角膜と虹彩の間の隅角を経てシュレム管という排水路から出ていくことで一定に保たれている。房水の流れが悪いと眼圧が上がり、視神経を傷つけることも。


どんな治療法がある?

・点眼薬で進行を遅らせる
→残念ながら、一度傷ついた視神経を治すなどして、緑内障の症状を回復させる治療法は今のところ見つかっていない。房水の産生を抑えたり、房水の排出を促す点眼薬の処方が一般的。点眼薬は自己判断で中断せず、治療を続けることが重要。

・レーザー治療や手術治療
→緑内障のレーザー治療や手術には、房水の排出経路を確保する方法と、房水の産生量を減らす方法の2種類がある。日帰りでできるものと、入院が必要なものがある。いずれも保険適用。

【50代の悩み】老眼だけじゃない! 加齢で始まる目のトラブルをチェック <2>
【50代のお悩み】閉経前後に気をつけたい10のこと
取材・文/和田美穂 イラスト/尾代ゆうこ 川野郁代

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