深イイ大人の美食旅へ。おすすめの旅先はグルメ豊富な新潟。米、ワイン、鮨…今一番訪れたいおいしい街。
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おいしさと楽しさが増え続ける新潟
ガストロノミーツーリズムが隆盛を極める昨今、魅惑的なレストランが全国に続々と誕生している。美食のためなら労を厭(いと)わず北から南まで、時に海外にも足をのばすフーディたちが今、熱い視線を注ぐのが、新潟だ。
北は山形、西は富山県境までと広く、豊かな山海の食材はクオリティもとびきりで、腕利きの料理人たちがそれぞれの方法で“新潟ならではの味”を楽しませてくれる。今や「全国トップレベル」との呼び声も高い鮨から和食、イノベーティブまでジャンルも多彩。
土地ごとの美しい景色も見飽きることがない。北前船時代の名残を感じる古い街並みや、20年以上続く国際アートトリエンナーレ(『大地の芸術祭』)が築いた山間部のアート作品など、新旧の文化があるのも魅力だ。近年、ワイン産地の成熟も目覚ましい! おいしさと楽しさの選択肢が増え続ける新潟。目ざすべき理由はいくつもある。
文・佐々木ケイ
このためだけに行く価値のある3軒
mûrir(ミュリール)
農園レストラン、薪火料理、そして鮨。新潟ガストロノミーの今を知ることができる、3年以内にオープンした最注目店をご紹介。
宿泊する場合は清流のほとりにたたずむ隠れ宿、笹倉温泉がおすすめ
お米が主役、農園ガストロノミー
北に日本海、南に活火山の焼山を望む稀有(けう)なロケーション。周辺には豊かな田園風景が広がり、花々の彩りも美しく、楽園の趣(おもむき)である。県最西部・糸魚川市に’23年に開業した『ミュリール』は、渡辺光実シェフ、藍さん夫妻が、祖父の代からの農業を未来につなぐべく構えたレストランだ。
お隣、能生出身の渡辺シェフは、東京の一流ホテルで修業時代、フランス人料理人、ミシェル・ブラスの存在を知りUターンを決意した。「農家の料理店につきまとう“素朴”というイメージを払拭し、ガストロノミーを、農園から」と意気込む。“越の丸茄子”に真鯛、ジビエと糸魚川産の食材を用い、土地の営みや文化、四季の情景を皿に載せる。薪火に発酵と、手法はプリミティブに。表現はフレンチを超えて。
メインは自社栽培のコシヒカリで炊くごはん。焼山の雪どけ水が勢いよく注ぐ田んぼは、温泉の“源泉かけ流し”状態で「コシヒカリのグラン・クリュ」と胸を張る。土地の自然と、農と、人の技が生む“ここだけの味”は、新幹線で東京から約2時間でたどりつける。
「田園」と題されたメニュー。メインは自社農園「清耕園ファーム」で育てる糸魚川産コシヒカリ「ひすいの雫」だ。まずは炊きたてをそのまま
薪火で焼いた鹿肉。枝豆で作る自家製豆板醤の3年熟成ものを添えて
薪火の香りが店内に漂う
焼いたなすの水分を絞り、サザエのだしを含ませたひと皿。地元ブランド「越の丸茄子」で、海と大地をひと皿に
自家製味噌の焼きおにぎり。上杉謙信の軍勢が冷えたおにぎりを剣先に刺して食べたことに由来する郷土料理「けんさい飯」にちなんだ
「信頼関係が大切」と、空間デザインは糸魚川市に拠点を置く設計士に依頼した
扉を開けると、厨房に面したカウンターが目に入る
直径約10㎝、「なすの大トロ」と呼ばれる「越の丸茄子」
カウンターから見える、田園風景を切り取る窓
新潟ガストロノミーの次代を担う渡辺シェフ
糸魚川市は翡翠の日本一の産地で、5億2千万年前に生成された翡翠は、世界的に最古クラス。「フォッサマグナミュージアム」は必見
Data
新潟県糸魚川市東海79の1
☎非公開
昼(土・日曜、祝日のみ)12:00 ~、夜18:00 〜(ともに一斉スタート、2日前までの要予約)
定休日:火〜木曜 https://murirniigata.com/
宇呀(うが)
山の環境保全、林業のサステナビリティのため、間伐材を活用できる薪火料理を選んだ
新潟の食を未来へつなぐ薪火料理
長岡市出身の諏佐尚紀シェフが’25年に開業し、早くも話題店に名を連ねる薪火料理『宇呀』。新潟市の中心、本町通りの脇道を進んだ細い路地のアプローチ、築140年の古民家のたたずまいが、ここでの時間の導入だ。メニューは数編の詩のようにつづられ、10皿のコースを通じ、新潟全域の食材を味わいながら、過去から未来を旅するような食体験が待つ。
アユのひと皿は、澄んだ川の情景を思い出させる。薪火で焼かれたジビエは、山の植物の香りと火の気配をまとい、思考は狩猟の時代に誘われる。味わいや香りを重ねながら、理にかなった取り合わせと繊細な仕事で、主役となる食材の味わいが増幅する。なんと、陶器の器も自作。地元の土を用いた究極のテロワールを表現だ。
稚鮎。三面川を躍動するイメージで、苔に見立てた春菊のペーストとともに。料理はすべて¥16,500のコースより(内容は時季替わり)
諏佐シェフ。滋賀「SOWER」(現在は閉店)で、デンマーク「noma」の系譜に連なるシェフに師事。ほか全国のレストランで研鑽を積んだ
狩りで肉を得て、火を囲み食した太古の祝宴を表現した「山の獣 畑の実 炎の宴」。ウコンやネズの実など、山が香る
新潟市「すずまさ農園」のトウモロコシ、「味来」のジューシーな甘味と鮮烈な香りをスープに。あおさの香りを添えて
Data
新潟県新潟市中央区本町通9番町1326
☎非公開
昼(土・日曜のみ)12:00~、夜18:30〜(ともに一斉スタート)
不定休
https://www.instagram.com/restaurant_uga/
かつては刃物屋、包丁屋として営まれていた「古山正房商店」という大正建築の古民家長屋をリノベーションして、レストランへと生まれ変わった
登喜和鮨(ときわずし)
スペシャリテの「南蛮エビ」(新潟産の甘エビ)。酢めしにはエビの頭のだしを煮詰めた味噌が潜む。殻の粉末を添えて。すべて夜¥28,600のコースより
旬の地魚と創意が生む“新潟前”
ローカル鮨の勢力図に異変あり!?福岡や石川・金沢などを食べつくしたフーディたちが、次なる“聖地”と目ざすのが、実力店が割拠する新潟。その流れを牽引するのが『登喜和鮨』だ。
新発田市で’54年に創業した店の名を全国区にしたのは、三代目の小林宏輔さん。米酢や赤酢に加え、柿酢やトマトエキスを用い、数種の酢めしを使い分けるスタイルは斬新だ。一方、魚の仕事は、塩締めに酢締め、ヅケ、おぼろと、江戸前を貫く。のどぐろや南蛮エビなど地魚に焦点を絞り「強みは浜の近さ、旬の短さ」と、季節の移ろいを魚で表現する鮨は“新潟前”と称される。’24年には、新潟市内に新店を開業。予約のハードルを越えて、たどりつきたい一軒だ。
土・日曜は新発田本店、そのほかは新潟店に立つ小林さん。海外イベントにも引っぱりだこ
塩水締めでうま味を凝縮させたアカイカ。香りづけのすだちは、果皮ではなく、果汁を酢めしに混ぜて
カウンター10席。東京の鮨店にはないゆったりとした店内。ウェイティングスペースを備えたスタイルも新しい
風情のある入口
Data
新潟県新潟市中央区本町通り7番町1151
☎︎0254・22・3358
昼(木・金曜のみ)12:00~(祝日の場合は11:30~)、夜18:00〜(ともに一斉スタート) 不定休
https://tokiwasushi.top/
ご主人は大のワイン好き。充実のワイン&日本酒リストも楽しみのひとつ
新潟テロワールを味わう宿
上質な地産食材で紡がれる美食はもちろん、新鮮な空気や景色などから全身でテロワールを感じる良宿へ。
赤倉観光ホテル
100万坪の広大な敷地が妙高戸隠連山国立公園に含まれている
ロビー。暖炉と石壁のしつらえ、周辺の景観を描いた絵画が美しい一角
名建築と美食のクラシックホテル
妙高山の中腹に広がる高原地帯で89年の歴史を刻む『赤倉観光ホテル』。スキー場は創業時から、1963年にはゴルフコースを備え、日本の観光業の国際化を拓いてきたクラシックホテルの名門である。館内の至るところから楽しめる自然の景色は贅沢の極み。源泉かけ流しの湯も、北地獄谷から自然湧出する大地の恵みだ。
格調高いしつらえ、リニューアルで快適に調えられた客室と、魅力は尽きないが、常連客がお目当てにするのが「メインダイニングルーム ソルビエ」でのひととき。開業時からのクラシックフレンチを継承し、歴代料理長が磨き上げてきた料理は、のどぐろやアワビなど、新潟の極上食材が主役。滋味を生かしつつも重層感があり余韻が長い、熟成した銘醸ワインが欲しくなる。
「ソルビエ」の室内。照明がカトラリーなどに映す光まで美しく計算されている
料理はすべて¥18,700のディナーコースより。「佐渡島産アワビと天恵菇(てんけいこ)のパイ包み焼き ブールブラン」。2つの食材の食感、風味が響き合うひと皿
新潟産和牛のステーキには、赤ワインソースとウニを加えたオランデーズソースを添えて
のどぐろのポワレを冷えた白ワインとともに。窓からの景色もごちそう
Data
新潟県妙高市田切216
☎0255・87・2501
1泊2食つき1名(2名利用時)¥39,500(サ別)
https://www.akr-hotel.com/
設計は帝国ホテルなどを手がけた名建築家・高橋貞太郎で、重厚感がありながらも気品が漂う
松之山温泉 酒の宿 玉城屋
全8室。客室「檜」の露天風呂
日本三大薬湯と酒ペアリング
冬の豪雪でも知られる山間の小さな温泉地に、酒好きが知る宿がある。四代目当主でソムリエ・利き酒師でもある山岸裕一さんが、ほかにない酒ペアリングで魅せる『酒の宿 玉城屋』だ。地産食材を生かしたイタリアン、フレンチベースの料理に合わせて供されるのは、料理を味わう「オプション」ではなく、味を完成させる「必然」としての日本酒。味の新境地を追求する山岸さんの仕事に寄せる蔵元の信頼は厚く、県内産を中心に希少な酒がそろうのも特筆すべき点だ。
東の草津、西の有馬と並び、日本三大薬湯に数えられる松之山温泉。太古の化石海水が自然湧出するユニークな温泉は、塩分濃度が高く、高い保温、保湿効果で知られる美肌の湯でも。酒とともに人々を魅了しつづけている。
野菜たっぷり、魚沼のコシヒカリを楽しむ和朝食も人気
「バイ貝のコンフィとホタテの昆布締め」には、松之山「雪と里山醸造所」のクラフトサケ「クリスタル」を。酒の甘味が貝や野菜のうま味に寄り添い、酸味はソース替わりに
「卵白のクリームソースとチーズのチップを添えたなめこのソテー 長ねぎのジェノヴェーゼ」。合わせる「睡夢」は、山岸さんが監修し長岡市の酒蔵「吉乃川」で醸すオリジナルの酒。オーク樽熟成で複雑味のある「はりねずみ」と
宿で長期熟成させた酒など、ここでしか飲めない酒も
Data
新潟県十日町市松之山湯本13
☎︎025・596・2057
1泊2食つき(2名1室利用時)¥30,200~
https://www.tamakiya.com/
療養泉基準値の15倍もの成分を含む松之山温泉は、日本三大薬湯に数えられる名湯でもある
日本で唯一。歩いてめぐるワイナリー
海と砂地に囲まれた角田浜に広がる新潟ワインコースト。徒歩でワイナリーめぐりができる稀有な産地で、ワイン三昧の休日を。
CAVE D’OCCI WINARY(カーブ ドッチ ワイナリー)
四季の花々に彩られたぶどう畑は、日本であることを忘れてしまいそうな美しさ
日本屈指のワイナリーリゾート
’92年の創業時から、高品質なワイン造りとワイナリー観光の実現を掲げてきた新潟ワインコーストの立役者。現在、ショップやカフェ、レストラン、温浴施設やホテルを備える一大リゾートだ。畑や醸造所を見学しテイスティングもできるガイドつきのワイナリーツアーに参加するもよし、レストランで畑を眺めながらの優雅なランチもよしと、楽しみ方はいろいろ。
ワイナリーならではの本格フレンチが楽しめる「レストラン カーブドッチ」。経験豊かなソムリエがワインを提案してくれる
昆布締めにしたアジと夏野菜のサラダは、ミントの香りとシェーブルチーズがアクセント。料理はランチフルコース¥9,900(3日前までの要予約)
店内からぶどう畑を一望できる
’19年に開業した全10室のスモールラグジュアリーホテル「ワイナリーステイトラヴィーニュ」。ワインとワイナリーでの時間を存分に楽しめる
優しい味わいが人気「どうぶつシリーズ」
Data
新潟県新潟市西蒲区角田浜1661
☎︎0256・77・2288
ワイナリーツアー11:00~(60分、2日前までの要予約)、1人¥2,200
https://www.docci.com/
Fermier(フェルミエ)
ぶどう畑を望むレストラン「フェルミエ」
プレミアムワインを料理とともに
金融マンからワイン生産者に転身した本多孝さんが’06年に創設したワイナリー。スペイン原産のアルバリーニョを、産地を代表する品種に育てた先駆者で、ワインは、国内外で高く評価されている。県産の食材をふんだんに使ったフレンチを供するレストランも評判。希少なワインとのペアリングも楽しめる。
佐渡産マスのパートブリック包み焼き。きゅうりのソースで
ワインがずらりとならぶショップの一角。人気のキュヴェは、リリース後、即完売に
オレンジの屋根が目印
Data
新潟県新潟市西蒲区越前浜4501
☎︎0256・70・2646
レストラン&ショップ11:00~16:00
(コース14:00LO、アラカルト15:30LO)
定休日:火曜(不定休あり)
https://fermier.jp/
ルサンクワイナリー
きれいで優しい味わいのワイン
「新潟ワインコースト」に5軒目に誕生したことから、フランス語で「5」を意味する「CINQ(サンク)」をワイナリー名に。「きれいで優しい味わい」を標榜するワインは、セイベルの白とメルローの赤が、かつて「宝塚大劇場」の公演ドリンクに採用されたこともある。試飲は1杯¥300~。
Data
新潟県新潟市西蒲区角田浜1693
☎︎0256・78・8490
10:00~16:00(土・日曜、祝日のみ)
https://lecinqwinery.com/
Hakko Chaux(ハッコー ショオ)
営業日はほぼ店に立つという小林さん
1本飲めるワインで人生を楽しく
大学と大学院で農学と微生物学を学んだ小林英雄さんは、農薬を使わないぶどう栽培、野生酵母での発酵と、ナチュラルなワイン造りを貫く。理論派で仕事はストイックだが、ワインの解説は「ビールに負けない乾杯酒」「二次会向き」とユニークで、楽しい話が止まらない。試飲はぜひ時間に余裕をもって。
お子さんの絵がエチケットに。常時5~6種、¥200から試飲可
目の前に広がる混植の畑
ワイナリー名を刻んだ石が看板がわり。小林さんの趣味のボルダリングウォールも
Data
新潟県新潟市西蒲区角田浜1700の1
☎︎非公開
11:00~16:00(金~月曜のみ)
不定休
https://domainechaud.net/
豊かな歴史と美食の町、村上へ
藩政時代の城下町、村上は当時の面影を残す街並みが美しい。歴史を受け継ぎ、洗練を帯びた食文化にも注目。
『割烹 新多久(しんたく)』
アラのお造り。塩をもみ込みねっとりとした食感に仕上げ、煮こごりと天然の海塩を添えて。料理はすべて¥22,000のコースから
兄弟で村上の食史つなぐ老舗割烹
新潟市街地から車で約1時間。山形と県境を接する北部、村上市で食通が目ざす一軒が『割烹 新多久』だ。慶応3(1867)年の創業から約160年の歴史を誇る老舗。現在、山貝真介さん、亮太さんが兄弟で厨房に立つ。
ローカルの食が脚光をあびるようになる以前から、地元・村上の食材と食文化を掘り下げ、独自の表現を磨いてきた。とびきりの魚は、そのうま味のすべてを盛り込み、野菜は季節の色彩の美しさもそのままに。力強く、同時に澄みきった味わいの料理は、土地の文化を宿し、心も満たしてくれる。
すがすがしい店内に彩りを添えるのは、村上木彫堆朱などの工芸品。主の人柄がにじむ、飾らない接客も再訪したくなる理由だ。
村上の夏に欠かせない食材、甘鯛のうろこ焼き
鮎ごはん。焼き鮎の身をきゅうり、もち麦と合わせたひと皿。青い香りと香ばしさ、苦味がもち麦の食感とともに口の中ではじける
右が兄の真介さん、左が亮太さん。亮太さんは釣りに出て、魚をとることも。ジビエの処理場を設け、食材として取り入れるなど進化を続ける
Data
新潟県村上市小町3の38
☎︎0254・53・2107
昼12:00~(一斉スタート)、夜17:00~(19:00最終入店)
定休日:火・水曜
コースは昼夜共通¥11,000 ~
https://murakami-sintaku.com/
『千年鮭 きっかわ』
手で鮭に塩をすり込む作業を「塩を引く」ということから名がついた「塩引き鮭」。約1000本が天井から吊り下げられた様子は壮観だ
風土が育む伝統食、復活の立役者
村上の食文化の象徴ともいえるのが「塩引き鮭」。雄の秋鮭に塩をすり込み、冬の間中、寒風にさらして乾燥させる。風土とそこに暮らす人々の知恵が育んだ伝統保存食だ。
『千年鮭 きっかわ』は、戦後、即席食品の普及で途絶えかけた家庭料理と、村上の鮭文化を復活させた鮭の専門店だ。店の奥の作業場も開放し、類まれな製法を伝えている。隣には居間が連なり、町屋造りの建物に、明治初期からの生活様式が見られるのも貴重だ。
塩引き鮭は、しっかりとした塩気と凝縮したうま味に特徴がある。村上の鮭料理は100通りもあるといわれ、店に並ぶ商品で、あるいは系列の食事処「井筒屋」で味わうことができる。
寛永3(1626)年、造り酒屋として創業して今年で400年。「鮭のまち・村上」のランドマークで、地域づくりの中核でもある
塩引き鮭の切り身をはじめ「酒びたし(1年熟成させ薄くスライスしたもの)」「鮭の生ハム」などを村上みやげに
『きっかわ』から徒歩3分の場所にある「井筒屋」の鮭料理。白子の寒風干しや、はらこの味噌漬けなど8品¥3,550~(予約推奨)
Data
新潟県村上市大町1の20
☎︎0254・53・2213
9:00~17:30
定休日:元日
https://www.murakamisake.com/
新潟通が愛する新潟市内のおいしい名店
地元で長く愛されているお店から、県外にも名を轟(とどろ)かせる新鋭まで。新潟を深く知る食のプロが推す名店をご紹介。
おすすめしてくれたのは
さかた あきこ●新潟県出身。東京・代官山「洋食KUCHIBUE」、見附市の洋菓子店「BONJOURKUCHIBUE」店主。著書も多数。
新潟県出身。同県出身の夫・シライジュンイチ氏とお米の魅力を広めるユニット「ごはん同盟」として活動。世界のお米料理に精通。
ささき けい●本誌連載グルメ担当。新潟通い歴は10年で、東西南北ほぼ踏破、「郷土愛の薄い新潟人」以上の新潟通を自負する。
坂田阿希子さんおすすめ
『レストラン・モンドール』
東堀通りに吹くフランスの風
繁華街・古町エリアと白山公園を結ぶ東堀通りで31年愛されるフランス料理店。現地で修業経験のある松井芳則さんの香りたつ料理、フローリストからマダムに転身した礼子さんの温かなもてなしで、地域の人々のハレの日を彩ってきた。シェフの故郷・聖籠町で親戚が育てる野菜も皿を彩る。「姉も私も大好きで、帰省するたびに家族で食事に出かけた大切な店。フランスの地方の味があり、特にオニオングラタンスープがとても好きです」。
坂田さんが推す「オニオングラタンスープ」¥1,780。時間と手間をかけて火を通した玉ねぎの甘味と、グリュイエールチーズのうま味が溶け合う。近年、提供する店が減る中、このひと品目当てに足を運ぶゲストもいて、夏でも用意しつづけるのだとか
「かものロースト ブラックベリーソース」¥3,080。休日はシェフも通う、聖籠町の畑の野菜を添えて
料理ひとすじ、新潟にフランスの味を伝えてきたシェフと、その味に惚れ込んで、レストランの世界に飛び込んだマダムの礼子さん。店内を彩る美しい花は今も礼子さんの手によるもの
Data
新潟県新潟市中央区東堀前通5番町403コア東堀1F
☎︎025・229・9508
昼11:30~13:30LO、夜17:30~19:30LO
定休日:水・木曜
https://montdor1995.com/
地元で長く愛されているお店から、県外にも名を轟(とどろ)かせる新鋭まで。新潟を深く知る食のプロが推す名店をご紹介。今回は、料理家・しらいのりこさんおすすめの『日本料理 福楽(ふらく)』。
しらいのりこさんおすすめ
『日本料理 福楽』
「甘鯛の大葉巻き」。衣をつけて揚げて、だしが香るあんで仕上げたひと品
海と山から始まる味づくり
「冬にジビエをいただき、くさみのなさにびっくり! ご主人が猟師・漁師で、食材をご自身で調達されるそう」。魚なら、海からあがった瞬間からの状態を把握することで、香りから食感まで理想に導けるのだと、主の媚山潤さんは話す。和食の世界で生きてきたが、海外のトップシェフの言葉に触れ、食材への向き合い方を変え、味を磨いてきた。新潟市の中心部からやや距離があるが、県外からのゲストが5割という、覚えておきたい一軒。
「アラの砧巻き」。佐渡島産のアラを使用。新鮮なうちに処理して昆布締めにし、力強い食感を残したまま砧巻きに。料理はすべて¥15,400のコースより
オープンは’21年。早くも県内外のアワードでも高い評価を受けている媚山さん
アプローチから店内まで、都市部ではかなわない、広々とした店のつくりも、ゆっくり美味に向き合うのによい
Data
新潟県新潟市江南区大渕1196の2
☎︎025・282・7459
昼11:30~13:00LO、夜17:00~19:00LO
定休日:火・水曜、木曜昼
コース¥9,900~
https://furaku2022.wixsite.com/-site
坂田阿希子さんおすすめ
『ティーラウンジ ラ・しなの』
国の重要文化財にも指定されている萬代橋と信濃川の景色を堪能できる。春は川沿いの桜並木が華やかで、冬の雪景色も一興なのだとか。窓と反対側はロビーからの吹き抜けで、開放感がある
新潟一ともいえる眺望が贅沢
新潟市のランドマーク、萬代橋のたもとに立つ「ホテルオークラ新潟」のティーラウンジ。「家族でよく出かけた思い出の場所。萬代橋が目の前に見える大きな窓があり、とてもよい雰囲気です」。喫茶から軽食までさまざまに利用できる間口の広さで、行き届いたホスピタリティは名門ホテルならでは。優雅な時間を演出してくれる。
館内のベーカリーで仕上げたホテルメイドのケーキをティータイムのおともに。ケーキセット(ケーキ1個。ドリンクつき)¥1,400
Data
新潟県新潟市中央区川端町6の53
ホテルオークラ新潟3F
☎︎025・224・6160
11:00~17:30(土・日曜、祝日10:30~)
無休
https://www.okura-niigata.co.jp/
しらいのりこさんおすすめ
『酒と食まわり まみあな』
「鯨の味噌漬け」(右上)¥830。「酒菜三点盛り」(左)はこの日は、かきのもと(食用菊)と蟹の酢の物、イワシ焼きとだし巻き卵、なす揚げだしとエビの煮ものの3種(内容は時季替わり)¥1,200。こだわりの酒器で供される日本酒は50㎖ ¥250~
つまみも美味、地酒を知る一軒
県産の酒に特化した酒販店「地酒の都屋」が営む昼飲み酒場。二代目・坂上重成さんの妻、恵さんが「“酔う”ではなく“味わう”日本酒の楽しさを」と、店を切り盛りする。「いろんなタイプのお酒を少量ずつ味わえるのが魅力。新潟の食材を使ったおつまみも種類豊富で気がきいていて、毎回ついつい長居してしまいます(笑)」。
坂上さん。酒の好みや食べたい料理に合わせて、1杯をていねいに提案してくれる
酒屋に隣接。気に入った酒を買って帰ることができる
Data
新潟県新潟市中央区親松2の3
☎︎025・288・5210
13:00~18:30LO(日曜、祝日12:00~)
不定休
https://www.instagram.com/miyakoya_mamiana/
佐々木ケイさんおすすめ
『喜ぐち』
刺身盛り合わせ」¥2,000~。本マグロ、キス、ツブ貝に加え、南蛮エビ、フナベタ(ヒラメの一種)など、新潟ならではの魚介が楽しめる。淡麗辛口の地酒と合わせて
お酒好きのワンダーランド
創業60年、古町で愛される大衆割烹。新潟のとびきりの枝豆や旬菜のひと品、地魚のお造りから揚げ物、中華まで、年月を重ねるうちに分厚くなった品書きのひと品ずつに、店の歴史とホスピタリティが隠れている。「新潟に来ると必ず一度はおじゃまする店。酒場の定番料理にもこちらの店ならではの味があり、全メニューおすすめです」。ゲストの層は幅広く、にぎわいは深夜まで続く。
名物のひとつが「餃子」¥600。モチモチとした厚めの皮で、タレがかけてあるのが『喜ぐち』スタイル
「鳥から揚げ」も看板メニュー。鶏の半身揚げを食べやすいぶつ切りで。クリスピーで、カレーの風味に酒がすすむ、新潟市民の”パーティバーレル”¥1,100
中越・下越地方で親しまれる夏の郷土料理の「くじら汁」。かつおだしで塩くじら(塩漬けにしたくじらの脂身)と野菜を炊き、みょうがの香味を添えて
Data
新潟県新潟市中央区古町通10の1720
☎︎025・224・9075
17:30~翌1:30LO(金・土曜〜翌2:00LO)
定休日:日曜(不定休あり)
https://r904300.gorp.jp
和も洋も。新潟は銘菓の宝庫
大手菓子メーカーの限定品から、地域で愛される老舗のひと品まで。新潟のスイーツ、スナックをおみやげに。
冨士屋のアップルパイ
坂田阿希子さんおすすめ
創業100余年のパンの店。北海道産小麦で作るパイ生地、スポンジケーキ、自家製のカスタードと国産りんごのプレザーブを重ねた「アップルパイ」は名物。「昔ながらのパン屋さんならではの味わい。ときどきとても食べたくなります」。¥1,820(箱入り¥2,150)。
●新潟県新潟市中央区古町通6番町978
定休日:火・水曜
里仙(さとせん)の栗羊かん
坂田阿希子さんおすすめ
新潟市出身の文人、會津八一が愛した「かまつか(葉鶏頭)」から名をとった「かまつか最中」で有名な老舗和菓子店。熟練の職人技が生きた本煉りの「栗羊かん」も人気のひと品だ。「祖母が好きだった店で、わが家の和菓子の定番でした。私は栗羊かん派です」。¥1,620。
●新潟県新潟市中央区古町通13番町2850の1
不定休
Un BOURBON(アン・ブルボン)のクラフト ルマンド クリスプ
しらいのりこさんおすすめ
新潟発の菓子メーカー「ブルボン」のコンセプトショップ。代表商品「ルマンド」のワンランク上の「クラフト ルマンド クリスプ」を扱う。「おなじみの食感がよりサクサクに!新潟駅構内で買え、おみやげにもおすすめ」。8本入り¥1,180~。
●新潟県新潟市中央区花園1の1の1 CoCoLo新潟2F EAST SIDE
無休
瑞花(ずいか)のうす揚、うにこつぶ
しらいのりこさんおすすめ
長岡市発、選びぬかれた素材と職人技で仕上げる味が評判の米菓専門店。「『うす揚』は、軽い口当たりと溶けるような食感が最高。『うにこつぶ』は風味濃厚、おみやげ用に買ったのに新幹線の中で食べきっちゃうことも」。各1袋¥475・¥453。
●新潟県新潟市中央区花園1の1の1 CoCoLo新潟2F EAST SIDE
無休
さわ山の大ふく、しょうゆ団子
佐々木ケイさんおすすめ
国産の原材料、米は新潟県産のものを使い、創業以来の手仕事での味作りを守る餅菓子の店。地元で愛され、行列が絶えない繁盛店だ。「日持ちがすれば全部買いたいほど、何を食べてもおいしい」。「名代 大ふく」「しょうゆ団子」各1点¥160。
●新潟県新潟市中央区夕栄町4513
定休日:火曜(不定休あり)
ロシアチョコレートの店 マツヤのロシアチョコレート
佐々木ケイさんおすすめ
百貨店催事やお取り寄せで全国区の人気を誇るロシアチョコレート専門店。果実のゼリーやマジパン入りのチョコレートは、パッケージにも心躍る。「一粒一粒が小さなケーキのような味わい。エクレアなど店舗限定の商品も必食です」。マトリョーシカBOX ¥3,530。
●新潟県新潟市中央区幸西1の2の6
定休日:日〜火曜、祝日
撮影/ローラン麻奈 宮濱祐美子 取材・原文/佐々木ケイ ※「Un BOURBON」「瑞花」の休みはCoCoLo新潟に準ず ※エクラ2026年10月号掲載