富岡佳子の「今、欲しい暮らしのモノ、コト」~霜月~

2017年10月15日
今月から富岡さんのライフスタイルを取り上げる新連載がスタート。季節の移ろいごとに素敵な時間を感じるモノ、コトを紹介します。「食欲の秋の到来です。栗ごはんに、かぼちゃの煮つけと食卓に好きなものが並ぶうれしい季節。こんな家庭料理こそ、器によって見え方が違ってくるとつくづく感じます」と、富岡さん。

最近のお気に入りは二階堂明弘さんの器

出会ったのは益子での取材のときでした。何色とはいいえないような深い色合いと、縁が少し薄い、端正なたたずまい。ちょうど探していた頃合いのよい大きさだったこともあり、思わず手にとり、持ち帰りました。器を選ぶときも洋服と同じで、単にかわいいとか素敵だからという理由だけでは購入しません。「今、必要なのはこのくらいの大きさの器」と頭の中にインプットしておき、それに見合う大きさか? 手持ちの黒やベージュの器との相性は? 使い勝手は?など十分吟味します。
ためらうことなく使えることが大前提で、高価すぎるのも、繊細すぎるのもダメです。そんな私なりの基準をクリアした二階堂さんの器は予想を超える活躍ぶり。和洋中どんな料理もおおらかに受け止めてくれる懐の深さで、連日のように食卓に並ぶ“スタメン”となりました。おひたしや切っただけのトマトでさえ、盛りつけた瞬間にキリリと引き締まり、なんともおいしそうに見えてきます。洋服でいうところの、コンサバでベーシックだけどピリッとエッジの効いた……そんな器とでもいいましょうか。私が器に求めるのは、こんなふうに日常をほんの少しだけ底上げしてくれる絶妙なさじかげん。毎日作る家庭料理こそ、器に助けてもらいたい。二階堂さんの器には、その力が宿っていると思うのです。
写真左は鉄の釉薬を刷毛で塗った錆器、ほかは焼締め。土の風合いを生かした温かみのある質感なのに、どこか繊細でクール。和食器なのに、和食以外にも洋食やエスニックも受け止めてくれる懐の深さが。器/すべて私物 ニット¥33,000/ショールーム セッション(サヤカ デイヴィス)
二階堂明弘さんは、’77年札幌生まれの作家。年に10回を超える個展を開催。活動の場は国内だけにとどまらず、ニューヨークでの個展を皮切りに、近年ではパリ、台北、上海、北京などにもおよぶ。中国茶葉博物館に作品が収蔵されるなど注目の作家。展示会情報などはhttps://www.nikatougei.jpをチェックして。

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