私の夏のおしゃれの考え方は、実はシンプルです。大切にするべきは3つ。
1 涼感、2 清潔感、3 知性。
これまでのページでお答えしたすべてのアンサーは、この3つのベースに基づいています。具体的にいいましょう。
まずは1。着ている本人が涼しいおしゃれは、他人から見ても涼やか。素材を選ぶことで、それは解決できます。コットンやリネンなど、速乾性が高い天然素材を選ぶ。または、「厚手で堅い」ものよりも、「軽やかでしなやか」を大事にします。
そして色。色には温度の高い色、低い色があります。例えば、黒やブルー、ネイビーなどの寒色は「温度が低い色」。赤やイエロー、暖色は「温度が高い色」。温度が高い色を着てはいけない、というわけではありません。例えばボトムで、もしくはプリントでほんの少量取り入れる、というように工夫をしましょう。
2の清潔感は、素肌の出し方や髪のスタイリング、もちろんメイクでも表現できます。ひとつひとつ説明しますね。素肌=生っぽさの象徴。夏だからといって、出せばよいわけではありません。例えば背中があいているトップスを選んだのなら、パンツで全身に占める素肌の量を調整。そして髪も、コーディネートを構成するアイテムのひとつ。ロングの黒髪をしっかり巻いてダウンスタイル……は、見た目も本人も暑いので、例えば、セミウェットにし、軽く巻いて、ラフにまとめる。そんな工夫で解決できます。メイクも同じです。メイクは、「顔が着る服」と考えます。色ももちろんですが、どんな素材感にするかが最も大事。夏らしいラフさや、フレッシュ感を優先させましょう。
最後に、3の知性。例えばすべてがゆるっとしたシルエットにならないように気をつけること。トップスが、体のラインを見せないリラックスした輪郭なら、パンツをシャープなラインに。バッグの四角いシルエットを借りるのも手です。リゾートにも使えるワンピースを、スクエアのレザーバッグや、肩のラインがしっかりしたジャケットで、タウン仕様にすることができるのです。
どうでしょう? 真夏のおしゃれ、悩みは解決できたでしょうか? 私たちが「毎日着る服」は、好きだから、気分だったから――という理由だけでは選べないことがほとんど。選ぶブラウスやパンツは、私たちの内面を表すと同時に、他人や周囲に対するマナーでもあるのです。季節ならではの制約やルールをむずかしいと思わずに楽しめたなら、夏だけではなくおしゃれのスキル自体が上がるはずです。一緒に楽しみながらがんばりましょう!