2023上半期!オススメの本

エクラ世代にはなじみのある書き手のエッセイと小説、そして料理人の女性にまつわる本をご紹介。 暑い夏、涼しい場所で一冊どうですか?
私と世界をつなぐ、料理の旅路
まずは「私と世界をつなぐ、料理の旅路」
海外で料理やお菓子を学び、活躍している14人の女性のノンフィクションです。

味覚って好みだから、人それぞれ違うし、絶対とは言い切れない。
でも食というその土地を色濃く表すものには、何か特別な力が宿っているように思えます。
異国に魅せられ、暮らして得たもの、味わった舌を糧にして生きる女性たち。
パリにお菓子留学したかった私は、この手のお話がとても好きです。
唯一知っていたのは、小川歩美さん。
一度だけ行ったことのある世田谷のモロッコ料理店「エンリケマルエコス」のオーナー。
(どうやら今月で閉店されるようですが…)
料理本も持っているので、読んでみようと買ったのですが、その中に、堺の「ベトナム料理研究所」ユキさんも載っていました。

15年近くホーチミンに暮らし、今は大阪を中心に活躍されています。
もちろん「先生」なのですけれど、作り方や考え方を共有する場として教室をされていて、そのせいか、レッスンは和やかに進んでいきます。
とても楽しくて美味しく、先月のエクラブログに書きました。
そんな新しい出会いもあった、たくさんの写真も楽しい一冊。
けだま
次は「けだま」
皆さんご存知、モデルのはまじこと浜島直子さんのエッセイです。
某番組のミステリーハンターでもあったモデルさん。
エクボの似合うさっぱりしたイメージだったのですが、前作の「蝶の粉」を読んで、それだけじゃなく、頭がよくて内に熱いものを秘めている人だなと思いました。
服にまつわるお話はアニエス・ベーの白シャツとか、世代的にドンピシャなものばかり。
ですが、その中で秀逸だったのが「おっぱいと水色のロンパース」という章。
こちらは服というより、息子さんの授乳と卒乳のお話ですが、とてつもない幸福感と失望が…
文章うまいなー
ついでに最終章も温かく、読後感、じんわり響きます。

スラスラ読めるけれど、決して平易、というわけではないのです。
難解なところもあって、ん?と数行戻って読み返す時もありました。
でも綴られる強弱、剛と柔というのかな、上手くバランスが取れている。
それが彼女の文才なのだと思います。

ミトンとふびん
最後は小説。吉本ばなな「ミトンとふびん」
「キッチン」を読んだエクラ世代は多いですよね。
私も好きで、発表される作品は必ず買いました。
ただ、恋人や肉親が亡くなった主人公の話が多く、その喪失感はまだ分かりづらかったことも。

今回もその色合いが濃いのですが、なんだか染み入るように心に入り込んできました。
よく読んでいた10代、20代とは、明らかに違いますものね。
特に「カロンテ」や「SINSIN AND THE MOUSE」など、この数十年で経験したという旅先が舞台として描かれていて、ストーリーにより広がりがあるように感じました。

その情景はこういう風に表現できるのか。
ひとつひとつ、琴線に触れるみずみずしさが、懐かしさと共に感じられました。
この本でもう悔いはないと帯に書かれている一冊。
青春時代に読んだ方、読んでいなかった方もぜひ♪
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yako

yako

大阪府在住。夫と娘の3人家族。おしゃれ、台所仕事、本 etc好きなものを自分の言葉で綴ります。

Instagram:yako_sugar

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