【大草直子×ジェーン・スー スペシャル対談】令和の50代にあらためて「マイスタイル」を考える

年の差1歳。同じ文京区で、近所の国立小学校出身の2人。的を射た表現で、流れるように言葉を操りながら、世の悩める人たちに愛の言葉を送り続ける。大草直子さんとジェーン・スーさん。リアルなエクラ世代で仲よしのふたりが、等身大の“マイスタイル”について、ゆるやかに、深く向き合った。

Naoko Okusa’s style

大草直子

大草直子

おおくさ なおこ●スタイリングディレクター。’72年生まれ、東京都出身。大学卒業後、現・ハースト婦人画報社へ入社し『ヴァンテーヌ』を担当。その後、フリーランスのエディター、スタイリストに転身し、執筆のほかブランドとのコラボ商品の開発やイベント出演なども積極的に行う。’19年に会員制のオウンドメディア『AMARC』を立ち上げ、季刊誌『AMARC magazine』も出版。
Naoko Okusa’s style

Jacket:CELINE
T-shirt:Hanes
Denim:RE/DONE
Earrings:kiuna
Bag:Sabyasachi
Shoes:Christian Louboutin

洗練を物語るツイードジャケットに、白Tシャツとデニム。「永遠のベーシック」をポインテッドトゥのヒール靴でセンシュアルに。

Okusa’s favorite

Okusa’s favorite
Okusa’s favorite
Okusa’s favorite

大草さんの日々を載せたインスタグラムにもたびたび登場するジャケットスタイル。自然体で、キレのいい大人の着こなしが目にとまる。

Jane Su’s style

ジェーン・スー

ジェーン・スー

じぇーん すー●コラムニスト、ラジオのパーソナリティ。’73年、東京都文京区で生まれ育った生粋の日本人。『ジェーン・スー 生活は踊る』(毎週月~木曜11:00〜14:00、TBSラジオ)や、ポッドキャスト『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』は年代を超え、絶大なる人気を誇る。近著は『闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』(文藝春秋)。
Jane Su’s style

Knit : sacai
Pants : ZARA
Earrings : MARY QUANT
Shoes : ROCKPORT

「ブームがきてる」という発色の美しい紫色のニットは、首もとにジップが配されたモードなデザイン。シャカパンで抜け感を加味。

Jane Su’s favorite

Jane Su’s favorite

「ようやく出会えた、自分らしく持てるハイブランドのバッグ」とスーさん。サンローランの大容量のレザーバッグは、圧倒的なインパクト!

お気に入りの服から紐解くマイスタイルをつくるもの

大草さん(以下、敬称略)スーさんって、いつもワンピースのイメージがある。


スーさん(以下、敬称略)講演会とか人前に出るときはワンピースなんですが、そのブームはいったん落ち着いたとこ。何年かに1回ブームがきては着倒し、また去る。その繰り返しです。


大草 で、今はきれい色のニットなんだ。


スー この冬突然紫ブームがきまして。今回のテーマが“マイスタイル”だから、自分にとっての着心地のよさみたいなことも考えると、じゃ、シャカパンだ!って。ボトムはこれを採用しました。


大草 スーさんっぽい。いい、いい。


スー 大草さんのインスタ見てても、いつも似合うものを選んで着てる。今日のセリーヌのジャケットも素敵だなー。


大草 本当? うれしい! アウター好きなんだよね。特にジャケットは、小学校から着てた制服の名残なんだと思う。


スー 小学生から制服だとね、わかる。紺とか白とかコンサバなものが似合うんですよね。ただ、私がジャケット着ると“どこかの理事長”になる。または議員、か。


大草 理事長って!(笑)


スー ハマりすぎちゃうから、どう理事長を回避するか、ですよ。“ちゃんとしすぎ感”をシャカパンとかで抜くイメージ。だからいつもカジュアルっぽくなる。


大草 ツイードジャケットにTシャツ、デニムっていうのは、実はもう20代からさんざんやってきてるの。ミックスツイードにボーイフレンドデニムのときもあったり。少しずつ形や素材が変わったり、ブランドが変わったりしているだけなんだよね。


スー それは大草さんのスタイルだね。


大草 スタイルって“型”ともいえるじゃない? 何か困ったときに帰れるとか、戻れるとか。だから、マイスタイルといえばジャケットだなって。これからもずっと着続けるし、この流れは一生あると思う。


スー 私ね、大草さんが持っていてかっこいい!と思ってこのバッグ買いました。


大草 あのキルティングレザーのバッグ、あれはスーさんにピッタリよ!


スー ブランドバッグで、こんなにしっくりくるのって初めてなんですよ。きちんと、でなく、シャカパンにあれ。なんでも入るから、バンバン持ってます。


大草 スーさんの生活にも、お洋服にも合ってるってことよ。


スー こういう持ち方が私はしたかったんだな、ようやく50歳でピッタリここにきたな、って感じ。YSLの文字も、バブル時代の、フューシャピンクのリップ出してたころのあれだ!ってうれしくなった(笑)。

自分にとって30点の服をわざわざ克服しなくていい

大草直子×ジェーン・スー スペシャル対談

スー 大草さんって、ブランドのロゴがドーンってついていても「はい、ブランドのもの買いました」ってならないの。「蚤の市で買った」っていわれたらそう見える。“主”が大草さんで、服やバッグは“客”。ブランドのものって主客が逆になりがちなのに、それが本当にかっこいい。

大草 本当? うれしい!

スー 今の格好は、ヴァンテーヌ編集部にいたときとはやっぱり違うわけじゃない?

大草 それはそう。私の場合は、小学校は制服、高校生でアメリカに留学してアメカジ。大学では体育会系で、Tシャツにキャップが日常だった。で、ヴァンテーヌに入ったら、おしゃれは知性です、ってね。

スー それから南米でサルサを?

大草 そう。違う世界観がまたバーンって広がったの。色があふれ、何歳になってもセクシーでいいって。それが全部、今の私にはミックスされているってこと。今をつくっているのって、人生の縮図だから。

スー そこだよ、そこ! これまでの人生を単純にミックスしたら、普通はまずいジュースになっちゃうの。めっちゃ栄養はあるんだろうけど、まずいジュースだよー。なんでそれが飲めるジュースになってるのかって、そこが知りたいの。

大草 じゃあ、ジュースの味を一回言語化したらいいんじゃない? 好きなジュースのテイストとして、私はセクシーさが絶対あるわけ。トラッドな感じもあるし、海外では現地の言葉で話しかけられるくらいのインターナショナル感も欲しい。ラグジュアリーさも必要。それら全部を自分の中で具体的なルールに落とし込んでる。

スー そうか、マイルールだ。

大草 例えば今日の足もとも、ヒョウ柄のポインテッドトゥ、7.5㎝ヒール。ここは私はスニーカーにはしないの。

スー 細かいルールの積み重ねなんだね。

大草 あくまでもマイルールよ。人によってそこは違うから。

スー 確かに、セクシーさとか、カジュアルさはいらないという人もいるだろうね。

“主”がちゃんと大草さんで、“客”が服になってる。それがかっこいい(ジェーン・スー)
“主”がちゃんと大草さんで、“客”が服になってる。それがかっこいい(ジェーン・スー)

大草 おしゃれってビジュアルと思われがちなんだけれど、実は言語化することがとっても大事。面倒だけど、やらない人はいつまでたってもブレちゃう。

スー 画一的な基準のようなものに引っぱられるんだろうな。

大草 だからずっとスタイルを探しちゃうの。スタイルは探すものじゃなくて、自分にあるものなのに。やっぱり、言語化だね。心の中は本人にしかわからないから。

スー 言語化していないから私はブレるんだね。

大草 いやいや、スーさん、言語化していると思うよ。

スー 私は、服が入るかどうかも前提にあって、でも入るようにやせるかというと、いや、これでいいや、みたいなわけ。でも、おもしろいことに、インスタを始めたら、「どこの服ですか? とても素敵!」って聞かれたりするんですよ。そのほとんどがZARAなんですよね。

大草 スーさんのテイストもインターナショナルよ。ラテンの服が似合うもの。

スー 人から聞かれるってことは、それが似合っているということなんだなって、それは思いましたね。インターナショナルなブランドの服は、サイズもそうだけど、どこか自分の好きな生き方とも合ってるから、私はそれでいいんだな、って。

大草 インスタやっている人がどんどんおしゃれになるのは、客観的に自分をちゃんと見るから。よくいってるんだけど、ばかばかしいと思わず写真を撮って、それを選別していけばいいんだよね。これは30点、これは70点だなって。その結果、70点の服を着ればいいわけで、30点の服をわざわざ70点に寄せなくても全然いいわけ。

スー 似合うものの精度を上げていくことのほうがたぶんおしゃれに近づけるのに、似合わないものがあるとそれを克服すればおしゃれになれると思っちゃう。克服したいんだよ、でも、克服しなくていいんだよね。

大草 そう! 試験勉強じゃないから。

スー 苦手科目をがんばって克服するんじゃなくて、その科目を受けないで入れる学校を受験すればいいんだよ、ってことだね。

大草 あはは、まさにそれ。

スー 着てがっかりしちゃう服は、着なくていいんだよね。私ね、いつも自分に×を出してたんですよ。似合わない自分がダメって。だけど、服の選び方がダメなんだなー。すごくうっかりしてました(笑)。

おしゃれって、実は言語化することがとっても大事(大草直子)

おしゃれって、実は言語化することがとっても大事(大草直子)

取捨選択して、工夫して。大人のおしゃれには知性が必要

取捨選択して、工夫して。大人のおしゃれには知性が必要
見る人に気持ちよさを与える客観性は必要(大草直子)
似合うものの精度を上げていくほうがおしゃれに近づける(ジェーン・スー)

スー 似合うものだけにしていけばいいって、以前大草さんがちゃんと理屈で教えてくれて、選ぶのがラクになりましたよ。私は体に厚みがあるから、襟によって印象が全然違うんだけど、ニットはシンプルなクルーネックが一番ダメ。逆に厚みが目立つの。ボートネックやタートルだとすっきり収まることがわかって、もう迷いません。

大草 似合わないものを手放す作業は私もしてるよ。20代で膝を出す服は捨てたし。自分のスタイルと違っちゃうから、もう膝は出さない、って。ミニスカートも、厚手のウールのタイツにニーハイブーツ履けば着られるの。そういうイタくならない方法はあるけど、私は選ばないかな。この冬手放したのは、ノーカラーのコート。

スー わー、ほんと?

大草 ノーカラーは今55点なんだよね。髪が伸びて、襟があるほうが似合うから。私、髪伸びると、キムタクっぽくない?

スー え? のれない、唐突すぎて(笑)。

大草 男の子っぽくなるの、逆に(笑)。それに、ピラティスやって体が薄くなったこともあって、襟があるほうが顔まわりに立体感が出るんだよね。

スー そうか、工夫がないとイタくなる可能性がある年代になったんだろうな。

大草 本当にセンスだけでおしゃれできる人なんてごく少数。そうじゃないなら、ちゃんとTPOから服を考えればいいんだと思う。見る人に気持ちよさを与える客観性は必要なんだよね。それも知性でしょ。

スー 知力と、知性だ。

大草 おしゃれじゃなきゃいけないなんてことはないんだよね。でもさ、朝ごはん食べなくても出かけられるけど、洋服着ないと外に出られないでしょ? 服を着るって、超エッセンシャルなんだよね。

スー 本当にそのとおり。

大草 だから一回この年齢でちゃんと向き合って、言語化するといい。この先がきっと明るく変わってくるから。

スー そういわれると勇気をもらえます!

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