これはもう、他人事ではない。そもそも、なぜ人間はいびきをかくのか?
「鼻からのど、肺へとつながる空気の通り道を上気道といいます。いびきとは、睡眠中にこの上気道のいずれかの部分がなんらかの原因で狭くなり、そこに空気がぶつかって振動して起こる呼吸音のこと。いびきを本人が自覚することはほとんどなく、たいていは家族やパートナーの指摘で気がつくようです。けれど、睡眠中の物音の感じ方は人それぞれ。実際にはいびきをかいているのに、家族も気づかないというケースもありえます。いびきには明確な治療基準がなく、そこが診断のむずかしいところでもあります」
上気道が狭くなる原因には、いったいどんなものがあるのだろう。
「風邪などによる一時的なものを除くと、睡眠中に筋肉がゆるんで舌や口蓋垂(こうがいすい・のどちんこ)が
落ち込んでしまう、鼻の粘膜がうっ血して鼻の通りが悪くなる、下あごが小さかったり鼻腔(びこう)が狭いといったもともとの骨格によるもの、肥満でのどの周囲に脂肪がたまり気道を狭くしているなどが考えられます。また、のどや鼻、甲状腺などにポリープなどのできものが生じたり、脳梗塞(こうそく)や神経麻痺といった病気も気道を狭くします」