まずは自分の“思い込み”を捨てることから! 介護Xデーがくる前に知っておきたいこと【50代のお悩み】

2018年5月26日
年老いた親、ひとりになった親etc...人の数だけ事情があり、親のケアの仕方も人それぞれ。介護の現場を20年以上取材してきた専門家が親をケアするための考え方や心構えをアドバイス。

【今から覚えておきたい心構え5カ条】

1.すべての"思い込み" を捨てよう!

2.ケアに必要なのは"時間" ではなく"情報"

3.ケアはそもそもひとりではできない

4.ケアは「何とかなる」が、お金は「何とかならない」

5.親はどうしたいかを知っておく

「使える社会資源はとことん使おう」

「親の面倒を子供が見るのはあたりまえ」「離れた場所に住む親の介護は同居しなければ無理」「ひとりっ子だと、親のケアはとても大変」「介護が始まると海外旅行に行けなくなる」……。「親のケア」をこんなふうにとらえている人はいないだろうか。
 太田差惠子さんは、親のケア全般に関するこうした思い込みからまず自分を解き放ってほしいと話す。「いつまで続くかわからない介護は絶対にひとりではできません。もちろん家族にはできることはたくさんあります。でも、できないこともたくさんある。遠隔地に住んでいる親でも、介護サービスを使えばサポートできます。ひとりっ子にしても、自分のペースを貫けるという点では、むしろきょうだいがいる人よりも気楽。海外旅行にしても、今は100歳まで生きることも可能な時代。親を看取ったあとの自分の年齢を考えてみれば、もしかしたらもう体力気力が衰えて行けないかもしれません。『本当にそうなのか、別の選択肢はないのか』と常に自問自答して、ほんの少し発想を変えてみるだけで、見えてくる世界はかなり変わります」
 そのためには使える社会資源はとことん使ったほうがいい。でもうまく使うためには情報が必要という。「介護は情報戦です。親の介護が必要になったときに、介護サービスの種類やシステムを知っているか知らないかで、対処の仕方だけでなく、気持ちもずいぶん違うはずです」
 介護サービスは実際に状況が深刻化してから使うものというのも思い込みのひとつ。実はその前から相談に応じてくれるサービスもある。「ある娘さんは、80代のお母さまがまだ元気だったものの、遠隔地に住んでいたため、実家を訪れた際に地域包括支援センターに足を運んでひとり暮らしの母親がいることを伝えておいたそうです。ある日、娘さんが母親に電話したところ、声に元気がない。娘を気遣って『大丈夫だから』といい張るお母さんを心配し、以前訪れた地域包括支援センターに電話して相談してみたところ、スタッフが母親の様子を見にいってくれたそうです。すると熱中症にかかっていたことが判明。幸い気づいたのが早かったので、事なきを得ました。親が元気なうちにとっておいた対策が功を奏した一例です」

「親の人生と私たちの人生を分けて考える」

「今の親の世代は、収入が少なくてもケアされるシステムができていますが、私たちが老後でもらえる年金は親よりも確実に少なくなります。そう遠くない自分の老後を考えたら、仕事はやめないほうがいい。親の介護は『何とかなります』が、お金は『何とかなりません』から」
 自分には自分の人生があるように、親には親の人生がある。だったら親のケアに親のお金を使うのは当然で、私たちが仕事をやめないのも当然。そして、親が元気なうちに、親自身がどうしたいかを聞いておくのも当然だと太田さんはいいます。
「過去には要介護5でひとり暮らしを通されたかたもいらっしゃいました。誰にも看取られなくてもいいからこの家にいたいというのがそのかた自身の強い希望だったため、ケアマネジャーさんと遠方に住む娘さんがしっかり話しあって、結局親の意向を尊重することにしたそうです。親のケアをするには、親と子のどちらも譲れないものを伝えあって折り合いを見つけなくてはなりません。そのためには、聞きづらいかもしれませんが、親が元気なうちに親自身がどうしたいかをしっかりと聞いておきましょう」

【親が70代か80代かで違うことも!?】

個人差が大きいため一概に年齢ではくくれないものの、70代と80代では主にコミュニケーションのとり方が違うと太田さん。
「70代だとスマホでメールやLINEができる人も増えてきましたが、80代では少ないかもしれません。でも意外と『うちの親はスマホは無理』と思い込んでいる子世代が多いのです。実際にお年寄りに取材すると、LINEやFacebookのほうが、顔写真がついているから誰からきたメールかわかりやすくて助かるという人もいらっしゃれば、時には親のほうから『たたまない電話がほしい』といわれ、折りたたみ式の携帯電話を使っていた子供が驚いたという話も聞きます。人によって違いますが、教えてみたら意外に使える人も多いんですよ」。

介護・暮らしジャーナリスト
太田差惠子さん
’60年、京都市生まれ。「遠距離介護」「介護とお金」などの視点で執筆や講演多数。’96年「離れて暮らす親のケアを考える会パオッコ」を設立。6月に『親の介護には親のお金を使おう!―あなたのサイフを救う7つの新ルール―(仮)』(集英社)を発売予定。
『親の介護で自滅しない選択』
日本経済新聞出版社 ¥1,400
「親が元気なうちにしておきたいこととは」「親の介護で仕事を辞めないために」「遠距離介護で親をささえる方法とは」など、介護前から介護中の人まで必ず役に立つ62の実用情報と考え方を項目ごとに見開き2ページで簡潔に解説。親の今後が不安な人には必携の書。

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