「認知症にもいろいろありますが、親の場合、アミロイドβの蓄積によって神経細胞が変性し、脳の広範囲が萎縮することが原因とされるアルツハイマー型認知症がほとんどでしょう。しかし、長く生きれば、それだけアミロイドβがたまってきますし、ほかの原因でも脳が萎縮し、衰えてくる。つまり、高齢になれば、誰もがなる可能性のある状態ですから」
病気ではなく、状態?
「皆さん誤解されているようですが、認知症は、病気ではなく、脳の機能低下が原因で、社会生活に支障が出る“状態”のことをさします。なので、たとえ記憶があいまいでも、同じ話を繰り返そうとも、生活に支障が出ていなければ、認知症とは診断されないんですよ」
こうした誤解や偏見こそが、「認知症の介護を泥沼化させている要因のひとつ」とも、奥村先生は指摘。
「認知症とはどんなもので、なぜこうした症状が起こるのかなど、正しい知識をもって、適切に対応すれば、怖れるに足りません。暴言や暴力なども、誤った対応が原因で引き起こされるのですから。それに、薬で症状を軽減することもできますし、進行を遅らせることも可能。手術で治すことができる認知症もあります」