洗濯のプロに聞く!梅雨時でも楽しくなる『洗濯のコツ』

クリーニング派の人でも、日々の洗濯からは逃れられないもの。洗い上がりが今ひとつだと感じるひとは、間違った洗い方をしているからかも! 洗濯のプロが、洗濯機で洗う際の正しい量と、洗濯機で落ちる汚れの種類をお教えします。部屋干しすることも増える梅雨時、臭いも気になります。正しい洗濯方とちょっとした工夫で解決!

 

教えてくれたのは…

レジュイール代表 吉田陽祐さん
1977年創業の高級クリーニング店『レジュイール』2代目オーナー。高いクリーニング技術で毛皮、オートクチュールや高級プレタポルテのケアも引き受ける洋服ケアの専門家。www.rejouir.co.jp

 

①洗濯機洗いの一回の量って? “量”と“汚れ”を再確認

Q.洗濯機洗いの汚れ落ちが不満です…。

A.適切な量を、正しく洗っているか確認を。

洗濯機洗いで落ちるのは、基本的に水溶性の汗汚れです。きちんと落とすには、1回に洗う量が多すぎるのはNG。何日分かをまとめて洗いたくなりますが、必ず洗濯機に対して適切な量で洗濯を。洗濯とは、衣類に水を通して繊維から汚れを離す作業です。洗剤で表面張力を下げ、繊維まで水を入りやすくしているわけですから、洗濯ものや水が動かないのでは洗ったことになりません。同じ理屈で、洗濯ネットも、入れるものに対して適切なサイズのものを使いましょう。例えばニット用には、Yシャツサイズを使い回さず、ひと回り大きいものを選んでください。分量を守れば、あとは落とせる汚れかどうか。汚れは大きく脂分の「皮脂汚れ」、水溶性の「汗汚れ」、食べこぼしなどの「シミ汚れ」に分類できます。シミ抜きは家庭ではかなり手間がかかるので、触らずクリーニング店に出すほうが無難。あとは、皮脂汚れになりますが、これは洗濯機に入れる前のケアによって、ある程度対応可能です。

洗濯機に入れる洗濯ものは7割程度に!

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洗濯ものの詰め込みすぎは、洗浄効果は大幅ダウン。きれいをかなえるには洗濯ものが動くように。

ネットは、適切なサイズで1アイテムに1枚ずつ

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デリケートなおしゃれ着に汚れが残るのはナンセンス。衣類を守るサイズに合ったネット使いを。
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洗濯機の得意・不得意は押さえておこう。洗剤は、一般的に粉末(弱アルカリ性)のほうが液体(弱アルカリ~中性)より強力

△皮脂汚れ…襟や袖口に多く、蓄積すると黒ズミの原因になる。脂分なので、汗ジミをコーティングしてしまう場合も。洗濯機洗いの前にケアを。

○汗の汚れ…代表的なのはわきのシミ。水溶性なので、洗濯機の水洗いで落ちやすい。2~3週間ほど
して成分が酸化すると、黄ばみの原因になる。

×シミ汚れ…色素やタンパク質、油など、さまざまな要因が混在しうるので、プロに任せたい。

 

②皮脂汚れ&手洗いもバッチリ! プロがしている洗い方とは?

Q.プロがしてる洗い方って、どんなもの?

A.水温は高いほうがよい。皮脂汚れは事前のケアを。すすぎは長めで、脱水は1 分。

まず、洗浄力を高めるなら、水の温度は洗濯表示の範囲内で高めにしましょう。そして、皮脂汚れが目立つ場合は、事前に簡単な手洗いを(右図参照)。そして洗濯機で細かい設定が可能なら、すすぎを長めに。先ほども説明したように、繊維についた汚れを落とすのは水の役割ですし、洗剤成分が残ると衣類のダメージや黄ばみの原因になりますから、すすぎはていねいに。そして、しわ防止と衣類への負担軽減のために脱水は短めにします。麻などのデリケートな素材のものは専用の中性洗剤で手洗いしますが、洗剤液に沈めて浸透させる程度で強く動かさないようにしましょう。こちらもすすぎはていねいに。泡が出なくなるまですすぎ、ネットに入れて洗濯機で脱水するなら回りだして30秒で十分です。
すすぎは長めで

洗濯機に入れる前に! 皮脂汚れの事前ケア

皮脂汚れの

 ①  食器洗い用洗剤を襟や袖口につける(色柄ものは目立たないところで色落ち確認を)

軽くもみ洗いを

 ②  手で軽くもみ洗いするか、柔らかいスポンジで汚れをこすり落とす

流水で

 ③  流水でよくすすぐ

洗濯機に入れて

 ④  洗濯機に入れてもう一度洗う

 

③一度黄ばんでしまった白ものを復活するには?

一度黄ばんだ白ものを復活できますか?

A.原因がわからなければ、まず煮ましょう。

しまっていた白ものを出そうとしたら黄ばんでいた、なんてことはよくありますね。全体に黄ばんでいる場合は洗剤成分の残存、つまり、すすぎ不足が原因です。まずは、下の手順で煮ましょう。お湯の色が変わるので、成分が溶け出ているのがわかります。それでも落ちない場合は、汗の成分が酸化した黄ばみなので、酸素系漂白剤を使ってください。忘れがちですが、本来の効果を得るには、必ずお湯を使うこと。漂白剤は液体より粉末のほうが強力です。

全体に黄ばみがある服の黄ばみ落とし

大きな鍋に湯を沸かし

 ①  大きな鍋(アルミは避ける)に湯を沸かし、弱アルカリ性洗剤を表示の分量どおりに入れて、かき混ぜる。粉末洗剤はよく溶かす。

黄ばんだ服を入れてかき混ぜながら

 ②  黄ばんだ服を入れてかき混ぜながら、10分ほど煮る。この間に色が出てお湯がにごってきたら、すすぎきれていない洗剤成分が主な原因。

水を流しながら服をすすぐ

 ③  10分煮たら、シンクに移し、水を流しながら服をすすぐ。すすぎの水が透明になるまでじっくりとすすぐ。

 

 ④  この段階で残った黄ばみは、汗成分の変色なので、漂白剤を使う。

 

汗が原因とわかっている黄ばみ

服を30分ほどつけ置き

40℃のお湯を洗濯桶にはり、酸素系漂白剤を溶かして、服を30分ほどつけ置きする。その後、水を流しながらすすぐ。落ちが悪い場合は、重曹を足すのも有効(※酸素系漂白剤の場合のみ)

 

④室内干しの人必見! 干し方の工夫

Q.主に室内干しですが、干し方の工夫は…?

A.ベストは浴室乾燥。乾燥機との併用、空気を動かす工夫を。

洗濯ものは空気の入れ替えが可能な場所で干すのが鉄則。私は浴室に干して換気扇、乾きにくいものは浴室乾燥機を使います。それがむずかしい場合は、あとで説明する乾燥機の併用か、常に扇風機で風を送るなどの工夫をするといいでしょう。干し方は風が通りやすく、表面積が増えるように。しわはたたいてのばし、布ふ 帛はくのものは、ステッチ部分が縮みやすいので、そこをよくのばしてください。
風通りがよくなるよう
風通りがよくなるよう、アーチ干し。スカートやパンツは筒状に
洗いじわがあれば
洗いじわがあれば、きつくならないようにたたいてのばしておく
ステッチ部分に
布帛はステッチ部分にしわがよりやすいのでのばしておく

 

⑤乾燥機の賢い使い方

乾燥機がありますが、賢い使い方は?

A.室内干しの時間短縮や、仕上げに使えます。

乾燥機で洗濯ものを乾かす場合、最後の乾ききる段階で大きな縮みが発生します。そのため、乾ききる前に(10~20分程度で)取り出す必要がありますが、熱風で温まっているので、室内干しの時間を大きく短縮できます。また、反対に干して乾いた状態の洗濯ものを入れて、ふんわり仕上げるのに使うこともできます。まんべんなくもまれながら熱風を受ける仕組みだからこそできる技ですね。
室内干しの時間短縮や
取材・文/本誌編集部 イラスト/尾代ゆうこ

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