ボルボの電気自動車EX30で日帰り軽井沢へ【マダムの“ぐっとくるクルマ”試乗 vol.1】

エクラ世代のモータージャーナリストまるも亜希子さんによる試乗ルポ(写真は同乗者の編集Jが撮影)。デザインや機能など、マダムがぐっとくるポイントについてリアルにお届けします。今回は北欧スウェーデンの人気自動車メーカーVolvo(ボルボ)の電気自動車、EX30。
まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト

「クルマのある毎日のリアル」をイチ生活者の視点から、メディアで届けるカーライフ・ジャーナリスト。イベントのMCも務め、フレンドリーなキャラから「業界の笑い袋」の異名をとる。女性ドライバーをはじめ運転しない人にも伝わりやすい「今日からできる交通安全」をテーマに、交通安全応援ユニット「OKISHU」(オキシュー)としても活動中。2004年、2005年、サハラ砂漠ラリー完走。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
ボルボの電気自動車EX30で日帰り軽井沢へ【マダムの“ぐっとくるクルマ”試乗 vol.1】_1_2
こちらが、本日の試乗車ボルボEX30。

ひと足はやく秋の足音が聴こえはじめる軽井沢へ、日帰りロングドライブで日常からほんのひと時、解放されてきました。出発地は東京・青山。ドライブの相棒は最新技術が詰まったコンパクトでサステナブルなEV(電気自動車)、ボルボEX30です。

ボルボの電気自動車EX30のステアリングホール。スクエアの独特な形。視界をさえぎらないことを考えてこの形になっているのだそう。
EX30のステアリングホール。スクエアの独特な形。視界をさえぎらないことを考えてこの形になっているのだそう。

EVでロングドライブと聞くと、気になるのはバッテリーが持つのかどうかというところ。でもボルボEX30は1回の充電での航続可能距離が最大560km(WLTCモード)となっており、エアコンを使ったり寄り道をしたりしても、東京ー軽井沢の約370kmほどの往復日帰りドライブなら、途中の充電ナシで大丈夫とボルボも太鼓判を押してくれました。

それなら安心と、都心の通勤ラッシュがおさまりつつある9時過ぎを狙って、いざ出発。お天気にも恵まれ、パノラマガラスルーフで開放的な明るさに包まれたEX30の室内は、はやくも浮き立つ気持ちでおしゃべりが弾みます。

ボルボの電気自動車EX30は圧巻のパノラマガラスルーフ!前から後ろまで全面ガラス張りなので、骨組み的なものがなく、開放感抜群。
圧巻のパノラマガラスルーフ!前から後ろまで全面ガラス張りなので、骨組み的なものがなく、開放感抜群。

というのも、ボルボ史上最小のEVであり、カーボンフットプリントの少ないモデルとなっているEX30は、今までの常識からは考えられないようなトピックがたくさん詰まっているのです。

たとえばEX30にスタートボタンは存在せず、キーをバッグやポケットに携帯して運転席に乗り込めば、それでもうシステムがONになっています。ガソリン車を愛車としている私たちからすると、「本当に乗るだけでいいの?」と最初は戸惑いますが、すぐに「わざわざボタンを押すなんて煩わしいことをしなくていい」というスマートさに慣れることがわかりました。

ボルボの電気自動車EX30は運転席の前に通常あるスタートボタンがない!ダッシュボードはこの上なくすっきり。
運転席の前に通常あるスタートボタンがない! ダッシュボードはこの上なくすっきり。

そしてセンターコンソールに備わる縦型の大きなディスプレイは、Googleインフォテインメントを搭載。ナビゲーションはもちろん、サイドミラーの調整、安全装備の設定など、ほとんどの車両側の操作もこのディスプレイで操作します。その分、インテリアには最小限のスイッチしかなく、スピーカーさえもダッシュボードに集約することで、余計な資源を使わず、製造過程の負荷を抑え、ひいては廃棄物を減らすことにもつながるという、徹底した循環型社会の構築が考慮されたものづくりとなっています。

ボルボの電気自動車EX30の設定や操作のほぼすべてがこのディスプレイの中に。楽なだけでなく、資源削減にもつながっている。
設定や操作のほぼすべてがこのディスプレイの中に。楽なだけでなく、資源削減にもつながっている。

すっきりしているのにどこか温もりのあるインテリアと、心地よいシートの感触に包まれていると、これが多くのリサイクル素材でつくられていることにただただ感心するばかり。雄大な自然を擁するスウェーデンで育まれた環境意識の高さと、スカンジナビアンデザインが融合した次世代の美学に触れ、ドライブしているだけで気持ちが豊かになるように感じます。

軽井沢での目的は、新しいライフスタイル・ブティックホテルとして人気の「ホテルインディゴ軽井沢」で美味しいランチをいただくこと。いつもスマホでやっているように、ディスプレイに向かって名前を言えばすぐにルート案内が出てくるのがとってもラク。もし正式名称が分からなくても、「軽井沢 インディゴ」などとタッチ操作で検索すればOKなのも、今までのナビと違って使いやすいところです。

ボルボの電気自動車EX30のスマホで慣れている音声操作。行き先を告げれば、即ルートを案内してくれる。
スマホで慣れている音声操作。行き先を告げれば、即ルートを案内してくれる。

目的地を設定すると、EX30は到着時にバッテリーがどのくらい減っているか、予測して表示してくれます。もしバッテリーが足りない可能性があれば、ルート上の充電スポットを提案してくれるので安心。時間に余裕のあるドライブなら、そうした充電スポットに立ち寄るついでに、美味しいものを食べたりお土産などの買い物をするというのも、EVドライブの上手な楽しみ方。でも今回は日帰りなので、無充電で帰ってくることを目指して軽井沢まで順調にドライブしていきます。

ところが、高速道路に入った途端に渋滞でノロノロとした流れに。外気温が高いのでエアコンもしっかり使っており、これまでのEVドライブの経験から「ここで予定よりバッテリーを使いすぎてしまうのでは……」とヤキモキしてしまいました。が、EX30はどんどんバッテリーが減っていくということがなく、いたって常識的な範囲内。到着時のバッテリー残量予測もそれほど変わらず、ほっとひと安心したのでした。

ボルボの電気自動車EX30は高速道路でもすーっとすべるようななめらかな走り心地。
高速道路でもすーっとすべるようななめらかな走り心地。

そして、相変わらずおしゃべりに興じているうちに渋滞も解消。スイスイと快調に走れるようになりました。EX30のボディサイズは小さめなので、市街地では小回りが効いて運転しやすいのですが、高速道路での安定感や乗り心地の良さもしっかり感じられるのが魅力的。とくに、エンジン音が入ってこない静かさと、路面の段差などもしなやかにいなしてくれる落ち着いた乗り心地は、助手席でもちゃんと感じられたそう。また、モーターによる力強さとなめらかさのある加速は、山道の上り坂もなんのその。右足をそっとアクセルペダルにのせている感覚でスムーズに走れるので、アップダウンの多い道でもとっても快適でした。

未来を感じさせるデザインが印象的なEV30。
未来を感じさせるデザインが印象的なEX30。
「ホテルインディゴ 軽井沢」に到着! EX30のスマートなボディが映える。
「インディゴ 軽井沢」に到着! EX30のスマートなボディが映える。

こうして到着したホテルインディゴ軽井沢は、環境に配慮した建築デザインがモダンで悠々とした印象。エントランスに停めたEX30が、とても似合っていて嬉しくなります。チラリとバッテリー残量を確認すると、まだ60%以上残っていたので安心してランチへ。涼しげなミストが軽井沢の霧をイメージしているという中庭を抜け、レストランまでの道もちょっとした森の散策気分です。人々が思い思いにくつろいでいる光景が、非日常のゆったりとした時間を感じさせてくれます。

インディゴ軽井沢ロビー棟から水辺を挟んだ反対側がオールデイダイニング「KAGARIBI」。
ロビー棟から水辺を挟んだ反対側がオールデイダイニング「KAGARIBI」。

そんな中でいただいたランチパスタセットは、前菜、パスタ、デザート、ドリンクがそれぞれ美しい器と盛り付けで運ばれてきます。見た目よりもボリューミーで、素材が生き生きとした美味しさに、お腹も心も幸せで満たされました。焼きたての塩パンとフォカッチャは、思わずテイクアウトしたほど。こうして、今まで知らなかった小さな幸せと出逢えると「来てよかった」と心から嬉しくなるものです。今度は何日か滞在してみたいなと思う、素敵なホテルインディゴ軽井沢でした。

  • インディゴ軽井沢「KAGARIBI」のパスタランチコース

  • インディゴ軽井沢「KAGARIBI」のパスタランチコースのサラダ

  • インディゴ軽井沢「KAGARIBI」のパスタランチコースのパスタ

さて、一路東京を目指す前に、長野県に来たら必ず寄りたいスーパーTSURUYAでちょっと買い物。100%リンゴジュースやたくさんの種類があるドライフルーツ、日本のワイナリーの絶品ワインなどをお土産に買い込み、再び高速道路で東京へ。帰路も予期せぬ渋滞に遭遇してしまい、首都高でもちょうど夕方のラッシュに巻き込まれ、最後はゲリラ豪雨に見舞われてしまうという、なかなか一筋縄ではいかないドライブになりましたが、無事に青山に帰り着くことができました。ちょっと心配したバッテリー残量も、まだ13%ほどあるのであと50kmくらいは走れる計算。これなら夜に子どもを駅まで迎えに行く……なんてことがあっても、ぜんぜん余裕です。

ボルボの電気自動車EX30のラゲッジスペースの容量は318リッター。旅や趣味を楽しむのに十分な大きさ。
ラゲッジスペースの容量は318リッター。旅や趣味を楽しむのに十分な大きさ。

しかも、今回の東京ー軽井沢の往復でかかった電気代を計算してみると、2000円を切る安さにビックリ。ガソリン代が高騰している今、走行中のCO2排出がゼロで環境負荷を抑えられることに加えて、コストもリーズナブルというのは嬉しいポイントです。戸建てに住んでいるなどで自宅に充電環境が整えられるのであれば、200V/3kWの普通充電器なら10万円程度で設置可能なので、長い目で見るとランニングコストも差がついてくるはず。今回、帰着した19:30から翌朝7:00まで3kWの普通充電をしたところ、バッテリー残量が62%まで回復したとのことで、翌日でも200km以上は十分に走れる状態となっています。これなら、ドライブが続く日でも安心。EX30がかなりリアルでの実用性が高いEVであることも実感しました。

ボルボの電気自動車EX30

ボルボEX30

・ボディサイズ:全長4235×全幅1835×全高1550mm

・バッテリー容量:69kWh

・乗車定員:5名

・電費:143Wh /km

・価格:5,590,000円

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