白州次郎・正子夫妻が暮らした武相荘で、心のラグジュアリーに触れた休日

東京都町田市にある旧白州邸武相荘で、白洲ご夫妻が大切にした自然が身近にある暮らしを体感してきました。
休日返上で仕事するぞ!と決めていた、とある日曜日。
前日の午後に、友人から
「明日、町田市にある武相荘で骨董市があるから行ってみない?」とお誘いが。

その瞬間、「暇、暇。行く〜」と即決してしまいました(笑)。

「武相荘」は白洲次郎・正子夫妻が愛した暮らしを今に伝える場所。
前々から一度、訪れてみたいと思っていたので
行かない手はないと思ったわけです。
町田市にある、旧白洲邸「武相荘」
小田急線鶴川駅から、交通量の多い大きな道路に出て
道なりに15分ほど歩くと
「武相荘」への案内看板が見えてきます。

左手に曲がり、急な坂道を登ると
深い緑の木々が茂る「武相荘」に到着です。
町田市にある、旧白洲邸「武相荘」で開催された骨董市
年に数回だけ開催されるという骨董市。
和骨董や西洋骨董、大正・昭和レトロの器など
様々な品が並べられていました。

使いやすそうな器や湯呑み、箸置きなど
可愛らしいアンティークに心を惹かれましたが
今回は目で楽しむことにしました。
白洲次郎が高校生だったときに乗っていたクラシックカー 「PAIGE Six-38」
武相荘には、白洲次郎が高校生だったときに
乗っていたというクラシックカー
「PAIGE Six-38」が展示されています。

兵庫県芦屋市の裕福な家に生まれ、17歳でイギリスに留学。
ケンブリッジ大学で学んだ白洲次郎。
第二次世界大戦後には、吉田茂に請われて
GHQとの交渉に当たった人物としても有名ですよね。

日本のダンディズムの象徴でもあり
GHQから「従順ならざる唯一の日本人」と評された次郎は
高校時代から相当やんちゃだったようです。

晩年までポルシェを乗り回していたそうで
本当に車が好きだったのでしょうね。

自分の信じた「プリンシパル(原則)」に忠実な
ブレない生き方は本当に憧れです。
端正な顔立ちが目を引く若かりし頃の白洲次郎の写真
車と一緒に飾られているのが、若き白洲次郎の写真。
涼しい目元に、シャープな顔つき。
白いシャツとジーンズをラフに着こなすその姿は
ため息が出るほどカッコイイです。

日本で最初にジーンズを履いた人として知られる白洲氏。
なんとなく、ジェーム・スディーンに似ていると思いがちですが
実は白洲次郎の方が先に
白シャツとジーンズをファッションに取り入れていたとは!

武相荘の敷地内にある「バー&ギャラリー」への入り口
骨董市を楽しんだ後は
自由に入れる「バー&ギャラリー」へ。

ギャラリーには白洲次郎と正子夫妻の写真も展示されています。
結婚当初の白洲次郎・正子夫妻の写真
若いご夫婦がなんとも瑞々しく
写真からも育ちの良さが伝わってきます。
当時からオシャレ上級者だったのですね。

私は「韋駄天お正」の異名をもち、
自分の目で見て、現地に足を運んで執筆する
文筆家・白洲正子さんのファンでした。

若かりし正子さんの姿を拝見できて
これだけでも来てよかったです。
白洲次郎がマッカーサーに送った椅子のレプリカ
白洲次郎がマッカーサーに贈った椅子のレプリカも展示されています。
アメリカの国旗をイメージさせる
星を配した背面がとてもおしゃれです。
白洲次郎の名言「PLAY FAST」
白洲次郎の名言「PLAY FAST」。こちらは次郎の直筆。
ゴルフの大切な精神である「PLAY FAST」を
日本に広めたのは
軽井沢ゴルフ倶楽部の理事長を務めた
白洲次郎だそうです。

「速やかにプレイせよ」という信条は
ゴルフ以外にも通じますよね。
いろいろ迷いが生じた時は
この言葉(さっさとやれ!)を思い出して
フットワーク軽く、挑戦できる自分でありたいと思いました!

緑に囲まれ、落ち着いた雰囲気の武相荘
緑に囲まれ、落ち着いた雰囲気の武相荘
白洲次郎は第二次世界大戦に参戦した当初から
日本の敗戦を見抜き、鶴川に移住。

戦争になれば食料がなくなるから、田舎に引っ越して農業をやろうと決め
かやぶきの古民家を買い取って、農業に従事したそうです。

夫婦の住まいとなった「武相荘」とは、武蔵と相模の間にある土地と
「無愛想」をかけて名付けたという、白洲氏らしいエピソードも残っています。
今では珍しい茅葺き屋根の家
今では珍しい茅葺き屋根の家
今でこそ、鶴川は新宿からそう遠くはありませんが
当時としては、あの白洲次郎が
鶴川村の古民家に移住!と、相当驚かれたことでしょう。

時代に流されず、自らの価値観で即決して行動する
次郎だからこそ、今を生きる私たちにとっても
憧れであり続けるのですね。
白州次郎・正子夫妻が暮らした武相荘で、心のラグジュアリーに触れた休日_1_11
ご夫妻が暮らした旧邸は、ミュージアムとして公開されています。

多くの人をもてなした客間スペースには
重厚で座り心地の良さそうな革のソファがあり
吉田茂が使用したステッキなどがさりげなく置かれています。

館内には、「葬式不要、戒名不要」と書かれた
白洲次郎の遺書も展示されており
その潔い生き様に触れることができた気がしました。
白州次郎・正子夫妻が暮らした武相荘で、心のラグジュアリーに触れた休日_1_12
私が感動したのは
正子さんが実際に執筆していた書斎が
当時とほぼ変わらない状態で見学できたことです。

本棚には様々なジャンルの本がたくさんあり、
本棚に収まりきれない本が床にまではみ出していたり。

お気に入りの座布団や膝掛け
正子さんが愛した机や家具なども興味深く
「自分が安心できるもの」を基準に選んだという
彼女ならでは美のポリシーが伝わってきました。
初秋の武相荘
初秋の武相荘
ミュージアムの奥には豊かな自然に囲まれた
散策路があります。

玄関を出たら、こんなにもすぐそばに
自然の恵みが感じられることに、
お二人は真の幸せを感じておられたのかもしれません。

四季折々の自然の美しさを慈しみながら
農業に勤しむ暮らしを、心から楽しんでいらしたのでしょう。
白州次郎・正子夫妻が暮らした武相荘で、心のラグジュアリーに触れた休日_1_14
畳が敷かれた囲炉裏のあるお部屋は
先ほどの客間とはまた違う、家庭的な雰囲気。

正子さんがお召しになった
お洋服や着物などもいくつか展示されており
どれも今なお、素敵と思えるものばかりでした。

今回、初めてお二人が暮らしたお宅を拝見し
物質的、消費的な豊かさだけではなく
自然に囲まれ、好きなものや人に囲まれて暮らす
心豊かな日常を感じることができました。
武相荘に併設されているカフェ・レストラン
敷地内にはレストランも併設されており
白洲家のレシピを再現した海老カレーや親子丼などが楽しめるようです。

お昼は他で済ませてきたので
私たちはお茶をすることにしました。
コーヒーとチーズケーキのセット
コーヒーとチーズケーキをいただきながら
「豊かな暮らしとは何なのか」と
珍しく、真面目な話をする私たち(笑)。

20歳の頃からの付き合いの友人とは
「私たちも訪れる場所が変わったね」なんて話しておりました。
武相荘のおしゃなカフェの店内
こちらのカフェ・レストランは大人気で
名前を書いて、順番が来るのを待ちました。

古民家を改装した店内は
とても落ち着いた温もりが感じられ
心もお腹も満たされました。
武相荘のカフェで待つ女性
やっと訪れることができた武相荘は
想像していた以上に素敵な場所でした。

今回は秋でしたが
また違う季節に再訪したいと思います。
武相荘の入り口
特別なものではなく
日常の大切さを再発見できた
貴重な1日となりました。

心のラグジュアリーを目指すエクラ世代にこそ
お勧めしたくなります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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東京都在住。ライター兼ディレクター。夫と社会人の息子の3人家族です。旅、食、インテリア、コーヒー、映画、神社巡りに興味津々!自分の楽しみや新しい挑戦、日々の気づきなどを楽しく発信していきたいです。

Instagram:chikachika_i

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