柴田陽子さん「伝える力を発揮すれば、価値あるものは必ずブランドになる。ものも、場所も、人も」【エクラ トップリーダーズvol.10】

好きである。憧れている。信頼できる。共感する。人々のよい感情に支えられて成立するのが「ブランド」。その価値形成に取り組んできた、有限会社 柴田陽子事務所/株式会社 BORDERS at BALCONY 取締役 兼 ブランドプロデューサーの柴田陽子さん。ブランディングの第一人者は自らの手法を磨き上げ、全身全霊でプロジェクトに取り組む。嘘のない、まっすぐな歩みが、伸びた背すじに表れている。

有限会社 柴田陽子事務所/株式会社 BORDERS at BALCONY 代表取締役 兼 ブランドプロデューサー
柴田陽子さん

有限会社 柴田陽子事務所/ 株式会社 BORDERS at BALCONY代表取締役 兼 ブランドプロデューサー 柴田陽子さん

’13年に自ら立ち上げたアパレルブランド「BORDERS at BALCONY」。活動的でエレガントなラインは、柴田さんの生き方に通じる

profile

’95~ 大学卒業後、外食企業に入社。役員秘書を3年間務めたのち、化粧品会社へ出向しネイルサロンの立ち上げに携わる。

’00~ 本社の事業開発部に戻り、新規レストランのプロデュースを手がける。’03年にレストラン開発会社の取締役に就任。

’04~ 独立し、柴田陽子事務所を設立。ブランドプロデューサーとして商品、サービスの企画、施設やコーポレートのブランディングなどに着手する。

’13~ アパレルブランド「BORDERS at BALCONY」を立ち上げ、デザイナーを務める。

’21~ ブランディング思考を学ぶオンラインスクール「Shibajimu Academy」を開校。

後悔が怖いから投げ出すことはしない

20年余りで手がけたプロジェクトは400件以上。ローソンの「Uchi Café SWEETS」の開発や、商業施設「グランツリー武蔵小杉」の総合プロデュース、’15年のミラノ国際博覧会日本館のレストランプロデュースに老舗・東京會舘のリニューアルなど、暮らしに身近な商品から施設空間、さらには会社や組織自体まで、ブランドプロデューサー・柴田陽子さんが手がける領域は実に幅広い。

「ブランディングは、ゴールイメージをもって対象物を愛されるものにする作業。謙虚さが美徳とされる日本では見せる力、伝える力の発揮が遅れていましたが、ブランドになりうるものは、世の中にまだまだたくさんある。この思考が世の中に行き渡れば、国の力になるブランドはさらに生まれると思っています」

広告代理店の出身ではなく、そのメソッドは独自に生み出し、磨いてきたもの。外食企業の社員時代、「繁盛するレストランをつくる」というひとつの課題を担ったことから、今に続く挑戦が始まった。

「最初はヒットを生み出すんだという気持ちでしたが、そのうち、長く続く価値をつくれるようになりたいと思いはじめた。そうして、ブランドはどうつくるのか、そもそもブランドとは何なのかという研究が始まり、自然に領域が広がりました」

ブランディングはファンタジーではない、と自身がいうように、正しい戦略を立ち上げて実践し、成果を出すには、さまざまな知識や能力が要求される。柴田さんのすべての時間は、その実現に捧げられているといっていい。

毎朝5時に起床し、1時間運動したのちに読書と勉強。8時からの執務時間はできるだけ社員とともにアイデアを考え、アドバイスを行う。夜にはクライアントやさまざまなヒントをもたらす人々と会食。タフな日々を繰り返す原動力をたずねると、「怖がりだから」という意外な答えが返ってきた。

「手を抜いてあとあと後悔するのが、すごく怖い。だから、がんばらないで投げ出す、あきらめる、知らんぷりをする、ずるをするということができないんです。能力、才能にまったく自信はなく、私にあるのは、考えた量とがんばってきた時間だけ。現在も年間30案件ものプロジェクトを手がけ、そのたびに今度こそ完璧なブランドを、と目ざしますが、一度も完璧にできたことはありません。理想の高さは、ときに困難を呼びますが、仕事を続けていける理由でもありますね」

働いて働いて働いて働いて、働く――先般誕生した日本初の女性首相がこう宣言したとき、海外留学中の息子たちから「やっとママが理解される時代が来たね」というメッセージが届いたという。

「ゆるく生きて今の自分を愛そう、というようなアドバイスのほうが受け入れやすいだろうとは思います。でも『もっとよくなるよ』と、私は背中を押したい。何歳になっても挑戦はできるし、新しい感性と思考を身につけて人の役に立つ、それこそが人生の醍醐味だと思うので」

この国のブランディングも、いつか手がける日が来るのでは? そう問うと「頼んでくださるなら」と笑顔を見せた。

 柴田陽子さん 独自のメソッドを惜しみなくシ ェア。事務所=シバジムのブラン ディング理念を網羅した「Shibaji mu WAYBOOK」とアイデアノー ト「Shibajimu WAYNOTE」は、 アカデミーのオンラインストアで 販売 

独自のメソッドを惜しみなくシェア。事務所=シバジムのブランディング理念を網羅した「Shibaji

mu WAYBOOK」とアイデアノート「Shibajimu WAYNOTE」は、アカデミーのオンラインストアで販売 

柴田陽子さん ブランド理念を詳説した書籍(宣伝会議刊)も好評発売中 

ブランド理念を詳説した書籍(宣伝会議刊)も好評発売中 

柴田陽子さん 社長室のデスクにて
社長室のデスクにて。執務中ここにいる時間は短く、主には大テーブルにスタッフと集い、企画のブラッシュアップを行っている

motto

柴田陽子さん モットーは「道の真ん中を歩こう」

あなたは、いつも道の真ん中を歩いているよね――かつて別のふたりからそう評されたことが、今は自身の生き方の指針になった。ブランドづくりも生き方も、正攻法で、胸を張って。

合わせて読みたい
Follow Us

What's New

Feature
Ranking
Follow Us