年老いた親、ひとりになった親etc...人の数だけ事情があり、親のケアの仕方も人それぞれ。アンケートで多かった、読者が気になっていることに専門家の太田差惠子さんがズバッと解答。今、やっておくべきこと、知っておくべきことはこれ!
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【あなたの不安に専門家が答えます!】
Q1 まだ子供が手を離れず、仕事も忙しく、なかなか実家に帰れません。親から連絡がないからといって安心していてはダメでしょうか。
A「連絡がないのは無事の知らせ」が通用するのは若い世代。親世代は何かあっても連絡がくるとはかぎりません。
些細なことでしょっちゅう連絡してくる親もいますが、どちらかというと子供に心配をかけたくないと、体調不良や日々のちょっとしたトラブルなどをいわない親のほうが多いようです。ですから、親が老いてきたなと思ったら、用事はなくてもこまめに連絡するなど、コミュニケーションは増やしておいたほうがいいでしょう。でもその方法や頻度については、親の状況や、親子関係によってそれぞれ。電話や訪問の回数に、これといった正解はありません。大事なのは人と比べることなく自分なりのルールを決め、自分のペースでコミュニケーションをはかること。親に対しても「気兼ねすることなく連絡してくれていいんだよ」といったメッセージを伝え、話しやすい雰囲気をつくっておくことが大切です。
Q2 親がまだ元気なので、親が何をどのように望んでいるのか、話を切り出せません。
A 元気なうちでないと親との話しあいはできません。早めに話しあうことがむしろ親孝行です。
確かに親が元気なときに、将来どうしてもらいたいかをいきなり聞くのはむずかしいかもしれませんね。でもエクラ世代だったら、そろそろ自分の老後についても考える時期。「私自身はこういう老後を送りたいけど、お母さんはどう?」と聞いてみてはどうでしょう。また、親も知っている自分の子供時代の友人の話を持ち出して「○○ちゃんのお母さんがね」と具体例を出して話を切り出すのも効果的です。何かあってからではますます聞きにくくなります。親が元気なうちにぜひ話しあっておきましょう。この記事を親に見せて「私が読んでいる雑誌にこういうのが出ててね」と、話のきっかけづくりに利用するのもいいかもしれませんよ。
Q3 衰えてきている親が心配ですが、今のうちから相談できる窓口はありますか?
A まずは、地域包括支援センターに行ってみましょう。親の住む自治体の役所から介護サービスのしおりも取り寄せておきましょう。
全国の各自治体に地域のお年寄りが安心して暮らすことをサポートする地域包括支援センターがあります。ここは実際に介護が始まってから行くところだと思っている人も多いと思いますが、今のうちに行って相談しておけば、いざというときにも力になってくれます。また、各自治体によって介護サービスは異なるので、受けられるサービスを一覧にした印刷物を事前に取り寄せて、内容を把握しておくといいでしょう。
Q4 ひとり暮らしの親に何かあったときが心配です。
A 緊急通報システムを利用しましょう。
行政には介護保険以外にもたくさんサービスがあります。その代表的なもののひとつが緊急通報システムです。システムの内容や利用できる条件、料金などは自治体ごとに違いますが、ペンダント型のボタンを押すだけであらかじめ決められた場所に通報できるというもの。ひとり暮らしだと入浴中のトラブルが心配ですが、お風呂に入るときに脱衣場に置くクセをつけてもらうというのもひとつの方法です。
Q5 遠方の親から同居してほしいと頼まれました。仕事もあるのでどうしたら?
A 原則、同居はしないのがベターです。介護離職はおすすめできません。
親には親の人生があるように、私たちには私たちの人生があります。子供がいない高齢者でも介護システムを利用すれば何とかなる時代。一方、エクラ世代が仕事をやめると、たとえ復職できたとしても収入は大きく減少します。同居が無理だと思ったら早めに親に伝えておきましょう。親にとってもいざ介護が必要になってからよりも、元気なときにいわれたほうが心構えができ、そちらのほうが親孝行です。
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Q6 介護の費用は誰が払うものなのでしょうか? 親の年金額や貯金額も知らないので不安です。
A 親の資金から払うのが原則です。せめて親の年金くらいは知っておきましょう。
介護の目的は子供のためではなく、親の自立した生活を応援することです。ですからそこにかかる費用に親本人のお金をあてるのはあたりまえのこと。そのためには、親がどのくらい貯金をもっていて、年金額がいくらかを知っておく必要があります。仕事をしながら母親とふたり暮らしをしていた40代のある女性の話ですが、母親は日ごろから「私に何かあったら近くにあるあの施設に入るから、あなたは仕事をがんばってね」といっていました。ところがいざというときに入居について調べてみたところ、母親の年金ではその施設には入れないことが判明。親のお金に無頓着だったことを女性はとても悔やんでいました。金額によって選べる施設やサービスが変わるなど、残念ながら介護にはお金しだいという側面もあります。せめて親の年金の額くらいは知っておきましょう。
Q7 親の介護にはいくらかかるのでしょうか?
A いくらかかるのかではなく“いくらかけるか”です。
多くの人が介護にどのくらいの金額がかかるか不安を感じています。でも、どういうサービスを利用してどういう介護をするかは、数ある選択肢の中からそれぞれが選ぶことになります。入院したときに個室にするか6人部屋にするか、遠距離で通うときにどういう交通手段をとるかによっても、その金額は違ってきます。ですから「いくらかかるか」ではなく「いくらかけるか」、もしくは「いくらかけられるか」。親の収入源が年金であれば、その中から介護にいくらかけられるかを検討し、その範囲内での介護を試みましょう。
Q8 介護保険で受けられるサービスにはどんなものがありますか?
A 在宅で受けるサービス、施設で受けるサービス、さらにその中間的なサービスも。
大きく分けると左の表のように分けられます。介護が必要になったとき、まず地域包括支援センターで専門家を紹介してもらい、ケアプランを立ててもらいますが、親が元気なうちにあらかじめこうした知識を得て、シミュレーションしておけば、いざというときに慌てなくてすみます。
Q9 遠距離で介護が必要になった場合、子供の役割はなんですか?
A “司令塔”です。丸投げとマネジメントは異なります。
「通って入浴や食事トイレをサポートすること」と考えている人もいるかもしれませんが、遠距離の場合、親の家に長期滞在しないかぎりはむずかしく、介護の主体となるのは介護サービスとなります。でもサービスに丸投げするということではありません。司令塔となってケアマネジャーや医師と相談し、サービスや治療方法を決定するのが子の役割です。
Q10 施設介護を選びたいけれど、どんな施設があって、料金の相場はどれくらい?
A 福祉目的の高齢者施設には4つの種類があります。
ひと口に高齢者施設といっても、その内容はさまざま。営利を目的にしたところと福祉(非営利)を目的としたところがあり、福祉を目的にした高齢者施設は、左の4つに大別できます。施設によっては入居者の前年度の所得に応じて料金が軽減される制度もあり、国民年金で暮らす親でも払える額のところもあります。「収入が少ないから施設は無理」と思い込まず、地域包括支援センターなどで相談してみてください。