「世直しモンスター」にならないための怒りの鎮め方&コントロール術

世の中の非常識を目にすると、つい感情が抑えられず口に出してしまう「世直しモンスター」になっていないだろうか!? そんな怒りと上手に向き合い、気持ちを落ち着かせる法を精神科医がアドバイス。

■もの申したいときに注意すべきこととうまいいい方

相手を傷つけず、いったあとで 自分の心が凹へこまない、上手な 怒り方のコツを片田先生が伝授!

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1.自分が注意すべき状況かを判断する

「駅のホームで歩きスマホをしている人がいて危険」「スーパーで子供が生鮮食品を手でさわりまくっている」……。すぐやめさせたい状況ではあるけれど、こうした場合、注意する義務はあなたにではなく、駅員や店員にある。逆ギレによる暴言や暴力を避けるためにも、責任ある立場の人間を探して注意してもらうことをまず考えて。

2.シンプルに実害だけを訴える

例えば、人が引くキャリーバッグの車輪が足に当たったら、「そんな引き方をするなんて常識がない」と相手を責めたくなるもの。だが、非難されたと感じると素直に謝れない、反論したくなるという人もいる。相手の人間性の是非には触れず、「痛い、危ない、引き方を変えて」など実害をシンプルに訴え、改善してもらうことが肝心だ。

3.情報をもつ

非常識な行いを諫(いさ)めるとき、社会のルールを前面に押し出すことは役に立つ。走行禁止レーンを走る自転車とぶつかりそうになったら「ここは自転車走行禁止です」、喫煙禁止の区域でタバコを吸っている人がいたら「このエリアは路上喫煙禁止です」など堂々と注意を促したい。自分が行動する区域の公共ルールをできるだけ把握しておこう。

4.怒りに任せない

感情的になって大声を出したり、怒りで上ずったような声で注意をするのはNGだ。相手を過剰に刺激して暴力をふるわれたり、「たいしたことないヤツ」となめられたりする可能性がある。低い声でしっかりと語り、相手が子供であってもていねいな言葉使いを心がけよう。怒るときこそ「品よく冷静に、ただしキッパリと!」の心構えで。


■カッカしてつらいときの上手なクールダウン方法

怒りに任せて行動すると、あとで後悔することも。まずは頭をクールに冷やす4つの方法を試して。

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1.誰かに話す

ムカムカしたら、誰かに話すのも怒りを解消するひとつの手。ひとりのときはLINEなどで、「今、非常識なことがあって……」など、収まらない気持ちを親しい人に向けて文章にしてみると、案外スッキリする。時には、「あなたも悪かったのでは?」と冷静な分析レスが戻ってくることもあるが、それを自分の行動を振り返るきっかけに。

2.相手をこっそり哀れんでみる

「金持ちケンカせず」ということわざもある。「非常識な振る舞いをするのは心が貧しいからだ」と相手をコッソリ哀れみ、「こういう人と同じレベルになって言い争いをしたくない」と、心もちを高く保つ。そうすれば自然と怒りが収まってくる。

3.自分への過大評価を反省する

「怒りは自分自身への過大評価から生じる」(セネカ)という金言もある。今感じている憤りが「私は正しい!」「私は間違っていない!」という、上から目線=傲慢さから生まれていないか。実は自分も、相手と同じような非常識な振る舞いをしているのでは?……など、時にはわが身を冷静に振り返ってほしい。自分で判断できないときは、家族や友人に意見を求めると視野が広がり、怒りをコントロールしやすくなる。

4.自分が幸せになる

怒りをだらだらと引きずるのは時間やエネルギーのむだ使いになる。不愉快な思いをしたときは何か楽しいことを企画して、すっきりと忘れてしまうことも必要だ。「電車で失礼な人に遭あったから、今夜は最高級のシャンパンを買って飲んじゃおう」「明日、サロンに行って新しいネイルに変えよう」など、自分を楽しませて幸せな気分にしてあげよう!

教えてくれるのは…
片田珠美先生
かただ たまみ●精神科医。新刊『すぐ感情的になる人』(PHP新書)や『怒れない人は損をする!』(新潮社)ほか、怒りと上手に付き合う方法を解説する著書多数。

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