「アラフィー女性は目上の人間を敬おう、品格をもって行動しようなどの伝統的価値観を両親から受け継いで育っています。その教えに経験が積み重なって人生観や行動の規範が形づくられてきました。ところが今は社会的な思いやりの気持ちが失われ、損得勘定で行動する人が増えている。そういう人たちが読者世代の価値観や人生観とは異なる言動をすると、自分が正しいと信じていること、さらには自分の人生までが否定されたような感覚になり、それが怒りに結びついてモンスター化する場合も。明らかなマナー違反に対する憤りの一方で、『正しいと認められたい』という欲求が怒りを招いていないかと考えてみることも必要です」
女性ホルモンの分泌が減るという身体面の変化も、感情に影響を及ぼす。「ホルモンのバランスがくずれるとさまざまな不定愁訴が起こります。体調が悪いと誰でもメンタルが不安定になりがちですが、更年期はその症状が長引くのでよけいにイライラしやすくなります。なかでも、冷えのぼせといって、下半身は冷えているのに顔が火照って熱くなる症状が出る人は要注意。ふだんは軽く流せることに、過剰な怒りの反応が出てしまう危険があります」
ネット社会の発達も、“怒りやすい人”が増える状況を後押ししている。
「問題を起こした人がいるとネットの中でいっせいにその人をたたきはじめる、そうやって黒い感情を吐き出す人が大勢います。それを日々目の当たりにしていると、自分も同じようにしていいのだと、怒ることへのハードルが低くなってしまうのが心配ですね」