「第2回文芸エクラ大賞」注目賞 本読みのプロが推薦!今読むべき作品 五選

昨年初めて開催して、大好評を博した文芸エクラ大賞。エクラ世代の本の目利きたち――文芸評論家、書評ライター、書店員が推す本をご紹介。注目賞は個性派ぞろいの充実作ばかり!
【4人の選者】
●文芸評論家 斎藤美奈子
本の執筆だけでなく、新聞や雑誌など多くの媒体に切れ味鋭い評を寄せ、幅広い層に支持されている。
●書評ライター 山本圭子
出版社勤務を経てライターに。女性誌ほかで、新刊書評や著者インタビュー、対談などを手がける。
●書評ライター 細貝さやか
本誌書評欄をはじめ、文芸誌の著者インタビューなどを執筆。特に海外文学やノンフィクションに精通。
●書評担当編集 K野
これまで渡り歩いたすべての女性誌で書評欄担当を経験。女性誌ならではの本の企画を常に思案中。
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1.『三つ編み』(レティシア・コロンバニ)

インド、イタリア、カナダ。それぞれの地で理不尽な運命と戦っていた3人の女性たちが“髪”を通してつながっていく。32カ国で翻訳が決定したフランスのベストセラー。日本でも数々の賞を受賞した話題作。

『三つ編み』レティシア・コロンバニ 齋藤可津子/訳 早川書房 ¥1,600
2.『家族終了』(酒井順子)

3歳上の兄が亡くなり、生育家族を失った酒井さん。恋人がいた母親、彼女を許した父親を振り返りつつ、同居人(男)との現在とこれからを考える。墓問題や皇室への考察などを交えてつづった家族エッセイ。

『家族終了』酒井順子 集英社 ¥1,400
3.『月まで三キロ』(伊与原新)

自殺志願の男が宇宙に詳しいタクシー運転手の思い出話を聞き、自分を見つめ直す表題作など、6編を収録した短編集。大学院で地球惑星科学を専攻していた作者の目線には、懐の深い優しさがにじんでいる。

『月まで三キロ』伊与原新 新潮社 ¥1,600
4.『夢見る帝国図書館』(中島京子)

「図書館が主人公の小説を書くのはどう?」。上野で出会った喜和子さんにそういわれた作家の「わたし」を軸に、日本初の図書館の歴史と戦後を生きた女性の歴史を描く。本がある幸せを感じる長編小説。

『夢見る帝国図書館』中島京子 文藝春秋¥1,850
5.『平場の月』(朝倉かすみ)

印刷会社で働く青砥は、検査で訪れた病院の売店で中学の同級生・須藤と再会。昔ふられた彼女と付き合うようになるが、須藤の重病が発覚し……。つらい過去を背負った者同士だからこそ成立した純愛小説。

『平場の月』朝倉かすみ 光文社 ¥1,600
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