防災対策、具体的にどう考えたらいい?自分なりに考える流れをレクチャー

災害発生後になるべく早く日常を取り戻すためには、日頃から自分なりに防災対策を考えておくことが重要。具体的な考え方を防災指導の専門家・三平洵さんに教わった。

【自分なりの防災対策を考える流れ】

防災対策

1.居住地の性格を知っておく

ハザードマップで自宅周辺の地形を知り、どんな災害に弱いかを確認する。避難場所だけでなく、配給食や水を受け取れる、避難所や災害時給水ステーションもチェックしておく。

2.住まいについて知っておく

自宅の築年数や工法などから耐災害性を調べておく。戸建ての場合は、耐震性診断を受けておきたい。避難生活は自宅がベストだが、むずかしければ避難所利用、遠方避難などを検討。

3.非常時の連絡方法について知る

災害発生時に電話回線は通じないので、LINEなどのSNSやメールなど、ふだんから家族間で利用するものを決めておく。災害用伝言ダイヤル171の登録用番号は紙で共有するように。

4.備蓄や家具の固定、保険加入などの対策を

家族の命と家財を守るための対策を具体的に検討する。持ち家の場合、地震保険は加入するほうがよい。また災害発生後の治安悪化もありうるので、貸金庫を利用しておくのも手。
地震

ふだんの延長でできることを防災対策の指針に

具体的な対策についてどんなふうに考えていくとよいのだろう?
「まず、自宅で避難生活を送ることを大前提として考えましょう。人間にとってもペットにとっても、避難所よりもはるかに生活ストレスが少ないですから。そのためには自分の住んでいる土地と建物がどの程度安全か、知る必要があります。水害は地震と違って事前に察知できるので、大事なものを2階に上げたり、一時的な避難の準備をしておくといいでしょう。あとは、非常時の連絡方法を家族間で共有し、備蓄の確保や家の中の安全性を高めること。特別なことをするというよりは、ふだんの生活に無理なく取り入れられることを検討してください」

それは例えばどんなこと?
「マンションですと、エレベーターが止まったときの物品の搬入が心配ですよね。ふだんからウォーターサーバーや食料品の定期便を利用しておくと備蓄を兼ねられます。連絡手段も、ふだん使っているSNSやメールをベースにして、災害用伝言ダイヤル171に慣れておけばOK。ライフラインが止まった状況での健康維持で重要なのは、慣れた味つけの温かい食事をとることと、適度な水分補給をしてトイレを我慢しないこと。そのためにはカセットコンロと携帯トイレは欠かせません」

被災したあとに重要なことはある?
「必ず罹災証明書を発行してもらいましょう。それによって、災害義援金や被災者生活再建支援制度を受けられます。ただし行政の審査には時間がかかり、審査が1回ですまないことも。持ち家のかたは、審査から支払いまでが迅速な地震保険に加入を。資金が多いほうが生活再建の選択肢も増えます」

ふだんの生活に近い避難生活と、そこから日常に戻るために必要なことを検討して、自分なりの防災対策を!
教えてくれたのは……
一般社団法人地域防災支援協会代表理事 三平 洵さん

一般社団法人地域防災支援協会代表理事 三平 洵さん

イオタ代表取締役。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士修了。東京都総務局総合防災部主催の講習会で講師を務めるほか、企業・地域行政向けの防災指導、ソリューション事業を行う。『シニアのための防災手帖』を監修。
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