「脳内には、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどさまざまな神経伝達物質があります。これらのうち、どれかひとつが過多になったり少なくなったりしてバランスがくずれると、感情のコントロールができなくなってしまうんですね。不安とは、このような脳症状なのです」
なかでも、エクラ世代の不安感には、特徴があるという。
「これといった理由がないのに、モヤモヤと不安を感じてしまうケースが多いのです。これは更年期に向けて女性ホルモンのエストロゲン値が下がってくることに関係しています。エストロゲンとセロトニン神経はリンクしているので、エストロゲン値が下がるとセロトニンの分泌も少なくなってしまう。つまり、神経伝達物質のバランスがくずれてしまうんです」
年齢を重ねる過程での、ひとつの生理現象。そう考えると少し気持ちが軽くなるかも……。
「仕組みが理解できれば、悶々と思いつめるより『セロトニンが足りないならどうしたらいいのかな』と考えるほうが前向きですよね」
そうはいっても、家庭や家族、仕事など、エクラ世代は悩ましい問題を多く抱えがち。
「エクラ世代は先に述べたような身体面だけでなく、子供の巣立ちや親の高齢化、仕事では責任のある立場に立ったりと、環境面でもストレスが多い世代。ストレスを感じやすいと、不安も感じやすいと解釈していいでしょう」
姫野先生によると、ストレスや不安は、感じやすい人とそうでない人が見られるそう。
「感じやすさに、遺伝はありません。ただ、母親の影響は大きいと考えられます。心配性の母親だと、子供もその影響を受けやすいものです。また、自己否定的な人や完全主義で厳しい人も、セロトニンをたくさん消費してしまいます」
エクラ世代は、多少の不安を感じてあたりまえ!くらいの気持ちでいてもいいのかもしれない。
「まずは、生活や食事から体を整えましょう。体が整えば、不安の軽減にもつながり『なんとかなるだろう』という気持ちになります。眠れないなどの症状が2週間以上続くようであれば、受診をしてください」