「ああ、それはやり方を間違えていますね」と、いきなりバッサリ斬ってくれたのは、アンガーマネジメントの達人、いつも穏やかな安藤俊介先生。
「その6秒は、何も考えないのがポイントです。怒りを反芻するのではなく、6秒で、自分を冷静に立ち返らせるのです。基本として、怒りをコントロールするには、衝動→思考→行動の3つのステップがあります。『6秒待て』は第一段階の衝動のコントロール。条件反射的に感情を爆発させないようにします。次が、思考のコントロール。『果たしてこれは、本当に怒るべきか?』と判断することです。そして『このケースは怒るべき』と判断したら、行動のコントロールを行いつつ、怒りを的確に相手に伝えます」
そもそも、“怒り”とはなんなのか? 正直、同じことをされても、場合によって、あるいは相手によって怒りの感情がわかないことも。
「では、ライターを想像して、怒りを炎だと考えてみましょう。炎を燃やすために必要なのは、まず、着火石をこすり合わせて火花を散らすこと。もちろん、それだけでは炎は上がりません。そこには、火花を炎に変えるエネルギー=ガス、が必要になりますね。……さて、この着火石をこすり合わせるスイッチになるのがあなたが考えている“べき”が裏切られる事態。それを炎に変えるガスが、ストレスがたまっている、疲れている、不安、つらいなどのマイナスな感情、状態なのです」