「質感のいい肌」を創れば、自ずと見た目の美しさはついてくる、あえて、そう断言したいのです。むしろ、見た目の美しさだけを追うよりも、ずっと「愛すべき肌」になれる、と。たとえば、あまり眠れなかった朝の肌。たとえば、疲れて帰ってきた夜の肌。ランチ後もディナー前も。年齢を重ねるほどに、鏡の中の自分に溜息をつく機会が増えたと感じているのは、きっと私だけではないと思います。目の下のたるみ、フェイスラインのもたつき、目尻やほうれい線の深いしわ…、なかったはずの「サイン」が記録され、記憶されていく焦りや恐れから、スキンケアに余計な力が入る。本来のスキンケアの意味や価値を忘れ、必要以上のスピードやドラマを求めていることに気づかされるのです。あれっ、そんな自分って、美しかったっけ?
スキンケアは、質感のいい肌を育てるためにあると捉え方を変えてみませんか? 質感のいい肌とは、滑らかで柔らかくてハリや弾力がある肌。豊かな表情を受け止め、跳ね返し、さらに豊かな表情を誘う肌です。それこそが、未来永劫育ち続ける美しさと信じて。
ーーー文・松本千登世