歴史も恋もこの漫画から学んだ!50代女性懐かしの漫画7選【ウェブエクラ編集長オサニャイの「これ、いただくわ」#20】 

「あのマンガのおかげで歴史がわかった!」というコミックに出合えたことって、本当に幸せだったと思います。そして、そんな「歴史ロマン」、歴史だけでなくて、じつは自分の恋愛観にも影響を及ぼしている気がする……。50代なら、きっと読んだ、はまった、泣いた!今も輝く作品を7つ、私物から選んでみました!
ウェブエクラ前編集長 オサニャイ

ウェブエクラ前編集長 オサニャイ

50代女性のための雑誌&ウェブメディア「エクラ」ブランド統括。北海道出身。蟹座、B型。愛するもの/ワイン、日本酒、エスニック料理全般、肉、鮨、北海道産の食材、映画、海外ドラマ、本、マンガ、旅行、フィギュア観戦、美容。ネコチャン。
コミック表紙
毎年、受験シーズンになると「ああ、あのマンガのおかげで、歴史や人物の関係が理解できたんだよなあ!」と感謝の気持ちでいっぱいになるのが、これらの珠玉の作品です。
マンガ好きの50代の女性ならきっと、今日のこのラインナップに「わかる!わかる!」ってなるんじゃないか。そう思って、本棚から私物のコミックスを取り出しました。かなり古いものがありますが、どれもオサニャイの宝物です。現在は装丁が新しくなっていたり、一部、版元がかわったものもあるようですので、最新の情報については文末にリンクをつけておきますので。

(写真のコミックスは、私が大人になってから買いなおしたものがほとんどで、いちばん最初に読んでいたころのものではない場合もあります。ご了承ください。)

さあ、週末はこのコミックス、読み直ししちゃおうかな! 歴史ロマン、いただくわ!


ベルサイユのばら 表紙
自由、平等、博愛。
「ベルサイユのばら」(池田理代子)から学んだ歴史、それはフランス革命でした。子供にとって、初めてのヨーロッパの話。ベルばらのおかげで、この時代の歴史の流れはなんとなく把握できるようになりましたよね。でも憧れたのはやっぱり、貴族の暮らし。かわいいマリーアントワネット、夜な夜な繰り広げられる華麗な舞踏会、軍服に身をつつんだブロンドの麗人、オスカルさま(今だに「オスカル」と呼び捨てにはできない)。

「フランスっておしゃれ!」ーーー 今のアラフィーが少女だったころ、刷り込まれたことです。おそらくどの世代よりも、50代女性はフランスが好きだと思います。「フランス語、かっこいい!」とフランス文学科を目指したり、「フレンチカジュアル、好き!」とアニエス・ベーに夢中になったり、「おしゃれはシャネルからよね!」とシャネルのバッグに憧れたり。それ全部、私だよ。

そして「愛は、甘く、強く、尊く、気高い」と教えてくれたのも「ベルばら」でした。ベルばらが「週刊マーガレット」で連載されていた当時、私は小学生。まだ出来上がっていなかった「恋愛観」が、ベルばらによって大きな影響を受けてしまいました。それは「恋愛とは、激しくなければならない」という思い込みです(笑)。このかなり偏った恋愛観によって、その後の私が苦労したことは、ここには詳しく書きません(笑)。

夢中で読んでいたころは、アンドレの身分の差を越える激しい想いや、情熱的な行動を素敵だと思っていました。しかし。今あらためてベルばらを読むと、あれれ、フェルゼンのほうが素敵じゃない?「ものたりないなあ。ちょっとつまんない」とすら思っていたのに、あらためて読み直してみると、順位が入れ替わっていました。「アントワネット一筋。なにがあっても彼女を見放さず、彼女の家族までふくめて逃亡の手助けをしようとする」フェルゼン伯。たとえ結ばれなくても、生涯をかけてひとりの女性を見守り支える愛。こっちのほうがいいと、今は思うんです。みなさんはいかがでしょう?

本の帯も残っていたので、そのまま撮影させていただきました。宝塚でも何度も上演されていて、世代を超えて、愛されている作品だと思います。
あさきゆめみし表紙
はい、古典いきますよ、古典。「あさきゆめみし」(大和和紀)のおかげで、「源氏物語」を知った、理解した、のは間違いないです!古文のテストなどで「源氏物語」のワンシーンがでてきたときには「よっしゃ、勝った!」と思ったものです。古文そのものはわからないところがあっても、内容は完璧に把握していたから。そのシーンを思い浮かべればなんとかなったから。本当に、助けてくださり、ありがとうございました。

「あさきゆめみし」は絵も華やか。そして、登場人物たちが、それぞれに素敵ですよね。原作がすばらしいとはいえ、古典の世界をビジュアル化して、人物の恋愛や悩み、苦しみまでもいきいきと描けているのは、さすがとしかいえません。ときどき、思い出しては一気読みしてしまいます。

2021年に画業55周年を迎えた大和和紀先生。「あさきゆめみし 新装版」もでているようですので、「もう一度、読みたい!」という方はぜひ!

日出処の天子 表紙
「日出処の天子」(山岸凉子)。中学生のころ、友人に「厩戸王子、最初は怖くみえるけど、そのうち、カッコよく見えてくるから、絶対、読んでみて!」と薦められたのでした。当時、1万円札の図柄だった聖徳太子の若かりし頃が、この人?とは思いましたが、読んでいるうちに、すっかりファンになってしまったのでした。
飛鳥時代、蘇我氏、法隆寺、推古天皇、摂政、遣隋使。勉強になりました。
でもね、それよりこの作品から学べてよかったのは、やはり「愛の多様性」。男女でなくても魂から惹かれあうことはある!と、感覚的に教えてくれたのはこの作品のような気がします。

この作品のファンタジー的なシーンも必見ですよね。絵がとにかく美しいので、飛鳥時代に魔物や超能力があっても、まったく不思議じゃないんですよね。
今や「聖徳太子は実在しなかった説」があったり、「歴史の教科書にはもう載っていない」ということも聞きました。でもおそらく、アラフィー女性の心の中には、ずっと、これからも住んでいらっしゃるでしょう。あの神々しい姿で。一万円の肖像画ではなく、山岸先生の「厩戸王子」の姿で。
飛鳥昔語り 表紙
飛鳥時代、続けていってみよう!「飛鳥昔語り」(清原なつの)。1978年の「りぼん」7月号掲載。当時、私は「りぼん派」で、まさにこの作品を「りぼん」で読んで、ビビッときていたのでした。
大化の改新の後の話です。主人公は、謀反をくわだてたという有間皇子…なのですが、ストーリーが二重構造になっていまして。ストーリーインストーリー、とでもいいましょうか。ネタバレにならないよう、これ以上は書きませんが、短いながらもインパクトのあるストーリーなので、ずっと忘れられずにいました。大人になって、他社さんからのコミック文庫になっているこちらを発見し、感涙でした。ちょっとSF的なところもあるので、版元がハヤカワさんというのも、なんだかいい感じだなと思います。
あのころ、りぼん派だったアラフィーにおすすめです!
合葬 表紙
江戸に飛んでみましょう。時代としては、エンドオブ江戸、です。「合葬」(杉浦日向子)。2005年に逝去されたときに「江戸に帰ったのだろう」といわれるほど、江戸の文化を愛した江戸風俗研究家の杉浦日向子氏。マンガだけでなく江戸に関するエッセイなど作品多数です。
こちらの「合葬」は、上野戦争の「彰義隊」の青年たちの歴史ロマン。「敗者の記録」って、あまり歴史でも習うことは少ないし、私もあまり知らなかったのですが、確かにそこで、若い侍たちが死んでいったんだなあと。ひとりひとりに青春があったんだなあと、思うわけです。杉浦日向子さんの作品は、本当にマンガというより「自分もそこに行って、その場をみている」感があるんですよね。雨のシーンが多いのですが、浮世絵の中に入って、その場にいるみたいな読書体験ができますよ。
歴史も恋もこの漫画から学んだ!50代女性懐かしの漫画7選【ウェブエクラ編集長オサニャイの「これ、いただくわ」#20】 _1_8
帯に「今月の新刊」ってあるのですが、今月っていうのは1992年の4月のことでした(笑)。作品自体は1983年から週刊文春で連載されたもの。「アドルフに告ぐ」(手塚治虫)。
アドルフ・ヒットラーの出生の秘密をめぐるストーリーに、さらに「ユダヤ系ドイツ人のアドルフ」と、「ドイツ人の父と日本人の母をもつアドルフ」が絡み合う、3人のアドルフの物語です。ドイツにおけるナチスの興亡のほか、戦前から戦後の日本、そして、イスラエルへと舞台が変わっていきます。読むほどに「正義」と思い込んでいるものが、本当に正義なのかという気持ちになってきます。自分がどのアドルフなら、どうしていただろうか、と考えさせられます。それでいて、謎解きの要素もあるので、面白く読めます。手塚先生、天才だから。
平成元年の2月9日に手塚先生はお亡くなりになっていますが、作品は永遠ですね。
オルフェウスの窓 表紙
そして、最後にご紹介するのが、ふたたびの池田理代子先生!「オルフェウスの窓」(池田理代子)。池田先生が27歳から33歳の7年で書いた、先生いわく「私の描いた最後の”少女漫画”」という作品。
「オルフェウスの窓」は、ドイツの音楽学校を舞台とした前半ストーリー(そこにある謎の遺産問題がからんでくる)と、後半のロシア革命前夜を舞台にしたストーリーがあります。
「音楽学校の窓にたち、地上を見下ろしたときに、最初に眼下に入ってきた人と宿命の恋に落ちる」という設定から話は始まるんですけどね、とにかく、要素は多いんですよ。そしてどんどん、壮大になっていくんです。芸術、恋愛、遺産問題、歴史的事件、ロシア革命、戦争。
今日のコラムの本題でいう「歴史を学んだ」という意味では、ロシア革命前夜のことでしょうか。ラスプーチンとかニコライとかアナスタシアとかは、「オルフェウスの窓」で知りましたから。
そしてまた、池田理代子マジック。この作品で、やっぱり「恋とは宿命」という刷り込みがされてしまった私でした(笑)。

いかがでしたか?あなたが好きだった作品、読みたくなった作品はあったでしょうか?

リンクは、オサニャイが調べて、一番、手に入りやすそうなもの、わかりやすいもの、中古ではないものにしておきます。紙の本がないものは、電子書籍のリンクを貼ります。
今回は、アマゾンの情報のリンクを貼りましたが、「アマゾンから買うことを特別に推奨する」というわけではありません。お近くの書店さん、ネット書店さんなど、お好きなところからどうぞ。

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