そう、夏は、例えばワンピース、大ぶりなネックレス、バッグ、靴。こんな具合にコーディネートが、少ないアイテムで、すぐに完成してしまいます。もちろん、時短がかなうのはうれしいのだけれど、印象に残らないコーディネートになってしまうことも。印象に残らない、ということは、全身のどこにも、視線を集める「アイキャッチ」が存在しないということ。少し怖い言葉を使うと、「オーラの薄い人」になってしまう……。
わかりやすく説明しましょう。私たちが雑誌を作るとき、「アイキャッチ」は、左ページの左上、といわれています。右からページを繰ったときに、真っ先に目がとまり、記憶に残る場所です。コーディネートにおける「アイキャッチ」とは、その人らしさを伝え、個性を映し、目ざす女性像を表すポイントなのです。
重ねるアイテムが少ないからこそ、小物のパワーが増大する夏。ジュエリーやバッグ、スカーフ、靴――こんなアイテムたちが、服と同じくらいの力と存在感を発揮します。その即効性と確実性は驚くほどで、言うなれば、まるで魔法のよう。一瞬で、その人のおしゃれは「アイキャッチ」を手に入れ、強くて美しい印象を残すのです。魔法を使う秘訣は、とにかく思いきって!細かい部分を積み重ねてつくる「深みのあるおしゃれ」ではなく、まっすぐ!明快!を心がけてみましょう。
このテーマでは、私自身が使ってみて、スタイリングしてみて、そのマジカルな力を実感したものをご紹介します。なんでもないワンピースに、着方がワンパターンになってしまったシャツに、定番のデニムに、アイテムの魔法をぜひプラスしてみてください。夏のシンプルな着こなしをキャンバスにして、自由に自在に絵を描くイメージ。失敗なんて、ご心配なく。おしゃれがよい意味で単純でシンプルだからこそ、ディテールを気にせず大胆に、ができるのです。