行政などの支援に頼ってもよい? 親が元気なうちに決めておくべきことは? 親をサポートする具体策を専門家がアドバイス

親が元気なうちに決めておくべきことは? 行政支援は活用できる?など、自分の生活を守りながら親をサポートする具体策が知りたい! 読者の身近な悩みや疑問を川内 潤さんに聞いた。

教えてくれたかた

NPO法人 「となりのかいご」 代表理事 川内 潤さん
川内 潤さん
NPO法人 「となりのかいご」 代表理事
川内 潤さん
NPO法人 「となりのかいご」 代表理事

かわうち じゅん●社会福祉士、介護支援専門員、介護福祉士。家族と最期まで自然に過ごせる社会を目ざし、NPO法人を設立。企業や個人に向け、介護の相談支援を行う。最新刊『介護前夜の教科書』(講談社)では、介護前に知っておきたい心得や制度などを紹介。

『介護前夜の教科書』(講談社)

Q.親が元気なうちに話し合っておきたいこと、決めておくと安心なことは ありますか?

A.財産の把握よりも「この先、5年、 10年をどう暮らしたいか」イメージ共有を。

メディアでは「親が元気なうちに財産を把握し、希望する介護内容を確認しておきましょう」といったことがよく紹介されますが、これはハードルが高く、親の気分を害して関係がこじれるケースも。それより大切なのは、これからの生活についてイメージを共有すること。この先5年、10年をどんなふうに生活したいか、ときどき、対話を重ねて探ってみてください。意外と親自身、具体的に考えられておらず、子供とのやりとりから自分の望みに気づく場合もあるでしょう。すぐに答えが出てこなくても焦らず、日常会話に織り交ぜて繰り返したずねましょう。「何を大事にして生きたいか」が見えてくると、それが将来の介護の指針になるうえ、「親には親の生き方がある」と、子供側も親の生活を尊重できるように。

白っぽい質感のティーポット、カップに入った茶色い飲み物、灰色のソーサー、黒縁の眼鏡が描かれたイラスト。

Q.行政などの支援は、親がどの程度の状態になったら相談できますか? 見極めるポイントを教えてください。(52歳・主婦)

A.早く相談するほど受けられる支援の質も上がります。ぜひ気軽にアクセスを!

介護の公的支援の入口となるのが「地域包括支援センター」(以下、包括)です。支援に頼るのは「家族ではどうにもならない状況になってから」と思っている人が多いですが、むしろ早い段階からつながっておくことが非常に大切です。親の生活が心配、認知症かもしれない、利用できる介護サービスがわからない、こうした漠然とした不安でも相談でき、親の状態に合わせて、介護保険の申請サポートや地域サービスの紹介など、必要な道すじをつけてくれます。まだ特に問題のない介護未満のうちに相談し、家族の現状を伝えておけば、なにかあったときにスムーズに支援を受けやすいという意味でも安心です。「包括」側としても、状況が悪化してから相談されると打てる手が限られてしまうため、早めに利用するほど双方にメリットが大きいのです。「親が住んでいる住所(スペース)地域包括支援センター」で検索すれば、管轄の連絡先がわかります。親の許可は不要で、匿名でも電話相談可能です。左のチェックリストは、「包括」に親の状態を伝えるときにも役立ちます。

Check! まずは親の状態の把握から

親の最近の様子を想像して、あるいは実際に会って確認して、下の項目をチェックしよう。結果に関係なく、「地域包括支援センター」に連絡して現状を伝えておくのもあり。

①ひとりでバス・電車・自家用車で出かけているか? はい・いいえ・不明
②日用品の買い物に出かけているか? はい・いいえ・不明
③週に1回は外出しているか? はい・いいえ・不明
④ここ最近、外出の回数が減ってきているか? はい・いいえ・不明
⑤預金の出し入れをしているか? はい・いいえ・不明
⑥友人の家に出かけているか? はい・いいえ・不明
⑦家族や友人の相談に乗っているか? はい・いいえ・不明
⑧階段を手すりや壁を伝わらずに上っているか?はい・いいえ・不明
⑨椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっているか? はい・いいえ・不明
⑩15分ほど続けて歩くことができるか?はい・いいえ・不明 
⑪この1年間で転んだことはあるか? はい・いいえ・不明
⑫転倒に対する不安が大きいか? はい・いいえ・不明
⑬この半年間で2〜3kg以上の体重減少があるか? はい・いいえ・不明
⑭固いものを食べづらそうにしているか? はい・いいえ・不明
⑮お茶や汁物でむせることがあるか? はい・いいえ・不明
⑯同じ話題を繰り返し話すことがあるか? はい・いいえ・不明
⑰自分で操作して電話をかけているか? はい・いいえ・不明
⑱今日が何月何日かを把握できているか? はい・いいえ・不明
⑲以前は楽しんでいたことが楽しめなくなってきているか? はい・いいえ・不明
⑳以前は楽にやっていたことがおっくうになっているか? はい・いいえ・不明
㉑疲れた、と落ち込んでいる様子はあるか? はい・いいえ・不明
㉒日々の生活を楽しんで送ることができているか? はい・いいえ・不明

太字の「はい」「いいえ」の回答に3つ以上チェックが入った場合は、“高齢者の身近な公的相談窓口”である「地域包括支援センター」に相談を。不安解消のアドバイスを受けることができます
※厚生労働省の基本チェックリストを参考に作成

取材・原文/熊坂麻美 イラスト/わじまやさほ ※エクラ2026年11月号掲載

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