絶対見逃せない!“中堅女優”が大活躍の最新韓ドラ3作!【見ればキレイになる⁉韓流ドラマナビvol.31】

エクラの美容記事でもおなじみのライター・山崎敦子がお届けする韓流ドラマナビ。今回は、今韓ドラ界で話題の、実力派中堅女優3人に注目!  

知名度だけじゃない。主演女優の力量でみせるドラマが豊作

  キム・オクビン、チョン・リョウォン、キム・ヒョンジュ。さて、この3人、誰が誰だかわかったりします?「あれ、この人、何かのドラマで観たことあるけれど……誰だっけ?」「この顔、記憶には残っているんだけど……何のドラマだったのか覚えていない」ということが、韓流ドラマを観ているとよくあります。脇役ならまだしも、主役級の役柄を演じていてさえ、そんなことも多々。私の貧しい記憶力のせいでもありますが、それだけ韓国の俳優の層が厚いということなのかもしれませんね。
 
 とはいえ、試聴するドラマを選ぶ際、主演がビッグネームかどうかは大きな決め手の一つ。例えば、ソン・イェジンとか、キム・ヘスとか、ソン・ヘギョとか、名前だけですぐ顔が浮かぶ有名女優の作品とあれば、「これはチェックせねば!」と試聴リストに速攻作品を連ねたりするわけですが、日本での知名度がイマイチな場合、ついついスルーしてしまうことも。でも、そんな作品の中にこそ、実は傑作が少なくなく。上に挙げた3人が、まさにそれ。俳優としても女性としても脂の乗り切っているアラフォー中堅演技派女優。今回は、この3人にフォーカス。見逃すにはちょっと惜しい、それぞれが主演の最新3作品をご紹介しますね。

1.超絶男前な役を熱演!/キム・オクビン主演「その恋、断固お断りします」

「その恋、断固お断りします」のキム・オクビン
主演女優のキム・オクビン。Netflixシリーズ「その恋、断固お断りします」独占配信中
 3作品の中でもイチオシがこのドラマ。私の韓ドラ先輩から「あまりに面白くて一晩で観ちゃった」と言われ、慌てて一気見。実は、主演のキム・オクビンにも相手役のユ・テオにもそれほどなじみがなく、迷わずスルーしようとした作品ですが、なんと今ではNetflixランキング上位の常連。蓋を開けてみれば、キャラクターも設定もストーリーも振り切りまくっていて、“こりゃあ大人向け少女漫画だ絶対”と思うような久々の抱腹絶倒“ド”韓流ラブコメでして。何度も何度も爆笑しちゃうわ、終盤には不覚にもジーンと目頭熱くしちゃうわと、何もかも忘れて手放しで楽しい気分にさせられちゃうので、日頃の憂さを晴らしたいアラフィーのリフレッシュサプリとしても超絶おすすめです。
「その恋、断固お断りします」のキム・オクビンとユ・テオ
キム・オクビン(左)とユ・テオ(右)。Netflixシリーズ「その恋、断固お断りします」独占配信中
 とにかく、キム・オクビン扮するヒロインの弁護士ヨ・ミランのキャラが最高。幼い頃から女が男に一歩譲る的なことにキリキリと理不尽さを感じて育ったのがこのミラン。例えば、小学生時代。狭い通学路に女子たちを追いかけ回す変態爺さんが出現。父に訴えると「違う道を遠回りせよ」との忠告。そこでミランは燃えちゃうのですね。「悪いことをしているのは向こうなのに、なぜ、こっちが避けなければいけないのか。弱いから? 女だから?」。で、テコンドーや空手を習い出し、徹底的に鍛えて、そのエロ爺さんを撃退してしまうという。以来、男に負けじと闘い続け、かくして腕っぷしも度胸も恋愛遍歴も男以上に男らしくたくましい超絶男前な女弁護士が出来上がったという次第。
「その恋、断固お断りします」のキム・オクビンとユ・テオ
Netflixシリーズ「その恋、断固お断りします」独占配信中
 一方、そのミランの恋のお相手となるのが、ユ・テオ扮するトップ俳優のナム・ガンホ。“キス職人”と称されるほど恋愛ドラマに引っ張りだこのガンホですが、実は過去のトラウマから大の女性アレルギー。女優との触れ合い必須なロマンスシーンは薬(医師処方による精神安定剤的な)を飲まずにはこなせない程の重症で、女と言えば、“自分の価値を上げて一番高く買ってくれる男に売ることばかり考えている”という偏見に凝り固まっているわけでして。いやあ、こちらの役もかなりの振り切り度。
「その恋、断固お断りします」のキム・オクビン
Netflixシリーズ「その恋、断固お断りします」独占配信中
 ということで、ドラマは、そんなミランがそんなガンホの担当弁護士になるところからラブ要素が展開し、突如浮上したガンホのスキャンダルをもみ消すために二人が契約恋愛をするハメになり……という安定の“あるある”ラブコメで、二人が互いに惹かれていく過程も笑いなくしては観られない小技が随所にバシバシ挟み込まれていて、それはそれは楽しすぎるぅ〜〜〜わけなのです。
 で、かのキム・オクビンですが、私的にはなじみ少ない女優さんではありますが、あの名匠パク・チャヌクの映画「渇き」では体を張った演技でソン・ガンホの相手役を務めたり(吸血鬼役!)、2018年の映画「悪女」では復讐に燃える女殺し屋に扮して注目を集めたり(アクションシーンもほぼスタントなしで演じ切った!)という、どちらかといえばハードな役柄が主流の36歳。
「その恋、断固お断りします」のキム・オクビンとユ・テオ
キム・オクビン(左)とユ・テオ(右)。Netflixシリーズ「その恋、断固お断りします」独占配信中
 実は、ドラマで言えばソン・ジュンギ主演の「アスダル年代記」で女スパイのテアラ(チャン・ドンゴンの相手役)を演じているのですが、私的にはそのオクビンがこのオクビンだったとはついぞ気づかず。クールビューティが一転、熱血負けず嫌い弁護士というあまりの変貌ぶりに、韓国俳優の底力をまたまた見たり!という感じでありますが、このドラマがキム・オクビンにとっても初のロマコメだったらしく、今さらながらスルーしなくてよかったと思っている次第。
 ガンホ演じるユ・テオも私的“見たことはあるけど〜”な存在でしたが、どちらかというと、ちょっと苦手な濃い顔系。それもスルーしようとした一因ではありますが、これが「最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~」の主演俳優チャン・スンウォン同様(詳しくは連載vol1をご覧ください)、どんどんどんどんクセになっていき、最終的には彼のために涙する……という典型的な韓流ドラマのハマりパターン。恐るべし、韓国濃い顔系の底力、という感じです。
「その恋、断固お断りします」のユ・テオとキム・ジフン
ユ・テオ(左)とキム・ジフン(右)。Netflixシリーズ「その恋、断固お断りします」独占配信中
 「ペーパーハウスコリア」で大ブレイクした俳優、キム・ジフンも出演しており、彼扮する事務所社長役が織りなすサブカップル・ラブもキュンキュン度指数かなり高めで、さらに、ミランの元恋人の弁護士とか、ガンホとラブシーンを演じる共演女優とか、ノワールの人気映画監督とか、ちょい役脇役陣も隅々まで振り切りキャラを徹底させていて、そこも最高にツボ。そうそう、ガンホの初恋の相手で“国民の初恋”と呼ばれる人気女優に扮したイ・ジュンビンも清純可憐な外見とは裏腹の計算高さを絶妙に演じるなど、いい味出しているのですが、このイ・ジュンビンとキム・ジフンは「ペーパー〜」で濃厚共演した仲。その二人が同じ画面に出ている妙もなんだか楽しく。とびきりのスター俳優なくしても、1粒で何度も美味しい大人ラブコメ。どうぞ、スルーなきように。
■Netflixシリーズ「その恋、断固お断りします」独占配信中

2.ハートフルな演技力で魅了!/チョン・リョウォン主演「弁論をはじめます。」

「弁論をはじめます。」のチョン・リョウォン
主演女優のチョン・リョウォン。ディズニープラス スターで独占配信中 © 2023 Disney and its related entities
 かのヒョンビンの名作「私の名前はキム・サムスン」でサムスンのライバル役としてブレイクした女優さん。もちろん、私もキュンキュンしながら視聴したはずなのですが、う〜ん、チョン・リョウォン、思い出せないゾ。
 2000年に女性ダンスアイドルユニット“シャクラ”のメンバーとしてデビューし、女優としての活動は2002年からというから、もちろんかなりな中堅。‘18年の「油っこいロマンス」では、2PMのジュノとチャン・ヒョクの2人から愛されちゃうヒロイン役でも注目された、そう、私的には記憶薄めですが、今年42歳の“油っこい”ならず“脂のりきる”女優さんなのであります。
 その彼女が主演したのがこのドラマ。ソウルの大手法律事務所「張山(チャンサン)」で勝訴率1位という剛腕なエース弁護士ノ・チャッキというのが彼女が演じる役どころ。幼い頃に父に捨てられ、「張山」のオーナー家の住み込み家政婦として働く祖母と一緒に育ったという過去が。そんな生い立ちを振り切るようにがむしゃらに突き進むチャッキですが、とあるミスから地方の国選弁護士として左遷させられたところから物語が展開します。
「弁論をはじめます。」主演女優のチョン・リョウォン
ディズニープラス スターで独占配信中 © 2023 Disney and its related entities
 高層マンションにブランド三昧当たり前の、高慢きまわりなかったチャッキが、いきなり勝訴率わずか3%の国選弁護士に成り下がり、住まいも貧しい屋根部屋。弁護料6分で4万5千ウォン払えなかったら弁護しないと豪語していたのにも関わらず、国選弁護の依頼人はお金に縁がない弱者ばかり。最初はその弁護に心ここにあらずのチャッキではありますが、次第に弱者のために身を粉にして働きながら、本来の自分を取り戻していく姿が微笑ましく愉快で、かつ痛快。リョウォンの軽妙かつハートフルな演技力&存在感に今更ながらではありますが、完全に引き込まれてしまいます。
 ドラマは、これらの案件が、やがてチャッキに関わる過去の事件と繋がっていき、ミステリーとしての面白さもどんどん増していくという流れ。チャッキの同僚、国選弁護士ジャ・シベク(イ・ギュヒョン)も、敵か味方か、いい人なのかはたまた……という怪しげな存在感で、ミステリーを盛り上げてくれます。ヒューマンドラマとしてもサスペンスとしても見応えありで、彼女の今後の作品は必ずチェックせねばと心に誓った次第。
■ディズニープラス スターで独占配信中

3.変わりゆく人間の内面を緻密に演じきる/キム・ヒョンジュ主演「車輪」

「車輪」のキム・ヒョンジュとパク・ヒスンN
主演女優キム・ヒョンジュ(右)と夫役の俳優パク・ヒスン。Netflixシリーズ「車輪」独占配信中
 芸能界デビューは1996年。3人の中では一番年上の45歳。そう、もはや我らがアラフィー世代です。近々では世界的に大ヒットした「地獄が呼んでいる」の弁護士役が記憶に新しいところですが、主役も脇役も幅広く手掛けつつ、時代劇あり、サスペンスあり、人間ドラマあり、ロマンスありと、どんなジャンルもこなす、品格・知性・清潔感を持ち合わせた正統派という印象。私的にも大好きな女優さんの一人ではあるのですが(「私たちが出会った奇跡」もよかったですね〜)、なぜか、名前をなかなか記憶しないという……。
 そんなキム・ヒョンジュの最新作がこのドラマ。3つの作品の中では、テーマも展開もかなり重めです。主軸となるのが、倫理の授業でよく取り上げられる「トロッコ(トロリー)問題」。ある人を助けるために、他の人を犠牲にするのは許されるのか? 正解のないその難問をベースに、ドラマは“大義のためなら多少の犠牲は厭わない”という考え方の是非を鋭く問いかける内容です。
 キム・ヒョンジュが演じるのは、政治家の妻キム・ヘジュ。夫のナム・ジュンド(パク・ヒスン)は弱者の立場になって政治を考える人権派の政治家で、ヘジュ自身は子供を育てながら、本を修理する修理師として仕事をしており、人が羨むような幸せな生活を送っているわけです。しかも、夫のジュンドは静かに暮らしたいというへジュの希望を受け入れ、へジュを表舞台に出さないようにしているという。

 そんな充実した日々のへジュですが、ジュンドの前妻の息子であるジフン(チョン・テギョン)が突然、遺体となって漢江の川岸で見つかったことから事態が急速に展開していきます。折りしも、性犯罪者を断罪する新たな法案を立案中の夫のジュンドは、デジタル性暴力被害に遭い自殺した女性を擁護し容疑者を糾弾したことから今度は容疑者が自殺、窮地に立たされるという。その一方で、妻のヘジュにも人にはずっと秘密にしてきた、過去のとある自殺事件があり……。
 人物のキャラ設定など細かい部分で多少不自然なところもありますが、ミステリー的な面白さはもちろん、控えめなへジュが、変わりゆく周囲の状況に翻弄されながらも次第に過去と今の真実に向き合いつつ、立ち向かっていく姿は心にじんじんと響きます。へジュの変わりゆく内面を繊細に緻密に演じたキム・ヒョンジュ、やっぱりチェック必須だったとつくづく。もちろん、その名前もしっかり記憶に刻みつけたのは言うまでもありません。
■Netflixシリーズ「車輪」独占配信中
山崎敦子

山崎敦子

旅行記事に人物インタビュー、ドラマ紹介、実用記事から、着物ライターとさまざまな分野を渡り歩き、今では美容の記事を書くことも多くなったさすらいのライター。襲いかかるエイジングと闘いながら、ウキウキすること、楽しいことを追い求め続ける日々を送る。
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