【今から知っておきたい!墓じまいのこと】これさえ押さえれば怖くない!墓じまいの主なパターンとは?

墓じまいは、どこからどこに移すかによって手続きが異なる。そこで墓じまい代行・終活サービス業の小西正道さんが、墓じまいの代表的パターンを解説!

まずは手順を知っておこう【改葬の流れ】

●改葬元の墓地(霊園)の管理者へ意思を示す
現在の墓所管理者(寺院墓地の場合は住職)などにあらかじめ改葬の旨を話しておくとスムーズに。申請に戸籍謄本などを必要とする場合があるので、しっかり確認を。

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●改葬先の墓地に連絡
墓地永代使用料又は合同埋蔵施設などの費用を納め、受入証明書を発行してもらう。

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書類の入手
改葬許可申請書を入手する(役所に申請書がない場合、受け入れ先にたずねてみる)。遺骨ひとつに一枚の申請書が必要になることが多いので、霊園を管轄する自治体に確認を。


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●改葬元に記入と捺印をしてもらう
改葬許可申請書に必要事項を記入後、改葬元である、現在の墓地管理者に署名と捺印をもらう。

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●役所への申請
すべての書類をそろえ、役所へ提出。改葬許可証を発行してもらう。

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●遺骨の取り出し
遺骨をお墓から取り出す。取り出しは通常、業者が行う。寺院などの場合は、墓前で読経、脱魂式をする場合もあるので、お寺と相談や打ち合わせを。

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墓石撤去工事
工事の日時決定後に着手。

《1》寺院の一般墓地→公営・民間霊園(一般墓地や納骨堂など)

公営・民間霊園 (一般墓地や納骨堂など)

近年目立つのが寺院墓地にある家墓から、公営や民間霊園への改葬。

「まずすべきは、改葬元となる寺院墓地がある自治体への『改葬許可申請書』の提出。その際、改葬先の霊園が発行する『霊園使用許可証』または『受入証明書』と、改葬元寺院の『埋葬証明書』や『墓地管理者証明』といった書類の添付が求められます。後者は、さまざまな呼び方がありますが、その墓地に故人の遺骨が埋蔵されていることを示す書類です」

書類に不備がなければ自治体から「改葬許可証」が発行され、遺骨を引き上げ改葬先に移すことが可能に。

「墓石の撤去は、寺院が指定した石材店に依頼しなければならないので、価格交渉が長引く場合もあります」

《2》公営の一般墓地→公営の合同埋蔵施設(合祀墓)

公営の合同埋蔵施設 (合祀墓)

公営霊園の、墓石などがあり骨壺が埋蔵されている一般墓地から、合祀墓(ごうしぼ)などと呼ばれる合同埋蔵施設に移すというパターンも増えている。

「エリアによって手続きは若干変わるため、東京都の都立霊園を例に説明しましょう。改葬先が同じ都立霊園の場合、霊園事務所で『施設変更申請』の届け出を出します(7月・10月・12月の年3回受付)。2~3カ月後に都から申請者に合同埋蔵施設使用許可書が郵送されるので、それを持って霊園事務所に出向き、改葬申請書を記入します」

墓石撤去は石材店などに自分で依頼し、希望があれば寺院から僧侶を派遣してもらい、墓参りや閉眼供養を。骨壺を合同埋蔵施設に移して改葬は終了。

《3》公営・民営の一般墓地→寺院の永代供養墓(合祀墓)

寺院の永代供養墓 (合祀墓)

遠方にある公営や民営の一般墓地をクローズし、自宅の近くなど、便のいい場所にある寺院の永代供養墓に移すというケースもある。

「公営の合同埋蔵施設は費用が手ごろで倒産の心配が少ないことなどから人気が高く、申し込みが殺到し、抽選になることも珍しくありません。残念ながら抽選にはずれてしまい、結果寺院の永代供養墓を選択するご家族も少なくないですね。

もちろん、信仰心から寺院を選ぶかたがたもいらっしゃいます」

流れは2の「公営の一般墓地から合同埋蔵施設」とほぼ同様。霊園事務所に出向いて改葬申請書を記入したあと、墓石撤去など返還工事をして遺骨を取り出し、改葬先に納骨する。

《4》公営・民営の一般墓地→散骨

散 骨

ここ数年、注目度が上がっている散骨。ところが、小西さんによると、「どの墓地から遺骨を取り出すにしても、散骨する場合は、厳密には『改葬』とはいいません」。

現在の墓地埋葬法には「散骨」の定義がない。つまり法律上、海洋散骨は「改葬」には当たらないというわけだ。そのため、自治体によるものの、改葬申請手続きは原則不要になる。

「散骨の手続きは業者によって異なります。当社では、公営霊園から移す際は、『遺骨引渡証明書』の取得をお願いし、民営霊園の場合は霊園の方針に沿って手続きを行います。寺院墓地から移す際は手続き不要ですが、寺院代表者への承認はとっていただきます」

墓じまい代行・終活サービス業 小西正道さん

墓じまい代行・終活サービス業 小西正道さん

こにし まさみち●石材店での墓地営業を経て独立。散骨、墓じまい、終活サービスを提供する「縁」代表取締役。著書に『墓じまい! 親族ともめない、お寺に搾取されない、穏やかで新しい供養のカタチ』がある。
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